
日本語は世界一難しい? 日本人が”英語ヘタ”な理由も赤裸々に解説
日本語って難しいですよね。
わたし、ぼく、おれ、とうほう、じぶん、わし――一人称だけで専用の辞典が作れそうです。そのほか敬語のバリエーションや同じ言葉でも意味が違ったりする同義語、音読みと訓読み、ひらがな、カタカナ、漢字の使い分けなど例をあげればキリがありません。
逆にこれらを使いこなしている日本人すごくない? なんて思うのですがどうでしょうか?
日本は長い歴史のなかで独自の進化を遂げてきました。そのせいか「日本語は世界でいちばん難しい」と言われることもあるようですね。しかしこれ正確ではありませんし、発音だけに関して言えばむしろかんたんな方だとする説もあります。日本語は母音が『あ・い・う・え・お』の5つ。それに『K』や『S』などの子音をつけて発音すれば良いだけなので難易度が低いとされています。
しかし、なぜ日本語は世界一難しい言語と言われているのでしょう? そもそも日本語はほんとうに難しい言語なのでしょうか?
日本語は難しい? かんたん? なぜ日本語が難しいと言われているの?
YouTubeチャンネル、Twisted Helix:投稿動画より
なぜ日本語が世界一難しいと言われるのか? 日本の外務省に相当するアメリカ国務省(United States Department of State)が発表した資料にあります。そこには『外国語習得難易度』に関する情報が公開されており、ふだん英語を話す人がその外国語を習得するのにどれほど難しいか? を示したリストが言語別に並べられています。
そのなかで日本語は『カテゴリー4:超難しい言語』と呼ばれる最難関レベル言語に属しています。
日本語のほかアラビア語、中国語、韓国語がリスト入りしていますが、日本語はこれらのなかでもとくに習得が難しいとされ、つまり英語話者にとって最も習得が難しい言語であると言い換えることもできますね。マスターするのに必要な時間はなんと2200時間。1日3時間勉強したとしても730日以上。つまり2年間毎日3時間勉強したとしても習得レベルには至らないことを指します。
2年間毎日3時間勉強しても「まだまだ」と言われるのです。英語話者にとってどれほど日本語が難しいかがわかりますよね。
アメリカ国務省、外国語専門ページ(FSI)
当該記事は こちら
アメリカ人にとってフランス語はかんたん
上記リストでは日本語が最も難しいとされています。しかし逆にフランス語は30週間(約半年)、イタリア語は24週間(5ヶ月程度)とかなりの短期間で習得できるかんたんな言語として紹介されています。
ひらがな、カタカナ、漢字など多くの新しい学びを必要とする日本語に対し、フランス語やイタリア語は同じアルファベットを使っていますし文法も似通っています。多少発音は異なっても入門の敷居が低いのはイメージできますよね?
では中国人が日本語を学習する場合はどうでしょう? 日本は中国と同じ漢字を使っていますね。日本独自の漢字があったり、発音や一部意味が異なる場合もありますがもともとは中国で使われているものばかりなので習得は難しくないでしょう。
言語の難しさは相対的なのです。なので『世界一難しい言語は存在しない』と言えるのではないでしょうか?
日本人にとってかんたんな言語は?
英語を話す方が日本語を習得するのに2200時間かかるのと同じように、日本人も英語をマスターするのに途方もない時間がかかります。アルファベット、動詞が先にくる文法、現在完了形など日本語にない要素をたくさん勉強する必要があるからです。
逆に発音や文法が似てるとされる韓国語などはかんたんに習得できるとされています。実際に外国語を習得した方のインタビューなどをチェックすると「この言語ってこんなにかんたんだったのか!」など発見があるかもしれませんね。
外務省
外国語を習得した方へのインタビューは こちら
なんで日本人は”英語がヘタ”なの?
日本では小学校3年生から英語学習がスタートします。それ以前にもアルファベットを学んだり、日本で生活する上で多くの英語に触れますね。多くの方は、それから高校3年生までの10年間英語を学ぶことになります。
じゃあ、アナタは英語ペラペラですか?

