最近ストレス溜まってませんか?
2023年3月13日からマスクの着用は個人の判断ということになりましたね。段階的に規制緩和がされていく中で、どこか「外出したい!」と思う方が増えているような気がします。でも今まで継続してきた習慣をいきなり変えるのは難しいですよね。なにかとストレスが多い社会、出かけるにもそんな気力が沸かない方もいるのではないでしょうか?
出かけるのメンドいし、ってか外出する時間が無い……はぁ、どっかに短時間でストレス解消できるテクニックがあればなぁ
それ、あるとしたらどうしますか?
今回は短時間で効果的にリラックスできるテクニック『漸進的筋弛緩法』についてわかりやすく解説していきます。
漸進的筋弛緩法の歴史・理論・具体的な方法についてわかりやすく解説
YouTubeチャンネル、スポーツメンタルトレーニングをわかりやすく解説!!「メントレ塾 MentalTraining」:投稿動画より
心は脳のあれこれです。ストレスを感じるのはアナタの脳が「つかれた!」と叫んでるからなんです。だからストレス解消したい場合、脳に「あぁ~めっちゃリラックスしてるぅ~」という気持ちになってもらえば良いのです。
とてもわかりやすいですね。そこで問題は『脳にどうリラックスしてもらうか?』ですが、ここに心理学が深く関連してきます。
心理学は『人の“こころ“を科学する学問』です。人がどうすればリラックスできるのかも研究され、たくさんのテクニックが医療方面に役立てられています。今回紹介する漸進的筋弛緩法もそのひとつですね。漸進的筋弛緩法とはどういうテクニックなのでしょうか?
漸進的筋弛緩法ってなに?
漸進的筋弛緩法はアメリカの精神科医『エドモンド・ジェイコブソン(Edmund Jacobson)』によって開発されました。漢字の見た目的に「難しい?」という印象を受けるかもしれませんが実際はとてもシンプルでわかりやすいものです。
漸進的
→ 段階を追って少しずつ
筋弛緩
→ 筋肉をゆるめていく
意味を理解すると「ああ、そういうことか」となりますよね? ――漸進的筋弛緩法とは『筋肉に力を入れ一気に“ぐだぁ~“っとさせていくリラクゼーション法』です。彼は1888年にアメリカのシカゴで生まれ、それから亡くなる1983年までずっと研究を続けてきました。彼は大学2年生時点で博士号(Ph.D)を取得する頭脳をもっていました。これは大学に通って博士号取得を目指す方にとってどれほどの偉業なのかわかりますよね?
彼は『心と体の関連性』に関し、日本で言う心療内科的な方面の研究をします。心療内科は『ストレスなど“心“の不調が原因で“身体“に現れる疾患』を診るところですね。ストレス性胃腸炎などの病気を専門とする分野ですが、そこで彼はある発見をします。
あれ? 筋肉が緊張すると身体や精神の状態も変化するぞ――これはもしかして!
筋肉の緊張と精神状態の関連性を研究し、彼は漸進的筋弛緩法を開発しました。
漸進的筋弛緩法の理論
筋肉をゆるめるだけでどうリラックスできるのでしょうか? ジェイコブソン氏は心身症に関する研究や臨床観察をくり返し筋肉の緊張と脳の状態は強い関連性があることに気づき、以下の手法でリラクゼーションが可能だということを発見しました。
① ある部位の筋肉に力を入れる
② すべて脱力する
③ それを順番に全身行う
④ 筋肉の緊張 → 弛緩を認知する
⑤ 筋肉の弛緩で脳がリラックスしたと感じる
緊張したときって身体が固くなりせんか? それは脳の緊張と筋肉の緊張が深く関わっているからです。そのほか、ずーっと仕事をしてると肩こりになって「あー疲れた」って気持ちになりますよね? このように筋肉の緊張は中枢神経系の活動を低下させるのでよろしくありません。
逆にリラックスしてるときは全身だらぁ~っとなりますよね? 筋肉の緊張は興奮、弛緩はリラックスした状態です。漸進的筋弛緩法はこれを意図的にもたらすことで脳にリラックスしてもらうテクニックなのです。具体的な方法はどうすれば良いのでしょうか?
