エイプリルフールの起源はナゾだけどなんかオモシロイからいいや【歴史・解説】

ウソをついてもいい日 みんなで笑ってバカになるわかりやすい解説

 毎年4月1日は『エイプリル・フール』ですね。英語では『 April Fool’s Day(All Fools’ Day) 』と呼ばれ、世界中でウソやイタズラなどが横行するインモラルな状態になります。

 またフランス語圏では『Poisson d’avril(4月の魚)』と呼ばれ、魚の絵が書かれた紙を背中に貼り付けるという奇妙な習慣があります。

 エイプリルフールの正確な起源は不明ですが、このことばが使われるようになったのは中世以降であり、実はごく最近になって登場したものなのですね。

 みんなでウソをついてバカ騒ぎするエイプリルフール。いったいどのようなまつりなのでしょうか?

エイプリルフールの歴史、文化などをわかりやすく解説

 エイプリルフールというと、アナタはどのような日をイメージしますか?

<strong>Aさん</strong>
Aさん

ウソをついても許される日?

 だいたいこんな感じですよね。エイプリルフール文化が根付く国は、4月1日に限りウソつきが蔓延するようになります。しかしそれらの根拠や歴史についてはナゾが多く、巷ではいくつもの説が行き交っています。

 日本やアメリカでは『ウソ』の文化ですが、フランス語圏ではウソと同時に『おさかな』の文化だったりします。フランス語圏では『Poisson d’avril(4月の魚)』という名前になり、気づかれないよう他人の背中に貼り付けるナゾだらけのイベントがあちこちで発生します。バレた際は「Poisson d’avril!」と叫ぶので日本でやる際はぜひマネしてみましょう。

 そのほかいろんな国で独自のエイプリルフールがあります。これらの起源はどこにあって、どのような文化が根付いているのでしょうか?

エイプリルフールの歴史

 説自体はいくつかありますが正確な起源は不明です。日本では大正時代に中国から伝わったとされ、中国では19世紀から『万愚節(ばんぐせつ) = 愚人节』として存在しています。さらに遡るとインドの『揶揄節』につながるとされていますが、インドの公用語(ヒンディー語)[ अप्रैल फूल दिवस = 4月・花・日 = エイプリルフール ]で起源を検索しても、揶揄節に関連する事柄がヒットしませんでした。もとをたどると宗教研究家の『ひろ さちや(本名:増原良彦)』氏著『やじうま歳時記』に記された内容とされています。おそらく仏教関連の逸話だと思われますが、これが実際どのくらいエイプリルフールと関連するかは未知数と思われますね。

 インド、ヒンドゥー教の祭りである『ホーリー(Holi)』が起源ではないか? という説があります。神とその后の愛を祝う日とされ着色料マシマシの粉や水をみんなでぶっかけあうという、今でも人気な3月のお祭りですが、これは4世紀ごろから始まったとされています――なお、インドにおけるエイプリルフール文化はイギリス統治下にある19世紀に伝わりました。

 西洋のエイプリルフール起源として、古代ギリシャにあった『ヒラリア(Hilaria)』が挙げられます。ラテン語で『陽気な(Hilaris)』からくる言葉で、春分の日に神々の母を祝う宗教的なお祭りでした。この日は食べ物を食べたり、警察的な立場にいる人も仮装パーティーに参加したりしたそうです。

名古屋商科大学
 インドのHoli現地レポートは こちら

 ホーリー、ヒラリアともに収穫の喜びを祝う側面が強いですね。食料がたくさんあるということはそれだけ安全が確保されるということ。それだったらどんな人だって、ちょっとはハメを外したくなってきますよね? ――エイプリルフールとは、そんな人たちの願いが詰まっているのかもしれません。

結局確かなルーツはわからないの?

 有力な説として『暦の変化』があります。

 現在は『グレゴリオ暦』が使われていますが、1582年までは『ユリウス暦』が一般的でした。後により精度が高いグレゴリオ暦が採用されることになり、このおかげで1日の誤差が生じるまで3000年以上かかる程度まで精度が向上しました。

 当時のローマ法皇『グレゴリオ13世』が、その当時行われた議決に基づいて1582年10月4日の次の日は10月15日という決定を下したのです。さらに1月1日を正式な元日という扱いにしました――が、ここでいくつかの問題が生じます。

こうしてエイプリルフールが誕生した

 グレゴリオ13世によって新しい暦が宣言されました、それによっていくつかの問題が生じました。

<strong>プロテスタント</strong>
プロテスタント

こちらの教義に反するので採用できない!

<strong>村娘</strong>
村娘

そんなこと言われても、わたしたちにとって元日は3月よ?

<strong>田舎民</strong>
田舎民

――え? 暦変わったってホント?

