ダブルコートってなに? 犬の被毛タイプと犬種をわかりやすく解説します
犬はオオカミを家畜化した動物と言われています。オオカミは地球の北のほうで暮らしていた動物で、そのためダブルコートという特殊な毛の生え方をしています。
ダブル? シングル? 上毛と下毛ってなに? ――いろいろ専門用語が出てきますが、ここではこれらの用語をわかりやすく解説していきます。
犬の被毛(コート)をわかりやすく解説
犬の毛の生え方は人間とすこしちがいます。わたしたちはひとつの毛根から一本の毛が生えていますが、犬の場合ひとつの毛根から複数の毛が生えていることがあるのです。
ひとつの毛根のうち、1本だけ生える長い毛を上毛(トップコート)、複数生える短い毛を下毛(アンダーコート)と呼びます。
上毛だけの被毛をもつ場合をシングルコート、下毛ももってる場合ダブルコートと呼ばれています。なお下毛だけをもつ犬種は存在しません。一覧でまとめてみましょう。
・上毛(トップコート)
下毛より長く1本だけ生える硬めの毛
・下毛(アンダーコート)
複数ある短くやわらかい毛
・シングルコート
上毛だけをもつ場合の呼び方
・ダブルコート
上毛と下毛をもつ場合の呼び方
下毛をもつことのメリット、デメリット
下毛は密集して生えることで湿度を保ったり、極寒の環境に耐えるための工夫です。寒さに強くなりますが、その分暑さに弱くなります。また季節ごとの抜け毛の大部分は下毛によるものです。
下毛が抜けることで夏場はシュッとした見た目になり、暑さにある程度耐えることができます。しかし、日本の夏は犬にとって厳しい環境であることが多いので、飼い主さんがしっかりケアしてあげましょう。涼しい部屋を用意してあげたり、こまめに水を与えたりするのが効果的です。
一方、上毛だけをもつ犬種は換毛期がなく、また抜け毛も少ないためアレルギーの方でも飼いやすいメリットがあります。しかし人間と同じように毛がどんどん伸びていく子もいるのでトリミングの必要性が生まれてきます。
まとめると、ダブルコートは保湿性や保温性に優れる一方暑さに弱く換毛期の抜け毛量が多い。シングルコートは換毛期がなく比較的抜け毛が少ない一方寒さに対する準備がむずかしいのですね。
ダブルコートの換毛期時期
ダブルコートのわんちゃんたちは季節の境目に換毛期があります。この時期は下毛が大量に抜けるため、犬種によってはたった1度のブラッシングでゴミ袋をいっぱいにするほどの毛が抜けます。わたし(犬物語)も換毛期があるラブラドール・レトリーバーと同居してますが、換毛期は手でなでるだけで毛が抜けるんですよね。
換毛期は基本的に春と秋ですが、さいきんは急激に季節が変化したように感じることが多いですね。アナタ自身の健康にも気をつけつつ、わんちゃんたちの毛の抜け具合を観察してみましょう。
なお毛の長と抜け毛の多さは関係ありません。パグなどの短毛種でも大量に抜け毛がでます。抜け毛の量が関係するのはそのわんちゃんが暮らしている環境にあります。年間とおしてあまり気温変化がない地域であればそれほど激しい換毛期はなく、逆に気温差が激しい地域ならそれだけ換毛期に多く毛が生え変わります。ふしぎですよね。
抜け毛が多い犬種は?
YouTubeチャンネル、シヴァ犬こむぎっす-KOMUGI:投稿動画より
換毛期が多いのはダブルコートの犬種です。ズバリ書けばダブルコートの犬種はぜんぶ抜け毛が多いのですが、たとえば家庭犬として大人気のポメラニアン、コーギー、チワワなどは総じて抜け毛が多いですね。ここではとくに抜け毛が多い犬種代表を紹介します。
・日本犬
・ゴールデン・レトリーバー
・シベリアン・ハスキー
・サモエド
・グレート・ピレニーズ
実は日本犬は総じて抜け毛が多いんです。日本は四季が比較的はっきりしており、その気候に適応した日本犬はやっぱり抜け毛が多いですね。とくに大型犬であれば表面積に比例して抜け毛量も多く、秋田犬の飼い主さんは苦労してるのではないでしょうか?
ダブルコートで大型犬のコンボは破壊力がデカいです。とくに寒い地域で暮らすハスキー、サモエド、ピレニーズは1度のブラッシングでゴミ袋を満タンにしてしまうレベルと言えるでしょう。抜け毛だけで布団が作れるかもしれませんね。
プードル、パピヨンなどシングルコートのわんちゃんは換毛期のようなドッサリ抜け毛はないですが、年間とおして少しずつ毛が抜けていきます。また人間並に抜け毛が少ないプードルなどの犬種は毛が伸びていくためトリミングの必要性もあるでしょう。
換毛期のお手入れ方法
換毛期のうち、春は夏用のシュッとした下毛に生え変わり、冬はモコモコした下毛に生え変わります。とくにモコッとした毛が抜ける春の換毛期が一大イベントで、飼い主さんは気合いを入れてブラッシングすることになるでしょう。
重要なのは毎日少しずつブラッシングすることです。換毛期に処理する量が減りますし、自然に抜けて床に散乱する量も抑えることができます。あらかじめ夏用に短くカットすることで涼しくなり手入れもしやすくなりますね。自分でやるのが不安だという場合はトリマーさんにまかせれば安心です。
抜け毛は全身イッキに! ではなく部位ごとに抜けやすさが変化してきます。頭部はどの犬種も抜け毛が少ないですが、逆に胴体部は激しく毛が抜けますね。さらに四肢としっぽも抜けるので、極端に書けば頭部以外は全部抜けるとイメージして良いでしょう。
プッシュで毛を押し出せる便利なスリッカーブラシはこちら
抜け毛処理の基本はブラッシング
抜け毛処理の基本はなんと言ってもブラッシングです。わんちゃん用にスリッカーブラシをひとつ用意しておきましょう。なお、スリッカーブラシは金属である場合が多く、わんちゃんの皮膚は人間より薄いので注意が必要です。犬用ブラシの多くがボタンを押すと毛を押し出してくれる便利機能付きだったりします。
黒ラブと同居してる中で実感した感覚からすると、ブラシをおすすめする一方でコロコロはあまりおすすめできません。コロコロは表面の毛を吸着するだけなので肝心な下毛を処理できず、また張り付く感覚をイヤがる犬もいるでしょう。我が家の黒ラブもコロコロはすこしニガテだったりします。
ブラッシング中、毛が風に舞わぬよう扇風機などは止めておきましょう。床にけっこうな量の毛が落ちるので犬の抜け毛も吸い込みOKな掃除機があると便利ですね。市販の掃除機はすぐ壊れてしまいそうなので、愛犬用にブラッシング用掃除機をひとつ用意するのも良いでしょう。
日頃からブラッシングすることで皮膚病を防ぐことにも繋がり、また頻繁なスキンシップで身体の異常にも気づきやすくなります。身体に異常がないかチェックしつつ、よろこぶわんちゃんとの絆を再確認しておきましょう。
アナタと、アナタの“家族”がしあわせでありますように。
ブラッシング後のごほうびも大切ですよね?
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