【入門用】睡眠の”4ステージ”についてわかりやすく解説

睡眠には4つの”ステージ”がある 良質な睡眠のためのテクニック

 みなさんは1日にどれくらいの睡眠時間を確保しているでしょう? わたしが個人的に尊敬している『樺沢紫苑』氏をはじめ、様々な心身の健康に関する著書ではたびたび睡眠についての話題が登場します。などについて記述がありますが、それらを総合的に見てみると、おおよそ毎日7時間以上程度の睡眠は確保したほうが良いようです。

 わたしも睡眠時間を日記に記しているのですが、毎日7時間以上の睡眠は確実に確保するようにしています。というのも、以前試しに睡眠時間をどんどん減らしていったのですが、やはりというか驚くべきというか、7時間を切ったのパフォーマンスが目に見えてい落ちていたからです。

 今回は睡眠の4つのステージと、良質な睡眠を得るためのテクニックを紹介していこうと思います。

睡眠の質を上げるには健全な生活習慣から

  睡眠は『心身のメンテナンス及び回復』をする時間になります。 ここ数十年、日本のみならず世界各地で『健康ブーム』の大波が押し寄せています。時代の変遷にともない様々な健康法が紹介されては廃れていきました。それらをすべて覚えている方はどれほどいるでしょうか? そもそも、それらの健康法に科学的根拠などがあったのでしょうか?

 睡眠は、人間が健康的に生活するためのまさに基本と言えるでしょう。安定した睡眠時間、良質で深い睡眠は、わたしたちの心身に素晴らしい回復をもたらしてくれます。よく「睡眠の”質”が大事だ」なんて言われますが、では良質な睡眠とはいったいどのようなことを指すのでしょうか?

判断基準は? ――目覚めスッキリ! 気分爽快!

 先程も書いたように、睡眠は『心身のメンテナンス及び回復』をする時間になります。その作業が滞りなく終了したのであれば、アナタの身体は目覚めた時とてもリフレッシュしているはず。そんなときは目もぱっちりと冴えて「これからがんばるぞ!」という心持ちにさせてくれます。精神科医の『樺沢紫苑』氏も、目覚めた時の気分を睡眠の質の判断基準とする旨をたびたび述べていますね。

 睡眠から目覚める時は『コルチゾール』の量が増えます。これはストレスホルモンなんて不名誉な呼び名がついていますが、身体を覚醒させ目覚めさせる重要な役目も担っていますので決して不要なホルモンというわけではないのです。そもそもストレスを感じるのは生物の生存戦略として必要なことなのですが、今回の趣旨とは逸れますので細かい解説は省きます。

睡眠の質を下げる生活習慣

 良質な睡眠ばかり紹介されていますが、逆に悪い睡眠とは? という疑問を考えることで答えが見えてくるかもしれません。睡眠の質が下がる条件を知れば、それを避けることで結果的に良質な睡眠に近づけられるわけですが、もっともよく耳にするのは『ブルーライト』の存在でしょう。はい、みなさんが今受けているディスプレイから発せられる光のことです。

 著書によると、ブルーライトは太陽の光に似ているため、体内のメラトニンの分泌が遅れ睡眠の時間が後にずれるとあります。ただし、結局夜間に強い光を浴びること自体が体内時計のズレを招くのでどのような光を浴びることもオススメできません。現代社会では夜間であれ関係なく明るい部屋で過ごせるようになり、身体が眠るための準備をなかなかさせてくれない事情があります。

 そこでまず必要になるのは『夜間に受ける光の量』です。もし、アナタの部屋の電気が自由に光量を調節できるものであれば、たとえば30分ごとに暗くしていくなどの工夫をして、身体に眠る時間が近づいていることを教えてみましょう。自動的に設定してくれるライトならなおさら良いですね。

日中に日の光を浴びて”昼”を体感させる

 眠る時間。逆に言えば活動する時間です。身体にメリハリをつけるためにも、日中はなるべく陽の光を浴びるようにしましょう。著書では日中に強い光を浴びた上で、就寝前にタブレットを使用した実験が記述されていますが、なんと充分な光を日中に浴びていた場合は、輝度を最大にしたタブレットを2時間使用しても睡眠に影響を与えないという結果が得られたようです。