えっ!? ……えーっと、でぃ、でぃすいずあ、ペン
わりと笑えない英語力ですよね。アナタは外国人を目の前にしてスムーズに英語を話せる自信がありますか? ――そうなってしまう理由のひとつとして英語をまったく使う必要が無い国だというのがよく言われていますね。
日本では日本語さえできれば困らないので英語を習う必要はありません。外来した英語はすべてカタカナ英語(和製英語)の形で日本語に取り込まれ、文法や使う文字が異なる英語はまさに異国の言葉という印象。テレビなどで英語を操るタレントは『英語がしゃべれるスゴい人』というポジションになり、英語が日本人にとって遠い存在だというイメージが強く焼き付いています。
英語の授業中、ネイティブな発音をする生徒にざわざわした思い出、あるでしょ?
日本語と英語では文字も文法もまったく異なります。それが英語学習最大の壁なのですが、この苦労は日本語を勉強する海外の方にも言えることですよね。英語を話す人にとって日本語のどこが難しいのでしょうか?
英語圏の方にとって日本語の”どこ”が難しい?
YouTubeチャンネル、Dogen:投稿動画より 英語圏の人に“英語を使わない”ことを強いる日本語
上記のとおり、英語圏の方にとって日本語は最も習得が難しい言語のひとつです。その大きな理由として使用する文字が異なることがあるように、自身が使うネイティブ言語に無い要素が多ければ多いほど難しいものとなります。
・ひらがな、カタカナ
アルファベットの倍以上の文字数
・漢字
常用漢字2000字程度
・助詞
~が、~は、~と などの”つなげる言葉“
・和製英語、カタカナ英語
自身が話すネイティブ英語を日本の
”母音と子音をセットで発音する“ルールに適応させる
・主語を省く
英語では『主語 + 動詞』のセットが基本となるので難しい
・敬語
丁寧語、尊敬語、謙譲語などの使い分け
英語文化等にある”ていねいな言い方“とも異なる
・同義語
わたし、ぼく、おれ、じぶん、われ、それがし――
本、書物、図書、書籍――
・使い方が多様すぎる言葉
「いい」は”良い“なのか”いらない“なのか
「大丈夫」は”Don’t worry“なのか”No thank you“なのか
このように、英語圏の方はこれらの壁をすべて乗り越えて日本語を学ぶ必要があるのです。逆に「わたしたちはこんな複雑怪奇な言語を操っていたのか」と驚かされますね。
場合によっては和製英語という英語圏の方すら知らない英語が登場することもあり、日本語学習者を混乱させる元になっているようです。たとえばこんな会話よくありますよね。

昨日、人とぶつかったらストラップが壊れちゃってさー

ストラップを壊したの? マジで!?
日本で使うストラップはバッグやスマホなどにぶら下げるおしゃれアイテムをイメージしますね。しかしストラップ(strap)は直訳で『革ひも』を意味し、主にズボンなどに用いるベルトや肩掛けバッグのヒモ、場合によっては電車などにぶら下がっているつり革をイメージさせてしまいます。
英語圏の方に「このストラップ見て」と話しかけると「どこにつり革あるの?」と勘違いされるかもしれないのでご注意ください。
日本語も英語もむずかしいね
YouTubeチャンネル、書道家 東宮たくみ:投稿動画より
日本語は難しい。けど日本を愛する海外の方はこんなに難しい言語でも勉強し、日本文化に触れようとしてくれています。とてもうれしいことですよね。
日本もワールドワイドな需要が高まっていくなか英語を話せる方の需要も高まっていくでしょう。わたしは日光市出身ですが、近頃は海外旅行客が戻ってくる兆しがあり英語を耳にする機会が増えそうな予感がします。
もし海外の方に話しかけられたら? ――そのときは「でぃすいず、あ、ぺん」よりちょっとイイ言葉をしゃべってみたいですね。
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