
無線LANとWi-Fi(ワイファイ)の違いは? a/b/c/n/ac/axの違いもわかりやすく解説
無線LANは『無線通信を使い、ローカルなエリア間ネットワークを形成する通信網』を指します。ローカルとは家庭や学校、職場など限られた領域を指し、それぞれを無線を通してつなぐことで情報をやりとりできることができる技術です。
ローカル領域外へはゲートウェイと呼ばれる“出入口“を通して通信します。使用する電波は国際的な規格によって決められており、以下のような例があります。
・無線LAN(Wi-Fiなど)
→ IEEE 802.11
※ LAN = Local Area Network
・無線PAN(Bluetoothなど)
→ IEEE 802.15
※ PAN = Personal Area Network
アメリカのIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers = 米国電気電子技術者協会)が国際的な規格を定めているのですが、Wi-Fiは802.11の通信規格を用いたアメリカにある団体の商標なので混同しないようにしましょう。無線LANは上記のような概念を指しますが、シンプルに『ネットワークにはいくつかの規格があり、その規格のひとつとして無線を用いたローカルなエリア限定のものがある』とイメージしてください。
無線LANにはいくつもの種類がありますね。使う時に“g”が良いのか“ac”がいいのかと迷ったこともあるでしょう。どちらのほうが通信しやすくなるのでしょうか?
IEEE ジャパン・オフィス
公式サイトは こちら
無線LANとWi-Fiの違いなどをわかりやすく解説
YouTubeチャンネル、NETGEAR Japan:投稿動画より
Wi-Fiは『無線LAN(802.11)を用い、対応機種同士で接続できる技術』です。アメリカの団体Wi-Fi Allianceの商標登録で、この団体から認証を受けることでWi-Fi対応商品として流通させることができます。認証を受けられなくても通信自体はできるのでご安心ください。
Wi-Fiの正式名称は『Wireless Fidelity(忠実な無線)』とされていますが、これはマーケティングのなか自然と名付けられたものであり、Wi-Fiのフルネームに関してはナゾのままです。しかし上記の名前が馴染んでしまったので今では“ワイヤレス フィデレィティ“を略してワイファイと呼ばれています。ウィーフィーではないので注意しましょう。
商標登録なので認証を受けられなければWi-Fiを名乗ることはできません。その場合はWi-Fiでなく無線LANを名乗ることになりますが、現代そのような例は稀有でしょう。
Wi-Fi.org
公式サイトは こちら(英語)
無線LANとWi-Fiの歴史
1985年、アメリカ連邦通信委員会(FCC)が一定の無線通信周波数を許可がなくても使用できるようにしました。その後世界各地で無線周波数を利用した技術が開発され、オランダで無線LANの周波数を使いローカル通信できる技術が開発されます。これが後の無線LAN(IEEE 802.11)規格に繋がります。
Wi-Fiの対応機種であれば無線接続できるという特徴を活かし、少しずつ対応する機器が増えていきました。なかでも1999年、アップル社発売のノートパソコンiBookにWi-Fiが採用されたことで大きく飛躍することになります。
その後Wi-Fi対応機器が世界的に流通し、今ではほとんどの場所でWi-Fiを用いてインターネットができるようになっていますね。
a/b/g/ac…あれってなんなの?
Wi-Fiを使っていると、その回線にはいろんなアルファベットがついてることがわかりますね。これはWi-Fiの規格を表しています。詳しく書くと[ IEEE 802.11.a ]などと書きますが、ここでは簡潔にわかりやすくまとめましょう。
・a
採用年:1999年
周波数帯:5Ghz
最大通信速度:54Mbps
・b
採用年:1999年
周波数帯:2.4Ghz
最大通信速度:11Mbps
・g
採用年:2003年
周波数帯:2.4Ghz
最大通信速度:54Mbps
・n
採用年:2009年
周波数帯:2.4 / 5Ghz
最大通信速度:600Mbps
・ac
採用年:2014年
周波数帯:5Ghz
最大通信速度:6.9Gbps
・ax
採用年:2021年
周波数帯:2.4 / 5Ghz
最大通信速度:9.6Gbps
アナタのご家庭にあるWi-Fiはどのタイプが搭載されていますか? 実際の周波数帯は5.15~5.35Ghzなど規格ごとに異なりますが、それらを詳細にまとめるとわかりにくくなるので割愛します。それでは解説にうつりましょう。
周波数帯は使う電波の周波数を表します。これはラジオやテレビのチャンネル合わせと同じで、周波数を合わせることで機器同士をつなげることができます。
周波数帯は波長が少ないほど障害物をすり抜けやすいため有利なのですが、2.4Ghz帯は電子レンジや医療機器が用いる周波数でもあるのでその近くでは通信しにくい場合があります。対して5Ghz帯は軍事、航空関連の通信を優先させるためそれらの施設の近くでは通信しにくくなりるため屋内での使用がメインになります。
まとめると“a”は障害物が多い場所で活用しやすく“g”は室内やBluetoothなどと併用する場合に便利ということになりますね。
・2.4Ghz
障害物をすり抜けやすい
電子レンジ、医療機器などの近くでは通信が不安定になる
・5Ghz
電波干渉されにくい
軍事、航空関連施設の近くでは通信が不安定になる
最大通信速度はその規格を使うことで可能な最大の通信速度です。ただし通常は他電波の干渉や同じ電波を使う機器などの雑音によって速度が低下するので注意しましょう。
総務省、国民のためのサイバーセキュリティサイト
IT関連用語種(英字)は こちら
けっきょくどれがいいの?
後の世代に誕生したWi-Fiのほうが性能、セキュリティ面などあらゆる意味においておすすめになります。通常のインターネットを楽しむだけなら”a/g”程度で充分なのですが“ac/ax”などは激しく動くゲームなどもサクサク動きそうですね。
いまでは格安Wi-Fiルータや中継機などでも“ax“を搭載しているタイプが増えています。パソコンやスマホでのインターネット、テレワーク中のリモート会議、趣味でやる大容量のゲームなどを爆速通信速度で快適にできちゃうのはとても魅力的だと思いませんか?
axのみ対応だとちょっと不安という方には幅広い規格に対応したルータが安心ですね。一般的にWi-Fiルータは5年ごとに替えることをおすすめされているようなので、この機会に新調するのも選択肢ですね。
なお、2024年中にacの改良版である“be“が、2028年にはさらにパワーアップの最大通信速度100Gbpsを目指す“bn“が登場する予定です。こうなったらもうタブを10個20個開いてもサクサクなのではないでしょうか? ――使用機器がのメモリが保てばの話ですけどね。
コメント