【京都】京都の”ゆば”は湯葉と書く。じゃあ日光の”ゆば”は?【日光】

YouTubeチャンネル、nikko kurutabi:投稿動画より

ゆばの原料はなに? どんな料理があるの? 日光ゆばの魅力をたっぷり紹介!

 豆乳をただ温めて表面の膜をすくい上げるだけ。それが『ゆば』と呼ばれる料理です。そのまま食べても美味しく、乾燥させて様々な料理に使うことだってできます。ぐるぐる丸めて出汁を染み込ませたり揚げたりするとこれがほんっとにおいしい!

 わたしは日光市民です。日光は昔から『ゆば』が特産品として有名ですね。そのほか京都方面でもメジャーだと聞きます。いずれも山岳信仰の起源からはじまり、肉や魚を食わないための精進料理として栄えた歴史からゆばが食されるようになりました。

 わたしは日光市民、かつ東京より西方面は修学旅行でしか行ったこと無いので――京都の方には申し訳ないのですが今回はガッツリ日光湯波推しの記事にしていきます。ジャンジャン推していきます。

栃木県
 日光ゆばの紹介ページは こちら

ゆばの歴史は? どうやって作るの?

 ゆばの漢字は京都方面で用いられる『湯葉』が一般的でしょう。中国発祥で、奈良時代に生存した仏教徒の『最澄(さいちょう)』が遣唐使として中国に旅立ち、仏教ほかもろもろの文化を輸入した際ゆばも持ち込まれたとするのが有力説。最澄は仏教のなかでも天台宗の人で、京都湯葉発祥の地とされる比叡山延暦寺も天台宗のお寺。そして日光湯波を郷土料理としてもつ日光の社寺のお寺も天台宗です。

 京都方面は『湯葉』と書かれ、日光では『湯波』なんですね。ゆばというネーミングの語源は諸説ありますが、歴史的に『(うは) → 湯婆(うば) → ゆば』と変遷したのではないかと言われています。最終的に豆乳の表面にできた膜の見た目から、京都民には『』に見えて日光民には『』に見えた――なんとなく土地柄が出ているような気がしますね。これには製法もすこし関わっているので後でしっかり解説していきます。

 ゆばが書物に登場するのは安土桃山時代。茶人の『松屋久政』が記録した『松屋(久松)茶会記』の1587年1月分に記された一節です。このときはゆばではなく『豆腐皮』表記。湯葉、湯波は江戸時代に入ってから漢字が当てられるようになりました。ちなみに英語でゆばは『Tofu Skin』と書きます。

 日光、京都の『ゆば』は漢字こそ違えど、どちらも以下の製法で作ります。しかし最後の段階で決定的な違いがあります

大豆を水洗い
浸水で水を吸わせる

  一晩程度浸す
すりつぶし出汁を煮沸
  ※ これを『呉汁(ごじる)』と呼ぶ
④ ろ過して『豆乳おから』に分ける
  ※ 豆乳を使う
⑤ さらにろ過を繰り返し、木枠に流し込み湯煎
⑥ 表面のを引き上げて完成

 作り方自体は京湯葉も日光湯波もおおよそ同じです。決定的な違いは『』の行程。京都方面は膜の隅を掴んで引き上げるのですが、日光ゆばは金串を中央に通して引っ張り上げます。なので京都は1層日光は2層構造のゆばになりますね。

 日光の『湯波』は2層構造なので厚みがある上、層の間に豆乳が残りやわらかくぷるんとした食感を楽しむことができます。

 焦げ付き防止のため湯煎で温めます。豆乳の温度はとても高く、後に紹介する動画では90度の高温にもなります。そこに棒を差し込み引き上げるのはまさに職人芸ですね。

ゆばの種類

YouTubeチャンネル、世界の検索ランキング アドハック!:投稿動画より

 引き上げたゆばをそのまま『生ゆば』。温度や時間を調節することでより分厚いゆばをつくることも可能です。そのほかいろいろな『ゆばのかたち』があるので一気に紹介しましょう。

生ゆば(引き上げゆば)
  取り出したそのままの形
  さしみとして食されゆば本来の味を楽しめる
よせゆば
  ゆばをとうふ状にしたもの
  見た目や食感は豆腐。しかし味はゆばという不思議な感覚を味わえる
干しゆば
  上げたゆばを自然乾燥させたもの
  形状も様々で、主に料理の具材として用いられる
巻ゆば(小巻ゆば)
  ゆばを巻きこみタイヤのような形にしたもの
  そのまま食べるほか揚げ料理、揚げた後煮物具材にするなどでよく使われる
たぐりゆば
  ゆばを巻き込みボールのような形にしたもの
  そのまま食べるほか煮物料理などでよく使われる