 気になって元の論文を探した結果それらしいものを見つけたのでご紹介します。ここで簡単に要約すると次のようになり、読書以外、たとえば刺激が強い動画視聴などの場合は追加で研究する必要があるようですね。英語が読める方はぜひとも原文を読んでみていただきたいです。

・タブレットで2時間、夕方の読書をした結果、睡眠メラトニンレベルは変化しなかった
・睡眠、入眠時、睡眠組成に対して影響は見られなかった
・徐波睡眠中のパワースペクトルにも影響を与えなかった


参照論文
Rångtell, Frida H. et al.
Two hours of evening reading on a self-luminous tablet vs. reading a physical book does not alter sleep after daytime bright light exposure
Sleep Medicine, vol 23, 2016, pp. 111-18

 強い光を浴びれば良いというわけではなく、あくまでも身体に正しく昼を認識させ、正しく体内時計を刻ませることが重要となります。昼に活動して夜に休息する。そんな生物として当たり前の行動をより意識して行えば、身体は夜になると勝手に睡眠モードに移行してくれるでしょう。

運動はアナタの身体を裏切らない

 運動は活動的な時間である昼に行うと良いでしょう。とくに素晴らしい目覚めのために朝散歩を行い、日が高いうちにしっかりと身体を動かすことが重要です。逆に夜間の運動睡眠の準備を妨げる結果となるため注意が必要です。ある著書では15 ~ 17時内の持久系スポーツが理想とされていますが、児童生徒や学生であれば学校終わりの部活の時間なので健全に行うことができます。しかし仕事終わりの方の場合は難しいですね。こういった場合は最低でも就寝時間の4時間前には運動を済ませておいてください。

 1時間以上の運動は逆コルチゾールを増加させてしまうのでやりすぎには注意してください。

食べたものは睡眠中も消化している

 良い食事をしましょう、それは健康に関する本では必ずといっていいほど登場する話です。しかし、そのタイミングまで言及した本となるとそうそうありません。良質な睡眠のためには食事のタイミングも運動と同じくらい重要な要素になります。

 結論を述べれば、食事は7~19時の間に済ませるのが最適です。朝食を食べ身体を起こし、眠る前にはなるべく食べず睡眠中に消化器官が働くのを最低限にする。これでバッチリです。また食事のメニューも、たとえばジューシーで脂たっぷりなお肉、食物繊維を多く含み消化が長くなる食べ物などは夜遅くに食べることを控えるべきです。繰り返しますが、消化器官を睡眠中にも働かせることは良質な睡眠を得られません。

 とくに現代の食事は朝や昼は軽めでも、夜は豪華なディナーを食べるといった習慣が多いように思います。もっとも気をつけるべきはコーヒーなどに含まれる『カフェイン』。これに関してはみなさんも「ああ、それね」と思われるかもしれません。実際カフェインの効果は非常に強力で、夕方以降にカフェインを摂るのは控えたほうが良いのかもしれませんね。

コーヒーの適切な摂取時間はお昼のティータイムです

睡眠の4ステージとは?

 人間の睡眠には4つのステージが存在します。どれも身体の回復に重要な役割を担っています。それらをひとつひとつ解説していきましょう。ちなみに厚生労働省の『e-ヘルスネット』にも睡眠に関する情報があります。

厚生労働省、e-ヘルスネット
 ノンレム睡眠については こちら

第1ステージ:覚醒から睡眠へのシフト

 身体がリラックスしてくると、筋肉が弛緩してきて脳波が徐々に緩慢になっていきます。覚醒時に見られるアルファ波が減少し、浅い眠りと捉えることもできます。この状態から声をかけることで起こすこともできますが、どこかウトウトとした気持ちのままでいるでしょう。総睡眠時間の中の割合でいえば5%ほどになります。まさに入眠への段階ですね。

 学業に打ち込むみなさんの中には、机にヒジをついてうとうとしていた時、ふと身体がビクン! となってしまった経験はないでしょうか? これは『ジャーキング』と呼ばれ、身体が睡眠状態に入ろうとしているときに身体のバランスを司る神経が反応して起こるものとされます。これは最後まで入眠状態に入らない器官で、つまり脳が『バランスが崩れて倒れる! 姿勢を保て!』と警鐘を鳴らしているわけですね。