漸進的筋弛緩法の具体的な方法
YouTubeチャンネル、カラダを良くする整体師永冨:投稿動画より
漸進的筋弛緩法をはじめる前に、とりあえず身体を締め付けないようなゆるい服装ではじめましょう。ベルト類などは外し、寒くなければ服を脱ぐのも手段のひとつです。
姿勢は椅子に座る、寝転がるなどアナタにとって楽な姿勢になりましょう。あまりおすすめできませんが、事情によって座ったり寝転がれない場合は立った状態でも構いません。
準備ができたらまずはリラックスの基本『腹式呼吸で深呼吸』することからはじめましょう。ある程度心が落ち着いてきたところで、漸進的筋弛緩法の前提ルールをご覧ください。
・5 ~ 10秒力む → 15 ~ 20秒脱力する
・力の入れ具合は6 ~ 7割
・力を抜く時は一気に
→ じわぁ~、と脱力の”余韻“が感じられれば最高
・力む時は息を吸う → 脱力の時は息を吐く
・部位ごとに1 ~ 2回
・ケガしてる場所はムリしない
→ 4 ~ 5割程度の力にしたり、力を入れずリラックスだけにしたりする
・痛みや筋肉の”つり“などを感じないよう注意しましょう
さて、いよいよ筋肉に力を入れてきましょう。順番は以下の通りですが、やりたい順番にアレンジしたい時は足→臀部→腹などの順番で行い部位が飛び飛びにならないよう注意しましょう。
① 両手
→ グー! っとしてからリラックス
※ 親指を包み込むような拳で
② 両腕
→ 肘を曲げギュー! っとしてからリラックス
※ 脱力時は腕をだらぁ~っと下げる
③ 背中
→ ②と同じ姿勢から腕を後ろにグーッ! っとしてからリラックス
※ 肩甲骨を背骨中心に引き付ける感覚
④ 両肩
→ 両肩をグッと上げ首をすぼめるようにグググッ! としてからリラックス
※ リラックス時は肩をストンと落とすイメージで
⑤ 首
→ 真横(左右いずれか)に首をひねってからリラックス
※ 順番はどちらからでも良い。ただムリしないように
⑥ 顔
→ 口をすぼめ、両目を見開き、眉を吊り上げ
額にシワをつくりクシャ顔ー! してからリラックス
※ 脱力は”呆けた顔“をイメージするとやりやすい
⑦ 腹
→ おなかに手を当て”押し返す“イメージで力を入れてからリラックス
⑧ 臀部
→ 肛門を締め、両方のケツを締め付け力んでからリラックス
※ まちがってイロイロなものを出さないようご注意ください
⑨ 足の下側
→ 両足をピンッ! としてつま先をまで前に伸ばし、
足の下側に力を入れてからリラックス
⑩ 足の上側
→ 両足をピンッ! としてつま先を上げ自分の身体に近づけ、
足の上側に力を入れてからリラックス
⑪ 全身
① ~ ⑩まで全身の筋肉をできるだけ緊張させてからリラックス
しっかり『緊張と脱力の“差“』を感じてリラックスしてください。
漸進的筋弛緩法のメリット
このリラックス法のメリットはなんといっても『自分の意志でコントロールできる』ことです。他人に「なにも考えるな!」と言われても心は勝手にイロイロなことを考えちゃいますよね? 瞑想などはこれが難しく断念する方も多いですが筋肉は自分自身で力を入れ、ゆるめることができます。ほか漸進的筋弛緩法は以下のようなメリットがあります。
・自分自身でコントロールできる
・場所を選ばない
・短時間でできる
・特殊な器具がいらない
プロスポーツ選手は常に筋肉を酷使し、筋肉を緊張した状態にする必要があります。競技中でないオフ状態の筋肉を素早く回復させたいため、スポーツの世界ではアスリートのリラクゼーション法としても注目されているようです。
運動を習慣にしてる方は運動後のケアとして取り入れるのもアリなのではないでしょうか? また筋弛緩法は継続すると不安感がなくなり集中力が増すなど、自分のパフォーマンスを向上させる効果も報告されています。ぜひ自分の目的に見合った活用法をしたいですね。
筋弛緩法は自律訓練法と並んで有用なテクニックですね。自律訓練法もまた場所を選ばず短時間で行えるテクニックとして有名です。
内部リンク
自律訓練法については こちら
漸進的筋弛緩法の応用
YouTubeチャンネル、ゆう先生のセルフ整体塾【京都の整体院悠】:投稿動画より
筋肉に力を入れて抜くだけ。単純な動作なのでいつでもどこでもかんたんに実践可能です。授業や仕事中のちょっとした息抜き、朝方や寝る前のストレッチ、友人とおしゃべりしながらテーブルの下でこっそり実践できちゃいますね。全身をやらずとも、たとえば『肩がこったので肩周りだけ実践する』などいろんな応用が効きます。
学校や職場で
→ 休憩中の息抜き
→ テストや会議後のリラクゼーション
→ 音が出ないので図書館でも実践可能
プライベートや人付き合いで
→ 朝や寝る前のストレッチ
→ 出かける前の準備運動
→ 友だちとおしゃべりしながら
アメリカで誕生し、今では世界的に実践され効果が実証されています。なにかとストレスが多い世の中ですが、リラックスしたいと感じた時はぜひこの方法を思い出してください。漸進的筋弛緩法はストレス低減法として有用ですので、日々のストレスを避けつつ使いこなしていきましょう。
アナタの心身の健康を祈ります。
中部大学
漸進的筋弛緩法のイラスト付き解説は こちら
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