英語学習は”単語”から! 全く異なることばを覚えるための必須勉強法とは?
日本人にとって、英語は文字からまったく異なる言語です。日本に住んでいると英語をちょこちょこ見かけはしますが、実生活で使うわけじゃないので英語を使う機会は少ないですよね。
そのせいか世界的にみても日本人の英語力は低いとされています。これは世界的にも有名で、文部科学省は日本人の英語力の低さを示すため、アメリカの教育試験サービスが主催するEOEFLの国別成績を参照して問題視するほどでした。
なお、TOEFLスコアは受験者個人が同じ母語、同じ出身国の他の受験者と比較する際には参照になりますが、各国ごとの受験者数や受験する層が異なるため絶対的な国の英語力の基準になるわけではないことに留意しましょう。
国際的な英語能力指数でも下位の成績になるなど英語力が危ぶまれる日本ですが、英語と似たことばを使うヨーロッパ諸国とは異なり、文字や文法などがまったく異なるので日本人は日本人に見合った学習法が求められるのだと思います。
では、日本人に合った英語学習法とはどのようなものなのでしょうか?
日本人の英語第一人者に学ぶ”最速”英語学習法
日本は開国後の明治時代から海外交流が盛んになりました。国際交流ですから英語能力の需要も高まっていき、英語を話せる日本人の需要が高まったこともありさまざまな英語学習法が開発されたのだと思います。
立教大学、早稲田大学、駒澤大学で教授を歴任し翻訳家でもあった『高橋五郎』氏は、アメリカ人から直接英語を学ぶなかで様々な日本人に合う英語学習法を研究していました。彼は自身の著書『最新英語教習法(1903年初出)』でそれらをまとめましたが、これは今でも通用するほどすばらしい単語記憶テクニックが詰まっています。
・ひたすら反復練習
・書きながら音読する
・関連語をセットで覚える
・例文の中で理解する
・定期的に思い出す etc…
英語はまったく異なる言語なので、五郎氏は『書く・読む・話す・聞く』すべてを毎日のように行うべきだとしていたのです。初版こそ1903年ですが、この時点で現代でも通用する勉強法ばかりですね。
五郎氏は英語学習の上で「単語の記憶と文法は重要だ」と述べています。新しいことばを学習する際、たとえ文法を知っていたとしても単語がわからなければ意味がありません。なので新しい単語をひたすら書いて、聞いて五感で感じて覚えることが重要だと説いたのです。
では様々な記憶術を駆使すれば英語力が向上するでしょうか? と言いたいところですが実はそれこそ落とし穴です。いったいどういうことなのでしょう?
英単語はこうやって覚えよう!
YouTubeチャンネル、英検1級講師Yoshi【TOEIC965, IELTS7.5, イギリス在住】:投稿動画より
心理学や脳科学の研究がすすみ、今では多くの記憶術が広まっていますね。記憶術を駆使するとき、たとえば元素表を覚える際「すいへーりーべーぼくのふね――」などと語呂合わせで覚えたことがあるのではないでしょうか?
それらは単語を覚えるため確かに有効的なのですが、英単語の場合それらを活用しなければならず、単語を思い出す際「すいへーりーべー」とやっている間にべつの会話。に流れてしまいますね。リスニングテストやスピーキングテストでも、そうやって覚えた単語はすぐ引き出すことができず、思い出そうとして時間をとられた上、次に流れてきた知っているはずの単語を聞き逃して……なんてことになりかねません。
記憶術は時間をかけて解く筆記テストの点数を底上げすることには有効的ですが、より実践的な英語学習においては使いこなすのは難しいでしょう。もしアナタが記憶に関するテクニックを活用したい場合、その方法がアナタにマッチしているかどうかしっかり見極めるようにしましょう
では、どのような方法が良いのでしょうか?