第2ステージ:睡眠紡錘波の重要性

 全体の50~60%を占める貴重な時間となります。深い睡眠ではありませんが、この段階では『睡眠紡錘波』という脳波が現れ、ゆったりとした脳波である『大除波』と睡眠紡錘波の活動が特徴的なステージになります。

 睡眠紡錘波は『視床』から『大脳皮質』へ送られる速くリズミカルな脳波であり、記憶の定着に関わっているとされています。とくに運動に関する皮質で生じることから、この波によって運動能力の発達が促されると考えられています。睡眠紡錘波は精力的な人に多く出現していることが知られていますので、常に新たな刺激を求めることが鍵なのかもしれませんね。

 睡眠紡錘波は睡眠状態を維持するためにも必要です。上記で紹介した視床は感覚器官からの情報を受信するのですが、この脳波を出している間は外部からの信号を遮断しているのです。さらに大序波と睡眠紡錘波を複合した『K複合波(ケーコンプレックス)』という脳波も睡眠を維持するのに活躍します。

第3ステージ:石のように眠る”熟睡”時間

 脳も身体も深い眠りに落ち、成長ホルモンが増える貴重な時間です。この時間帯では血圧や心拍数などが覚醒時より低下しますが、脳はこの時間帯最も活発に働きます。大脳皮質がより頻繁にコミュニケーションをとるようになり、その脳波の特徴からこのステージは『徐波睡眠』とも呼ばれます。

 この段階で起きることは滅多にありませんが、大きな地震だったりムリやり覚醒させられると酩酊状態のような、意識が朦朧とした気分を味わうことができます。なので、この状態はそのまま『睡眠惰性』や『睡眠酩酊』などと呼ばれます。

 夜番を生業としている方にとっては日常茶飯事の経験でしょうか?

 この時間帯は『長期記憶』にも大きな影響を及ぼします。大脳皮質は上記の視床と、記憶を司る『海馬』に脳波を送り、海馬は『リップル波』という脳波を送って記憶を大脳皮質にインプットさせます。海馬は毎日この作業をしている一時的なメモリ記憶装置のようなものですので、いかに大脳皮質に情報を送り込んでくれるかがわたしたちの知識量の増加にかかっています。海馬にはぜひ頑張ってもらいたいものですね。

第4ステージ:夢を見る時間

 これは『レム睡眠』と呼ばれている睡眠で、みなさんも聞き覚えがあると思います。このレムというのは『急速眼球運動(Rapid Eye Movement)』を指し、寝入りのうとうとと似た状態になり、大脳皮質の活動が増加し非常に覚醒しやすい状況になります。自律神経が不安定になり男性の場合は勃起が見られます

 なぜ眼球運動があるのかはまだ研究途上ですが、この時間帯では記憶の定着が『ランダム』に行われています。海馬はレム睡眠中自らあちこちへ指示を送ることはせず、ずっと昔の出来事を思い出すのはこのレム睡眠のためなのかもしれません。

 これらのステージに関しては『クリスティアン・ベネディクト』及び『ミンナ・トゥーンベリエル』氏共著の『Sleep,Sleep,Sleep』により詳しく記されています。睡眠研究の最前線に立つ研究者と、ジャーナリストとして日々健康に関する記事を執筆する両者の共著であり、わたしたちが普段の生活でできる睡眠テクニックのヒントが多数詰め込まれている良書です。科学的根拠も据えて良質な睡眠について記されているまさに『睡眠に関するすべて』がまとめられた1冊ですね。

Bitly

厚生労働省、e-ヘルスネット
 レム睡眠については こちら

睡眠はサイクル

 睡眠は、上記の全ステージが19 ~ 120分の長さで繰り返されています。実はわたしたちは夜間に目が覚めているのですが、一瞬のことなので次の日にはまったく覚えていません。もし覚えていたとしたら非常に珍しい体験をしていると言って良いでしょう。

画像=厚生労働省、e-ヘルスネット:『眠りのメカニズム』より
 該当ページは こちら

本日の”ToDo”

①1日最低でも7時間以上の睡眠をとろう
  多くの著作を参照した結果得られた実感です
②睡眠の質向上をめざそう
  上記のテクニックを実践して、自分に合うかどうか確かめよう
昼寝をしよう
  1日15分、コーヒーでも飲んでゆっくりしましょう

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