 ローマ法王の宣言ですが、これは各領地の制度を変える権限まではもっておらずカトリック教徒の間で広まるのみでした。つまりプロテスタントやその他の宗教観をもつ人々にはなかなか浸透していかなかったのです。同じキリスト教でもクリスマスの期間が異なるなどいろいろありますよね。

 また、当時はスマホなんてありませんから通信手段はすべて人力です。辺境の村々にはゆっくり浸透していくので場所によってはユリウス暦のままだった、ということも珍しくなかったでしょう。

 当時のヨーロッパの人々にとって1年のはじまりは3月25日(聖母マリアの受胎告知日)でした。その日から4月1日までお祝いをしていたのですが、グレゴリオ暦で11日後にずれこんだので地域差が生じ、時期が違うのに新年のお祝いをしていることを揶揄して笑い話にしたことから『エイプリル・フール』につながったとされています。

 日本でも8月にある『おぼん』は、地域によっては旧暦通り7月15日前後に行われる地域がありますね。そういった差を笑い話にしたようなものです。これはあくまでも有力な説だというだけでゼッタイではありません

国立天文台
 ユリウス暦とグレゴリオ暦に関しては こちら

昔の3月は1年のはじまりだった

 現在はグレゴリオ暦が使われていますが、それ以前のヨーロッパはユリウス暦が、さらにそれ以前はヌマ暦、さらに以前はロムルス暦というローマの初代王の時代に誕生した暦があります。

 ロマルス暦は紀元前7世紀に誕生した暦ですが、当時の暦をグレゴリオ暦に当てはめると1月2月に相当する月がありませんでした

1月 = 31日間。マーズの月(戦争・農業の神)
2月 = 30日間。アフロディーテの月(愛・情熱・欲望の神)
3月 = 31日間。メイアの月(豊穣・母性の神)
4月 = 30日間。ジュノーの月(神々の女王・結婚出産・月の女神)
5月 = 31日間。5番目の月
6月 = 30日間。6番目の月
7月 = 30日間。7番目の月
8月 = 31日間。8番目の月
9月 = 30日間。9番目の月
10月 = 30日間。10番目の月

 5月以降のネーミングはどうしたのでしょうかねぇ……ふさわしい名前を考えてるうちに力尽きたのでしょうか? ――1年は1月から10月までの10ヶ月間。さらにロムルス暦の1月は、現代の暦でいう3月に当てはまります

 ロムルス暦での1年は304日ですが、この他月にカウントされない日数が60日程度あったとされ、春の訪れと同時に新しい1月(現代の3月)が始まりました。

 ロムルスの没後、新たにローマ王となった『ヌマ王』が作った暦では、新たにヤヌスの月(門、戸口の神)フェブルウスの月(月・浄化・冥界の神)が追加され、さらに戦争の影響によってこれらの月を現在の1月、2月に当てはめることになります。紀元前1世紀ごろにはグレゴリオ暦に似た形が完成し、さらに『ユリウス・カエサル』の暦改革によってユリウス暦につながっていきました。

 暦は国や文化によって多様性があります。わたしたちも日本固有の暦を大切にしていきたいですね。

国立天文台、暦Wiki
 ロムルス暦に関しては こちら
 ヌマ暦に関しては こちら

各国のエイプリルフール文化

YouTubeチャンネル、ARuFa:投稿動画

 エイプリルフールのイタズラは各国によって様々です。英語圏では午前中にウソをつき午後にネタバラシをする手法がメジャーだと言われていますね。日本のテレビ番組のようなドッキリを仕掛けることもあり、そういうときは「エイプリルフール!」と相手に宣言することでネタバラシをします。

 フランス語圏では『Poisson d’avril(4月の魚)』として、イタリアベルギースイスなどでも同じ意味の言葉で知られています。魚は主に『サバ』を指し、漁で面白いように穫れることからバカな魚というイメージがあり、魚の絵が描かれた紙を背中に貼り付け、バレた瞬間に「Poisson d’avril!」と呼ぶ風習があるのですね。

 フランスなどではこの日に合わせて魚関連の商品が並ぶようです。機会があれば食べてみたいですね。

 スコットランドでは『カッコウの日(Gowkie day)』と呼ばれ「カッコウを狩ろう」という趣旨のメッセージを送り、それを受け取った人は他の人に同じメッセージを送らなければならないなど、日本でも聞いたことがあるような風景が見られます。

 ウクライナではコスプレ衣装で街を歩くイベントがあり、中東スペイン語圏でも日にちは異なれど同じような文化があります

メディアのエイプリルフール

YouTubeチャンネル、MySwitzerland(スイス政府観光局:投稿動画 BBCで実際に放送されたスパゲッティの収穫“に関するニュース動画

 世界的に、4月1日は報道機関でもジョーク混じりの番組が進行され報道倫理に触れないレベルでのジョーク記事やおもしろ記事が散見されるようになりますね。

 企業でもエイプリルフールだけの限定ページを作ったり、動画をアップしたりする光景があたりまえになりつつありますね。昨今は有名なYouTuberなどもこういった企画をはじめており、もはやエイプリルフールは世界的なミームと呼んでいいのかもしれません。

 なお、一時期ウィキペディアで『嘘の嘘の新年』と称したニセ情報が出回っていました。こういった情報は一部正確なモノが含まれているだけに信憑性が高く騙されやすくなります。情報源をしっかり確認して、正しい情報を得られるよう対策しなければなりませんね。

TERMINOLOGY COORDINATION
 世界のエイプリルフールに関しては こちら(英語)
Wikipedia
 2006年当時の記事内容は こちら

 毎年4月1日はウソをついても良い日です――たぶん。ってことで、日頃正直じゃなきゃいけない圧力から開放されてたっぷりウソをつきまくっちゃいましょう。

 ちなみに、近年の研究で円周率に関する計算間違いが発覚し、今では円周率が10ケタとして扱われています。小学校ではすでにそう教わっており、今は10ケタで計算しているはずなのでお子さんに確認してみてください。

 エイプリルフール! なお、この記事を4月1日以外に閲覧してる場合は改めて4月1日に閲覧してください。

 ドッキリおもちゃにゴキブリ(わんちゃん用)がべんり

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