反復練習は書く・読む・聞く・見るすべてを使う
反復練習はどの分野でも定番の勉強法ですね。日本の英語学習第一人者の高橋五郎氏も反復練習の重要性を説いています。
書くことで覚えやすくなるのは、これまでの科学的研究で明らかになっています。英単語も同じことが言えますが、実はただ書き続けるだけだと飽きがきてしまい、逆に脳の記憶意欲が削がれてしまいます。
日本語は画数が多い漢字を多様するので書くことで覚えるのは重要です。しかし英単語の場合、漢字学習ほど書く必要はなく音読することをおすすめします。もちろん書くことも重要ですが、それ以上に日本人に馴染みのない音を聴き、それを口にしていくことで暗記効率を高めることができます。
五感すべてで英単語に触れていきましょう。
形が変化する過去形に注意
英単語の中には原型(現在形)、過去形、過去分詞形ほか多くの型がありますね。過去形には[ ~ed ]を付けるなど一定のルールがありますが、中には例外があるのでそれらも並行して覚えましょう。過去現在で形が変わらない[ read ]などの単語(AAA型)もあるので注意しましょう。
英単語カード(フラッシュカード)
これも王道の英語学習法ですね。英単語帳は日本のみならず万国共通で使われる勉強法で、小さなカードに単語が書かれ、その裏に意味が記されているものがリング等でひとまとめにされているものです。
英単語最大のメリットはランダムに順番を変えられることです。本の英単語帳の場合、すべて同じ順番で出題されるため飽きがきてしまい、やはり脳の記憶意欲が削がれてしまいます。リングに取り付けられたカードの場合、それらをリングから外して順番を変えるだけで脳に新しい刺激を与えることができます。
デメリットとしては作成に時間がかかることが挙げられます。1枚30秒かかるとして、100枚のカードを作成するならそれだけで50分、途中休憩を挟むと考えるとたった100単語を覚える準備をするだけに1時間を浪費する計算になります。
これを新しい単語を覚えようとする度にやるのでは効率が悪すぎますよね。そういう事情から、英単語カードを活用する場合書店などで販売されているものを使うことをおすすめします。どうしても自作したい! という方は電車移動などスキマ時間を活用すれば少しでも余剰時間を抑えられるでしょう。
危機感と実践こそ近道
アナタは今まで経験したことのない新しい仕事に取り組んだ時驚くほど速くいろいろなことを覚えることができた経験はありますか? ――脳は程よく緊張して「覚えなきゃ!」という気持ちが強ければより深く暗記することができます。
部活動で覚えなきゃいけない練習メニューだったり、仕事で必ず覚えなければいけない手順などはふしぎと覚えることができますよね? また、仕事や学校生活などはその生活を毎日するからこそ身につくのです。使うと覚えるのは誰もが実体験でわかることで、英語にも『use it or lose it = 使うか忘れるか』という格言があります。
英単語学習だって同じなんです。英語を使いこなせる人はみんな「実際に海外に言って生の英語に触れてみるといいよ」と口を揃えて言います。それは英語しか使わない人たちに囲まれて「英語を覚えないと何もできない!」という緊張感が生まれ、さらに毎日生の英語に晒されることで勉強するまでもなく英語に触れられ、英語を聞くための耳ができ、それらを自分の口で発音できるようになるのです。
アナタが海外移住できる環境にいるのであれば、迷わず行動することをおすすめします。
ムリにでも使う
なんて言っても、実際問題そんな機会がある人って少ないですよね。そんな時は、ささいな時間でも英語を意識して使うようにしましょう。
りんごを「りんご」ではなく[Apple]と口にしたり、脳内で思うことで意識的に英語を使い、脳に英単語を反復させていきます。もうなんでもいいのでとにかく英語を使って脳に「覚えなきゃ!」と思わせましょう。
アナタの執念が脳に革命を起こすのです。
理解して納得する
ものごとをすんなり受け入れられる子どもとは違い、オトナは理解と納得があってはじめて新しい知識を記憶します。たとえば『りんご = Apple』程度ならすんなり覚えられそうですが『 Inconveniently = 不便に 』など長く見慣れない単語になると記憶レベルが高くなります。
しかし、実は部品ごとに分ける作業をするととたんに理解しやすくなります。
ただでさえ分からない長い英単語を分けろだって? 覚えられるわけないじゃん!
ご安心ください。実はすっごくカンタンに仕留めることができます。なぜなら日本語でいう“部首“と同じだからです。
漢字の部首は、さんずいは水に関する漢字、月へんは身体に関する漢字などある程度の法則性がありますよね? それと同じように、英語にもある程度の法則があるのです。上記単語[ Inconveniently ]を分解してみましょう。
In ~
→ 否定の接頭辞
convenient
→ 便利
~ ly
→ 形容詞や副詞に変換する接尾辞
[ Convenient ]は日本にもよくあるコンビニエンスストアで使われる単語で便利なお店という意味ですね。それを否定する接頭辞がつくので『便利じゃない』となり、さらに形容詞(~な・~のような)化する接尾辞をつけて『不便に』という意味になります。
・The school is “inconveniently” located
→ その学校は”不便な“場所にある
物事をすんなり受け入れられる子どもとは異なり、オトナは物事を理解し、納得するとより強く暗記することができます。脳の傾向をうまく利用してどんどん暗記していきましょう。
画像や翻訳を活用する
英語には部首のような成り立ちがたくさん存在します。たとえば『光』という単語には[ Light,Shine,Twinkle,Bright ]など複数の単語が当てはめられそうですが、それらのひかり具合の差をGoogle画像検索などで見比べてみると「ああ、Shineは太陽みたいに”自らが光を放ってる”系の光なんだな」と納得して暗記することができるでしょう。
Google翻訳は単語ごとの直訳と、似たような訳の例をリスト化して表示してくれる便利な無料翻訳ソフトです。ただし文章やことわざなどは訳が暴走してしまうパターンもあるので、複雑な翻訳は同じく無料翻訳がつかえるDeepL翻訳やみらい翻訳などと使い分けることをおすすめします。
英語学習の近道は多くの単語を覚え、それらの使用例を英語の動画などで触れることだと思います。実際に英単語を暗記したいなら、ただ単語を並べるだけのテキストではなく実際の音声をテンポよく確認できる英単語学習であれば最高ですよね。
書く作業にある程度慣れたら、あとはネイティブの音声をひたすら聞いて単語とにらめっこして単語と音声をセットで覚えましょう。聞くだけでその単語と意味が浮かんできたらもうこっちのものです。
英語学習の入口は英単語を覚えることから。検定試験で好成績を収めたい、海外に行きたい、外国の人とたくさん話たい――人それぞれの目的やレベルにあった勉強法をチョイスしましょう。
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