PFCバランスが最適な食事は? PFCバランスはダイエットに有効なの?
PFCは『たんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)』の頭文字を合わせた言葉です。つまりは三大栄養素ですね。海外では『Macronutrients(多量栄養素)』と書く場合もあるようですね。それぞれの役割をまとめてみましょう。
・たんぱく質
身体を作る
エネルギー源になる
体の機能を調整する
・脂質
身体を作る
エネルギー源になる
・炭水化物
エネルギー源になる
炭水化物は『食物繊維 + 糖質』です。食物繊維について厳密な定義はあいまいですが、厚生労働省が発表する『日本人の食事摂取基準』では以下のような分類をしています。
・易消化性炭水化物 = 糖質
・難消化性炭水化物 = 食物繊維
つまり消化しにくい炭水化物はすべて食物繊維なのですね。役割を見ると「あれ? 炭水化物ってあまりいらないの?」という印象がありますが、炭水化物は身体が作る全エネルギーの半分以上を生み出すため必ず摂っておかなくてはなりません。
どの栄養素をどのくらい食べるのか? 現代社会は糖質や脂質を食べ過ぎだと言われていますが、重要なのは『何をどれくらい食べるか?』というバランスなのです。今回はそういったPFCバランスについて紹介します。なお今回紹介する内容は『日本人の食事摂取基準(2020年版)』でも詳しく知ることができます。
厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2020年版)は こちら
PFCバランスとは?
PFCバランスとは『食事の中での三大栄養素の比率』です。筋トレに勤しむ方がこれらのバランスを自由に変化させ筋肉を増やしたり、またダイエットに取り組むのはもはや常識となっています。一般的な食事におけるPFCバランスは、どれをどのくらい食べれば最適なのでしょうか?
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、一般的な成人男女の理想的なPFCバランスは以下の通りです。
・たんぱく質
13 ~ 20%
・脂質
20 ~ 30%
※ うち飽和脂肪酸 = 7% 以下
・炭水化物
50 ~ 65%
炭水化物が貴重なエネルギー源になることがわかりますね。たんぱく質や脂質は他の用途でも使われるためエネルギー源以外で活用されます。
何をどのくらい食べれば良い?
割合だけ紹介するのもなんですから、ためしに『エネルギー(kcal)』で考えてみましょう。たんぱく質と炭水化物は1グラム4kcal、脂質は1グラム9kcalで計算できます。PFCバランスを100%で考えた例を考えてみましょう。
下の例は『成人女性(18 ~ 29歳)の推定エネルギー必要量』である2000kcalから計算しています。
・たんぱく質
15% = 約 75g
・脂質
25% = 約 55g
・炭水化物
60% = 約 300g
次の例は『成人男性(18 ~ 29歳)の推定エネルギー必要量』である2650kcalから計算しています。
・たんぱく質
15% = 約 100g
・脂質
25% = 約 75g
・炭水化物
60% = 約 400g
これ、どのくらいの量なのでしょうか? ――わたしの手元にある『茹でそば』の食品を見てみましょう。
生蕎麦の1食(160g)あたりの栄養成分表示
・たんぱく質
9.5g
・脂質
1.5g
・炭水化物
48.2g
現代人が過剰に食べガチな脂質を抑え、身体をつくるたんぱく質が多いのでなかなか良い食材と言えそうですね。そばは必須アミノ酸である『リジン』の含量がきわめて多く、ビタミンやミネラルも他穀物よりはるかに多い特徴をもっています。
そばの栄養素で最も注目すべきは『ルチン』です。かつてはビタミンPと呼ばれていたルチンは毛細血管を強化し血圧を下げる働きがあります。現代社会でなにかと騒がれる生活習慣病ですが、血圧を下げ血管を強くしてくれるルチンは大きな味方になってくれるでしょう。
ちなみに、わたしが住んでいる日光市はそば処としても有名なんです。日光市でもとくに田園地帯が並ぶ小来川ではおいしいお蕎麦が作られており、早刈りをすると蕎麦の香りがさらに際立つおいしいお蕎麦が生産できます。これからの時期なにかと蕎麦が必要になってくるのではないでしょうか? ぜひ日光名産のそばで年越しをして、新しい1年をスタートしてください。
年越しそば、普段の食事でもおいしい!
大人数ならたっぷり8人前!
農林水産省
そばの栄養については こちら
和食
YouTubeチャンネル、Kids REACT:投稿動画より
1日75g ~ 100gのたんぱく質を摂取する。けっこう難しそうですね。しかし、実は日本はとてもラッキーなのです。古くから日本に伝わる和食は意識せずともPFCバランスをクリアできちゃうステキな食事だったりするのですよ。
農林水産省では『Let’s! 和ごはんプロジェクト』で昔ながらの日本食を推奨しています。お米に味噌汁、焼き魚に漬物。食卓にこれらが並ぶ風景は日本ならではですね。自炊の機会が増えた昨今、PFCバランスだけでなく毎日のレパートリー不足解消でも和ごはんを上手に活用できるのです。
2013年、和食はユネスコ無形文化遺産にも登録され一躍有名になりました。日本が誇る『Washoku』は米、魚、野菜、山菜などを持続可能な天然資源の活用法で「ヘルシーかつおいしい!」と世界でも注目が集まっています。海外でも納豆が食べられてると思うと胸がアツくなりますね! ――まあ、上記動画のように初体験はだれでも衝撃的のようですが。
和食があぶない!
和食は米、肉、魚、野菜をバランスよく食べられるため理想的なPFCバランスを実現できます。しかし、農林水産省の『食料需給表』によると、近年の日本は食の欧米化などの影響でかなりPFCバランスが乱れているようです。資料によると最もPFCバランスがとれていた時代は1980年前後で、近年は脂質がやや過食傾向にあるとされています。
和食絶滅の危機。
和食は大切な日本文化であり、身体を良い状態へ導くスゴい食べ物ばかりです。最近は輸入食糧の値段が高騰していると聞きます。ぜひ国産食材を使っておうちごはんにチャレンジしてみたいですね。
かんたんに作れる和食のレパートリー
PFCバランスに気をつけるとダイエットできる?
YouTubeチャンネル、バズーカ岡田の筋トレラボ:投稿動画より
上記のPFCバランスを適切なバランスで接種し続ければ、身体は自然と“ふつうの体型”に近づいていくため、その意味ではダイエットになり得ると言えるかもしれませんね。上記で計算したそれぞれ必要になる栄養量と食品栄養成分をきちんとチェックし、良いPFCバランスの食生活を維持していきましょう。
ちなみに、ダイエット(DIET)は日本語訳で『食習慣・節食』という意味ですから、ダイエットは食事に気をつけるのが基本とイメージしたほうが良いでしょう。
ちゃんとPFCバランスが守れているか不安だ、どうしても気になる――そんな場合は『食べたモノを記録する』にチャレンジです。購入した食べ物のPFCをノートに記録し、毎日何をどのくらい食べているか記録してみましょう。こちらに必要最低限の2ヶ月分記入サンプルを用意したのでご活用ください。
お菓子ばかり食べてると……
ちょっとアナタの目の前にあるお菓子の栄養成分表示をご覧ください。ポテチにチョコレート……けっこうな量の炭水化物(糖質)ではないでしょうか? また、そういったお菓子は脂質もけっこう多いものです。ケーキ類は糖質脂質ダブルアタックなのでそうそう何度も食べられません。
けど、おいしいんですよねぇ(遠い目
1日の間でうまくPFCバランスを調整したいですね。食べ物はわたしたちを作るモノです。まいにち「いただきます」して、いのちをだいじにしていきたいですね。
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