 ゆばはそれ自体が食材となり、様々な料理の材料にもなります。植物性たんぱく質が豊富で栄養満点なのでダイエットや健康志向食としても強くおすすめできる一品ですね。

地元民推奨! 日光のおすすめ湯波料理

 日光では様々なオリジナル湯波料理が楽しめ、とくに有名なのは東武日光駅前で販売される名物『日光 揚げゆばまんじゅう』でしょう。日光駅に到着したらまずは揚げゆばまんじゅうを食べて胃袋の準備運動。東照宮への道筋にあるクレープ屋さんに色とりどりのB級グルメ水ようかんなどを食べに食べまくってから東照宮を臨む、というのが地元民のわたしがおすすめする世界遺産観光ルートです。そのほか、わたしが個人的におすすめする観光ルートを下記にてご紹介しています。

内部リンク
 地元民がおすすめする観光ルートは こちら

 日光ではさまざまな湯波料理がありますが、昔から定番の郷土料理として知られているのは『揚げまき湯波の煮物』です。揚げた巻湯波をさらに煮詰めるというゼイタクな調理法。地元では正月や祝い事では必ず食べられている逸品なのです。

 日光のスーパーでは味付き巻きゆばが当たり前のように並んでいます。おいしい汁をたっぷり吸い込んだ日光ゆばは、ミッチリ味が染み込んだ湯波はやわらかい食感で、歯を通した瞬間じゅわぁ~っとジューシーな味わいと香りが広がっていきます。

 日光名産の土産物としても最適

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 地元日光市に直売店がある『日光ゆば製造』では定番のさしみ用ゆば他、ゆばを使ったハンバーグやしゅうまいなどオリジナル商品も手掛けています。縁日やお歳暮、家族とのちょっとぜいたくなひと時にピッタリだと思いませんか?

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自宅でカンタンゆばメイキング!

YouTubeチャンネル、家の光協会:投稿動画より

 買って食うまでの時間がもったいない! 自分で作りたい! っという方に朗報です。自宅でカンタンにゆばが作れちゃう方法があるんです。作業はたったの1行程!

・市販の豆乳をフライパンやホットプレートなどで温める

 火加減は焦げ付き防止のため弱火で、上記動画を参照すると、ホットプレートの場合140度程度がちょうどよいそうですね。豆乳はできるだけ無調整豆乳にしましょう。

 豆乳が温められると表面のたんぱく質と脂質が熱変性(ラムスデン現象)して膜が形成されます。牛乳をレンジでチンしたらできるアレですね。豆乳でも可能ですがわざわざレンジでチンして1枚ずつ作るのはあまりにもコスパが悪すぎる! フライパンやホットプレートなら放っておくだけでどんどん膜が作られていくのであとはサッと引き上げるだけ。

 そのまま食べる、しょうゆや酢につけるなど味変はお好みでどうぞ。

 火加減や時間を調整するだけでアナタ好みの厚さをチョイスできます。隅っこをつまんで京都風にするか、菜箸を差し込み日光風にするかはアナタ次第。早く食べたいって方はもうテキトーに箸でつまみ上げちゃいましょう!

大豆から作りたい!

 大豆から呉汁精製、ろ過はかなりタイヘンなのでオススメできません。というより専用の器具が必要なのでほぼ不可能でしょう。チャレンジしたい方はぜひ上記で紹介した行程や動画を参考にしていただければ幸いです。

AgriLnowledge、日本醸造協会誌より
 ゆばの凝固に関する詳しい研究内容は こちら

日光にお越しの際はぜひ”湯波”をご賞味ください

YouTubeチャンネル、U字工事の旅!発見:投稿動画より 15:10から豆乳の熱さがわかります

 今回は『ゆば』について書きましたね。わたしは日光市民なので京都方面の歴史に疎いのですが、京都方面でもすばらしい『湯葉の歴史、文化、郷土料理』があると思います。どっちのほうが良いかではなく『どっちも良くてどっちも美味しい!』気持ちで、日光観光にお越しの方はぜひとも日光湯波をご賞味ください。

 京都の方、待ってますよ?

 もっと日光湯波の魅力を知りたい! っという方はぜひとも栃木県民が誇るお笑い芸人『U字工事』さんがアップしてる動画をご覧ください。アナタの胃袋に幸多からんことを。

農林水産省、うちの郷土料理
 栃木県日光市:揚げまき湯波の煮物の紹介は こちら

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