【たんぱく質】アミノ酸スコアはもう古いので”DIAAS”を使いましょう【解説】

国際機関が推奨する新しいアミノ酸スコア”DIAAS”をわかりやすく解説します

 アナタは普段食事に気をつけていますか?

 筋トレをしてる、健康的な生活習慣を心がけてる方は『アミノ酸スコア』という指標を聞いたことがあるでしょう。食材に含まれるアミノ酸のを評価する指標として日本で有名ですね。

 しかし、アミノ酸スコアはもはや古い基準になってしまっていることをご存知でしょうか?

 アミノ酸スコアは1973年に誕生したもので、当時の国際連合食糧農業機関(FAO)世界保健機関(WHO)が策定したものですが、アミノ酸スコアは多くの食材が最高得点(100点)になってしまうためあまり参考にならず、現在はそれからさらにいくつも世代交代し今では新たな指標『消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)』が示されています。これはどういった指標なのでしょうか?

国際連合食糧農業機関(FAO
 公式サイトは こちら
 DIAASに関する情報は こちら(英語)

2013年に発表された新しいアミノ酸スコアをわかりやすく解説

 わたしたちにとって馴染み深いアミノ酸スコアは『食材に含まれる必須アミノ酸量に基づく評価基準』です。必須アミノ酸がバランスよく含まれているかがとくに評価され一種類でも少なければ100点満点を得られません。一見厳しい評価基準かもしれませんが――実はアミノ酸スコア100の食材ってけっこうたくさんあるんですよね

肉類 = 鶏肉、豚肉、牛肉など
魚類 = アジ、かつお、サケなど
卵類 = 鶏卵、うずらの卵など
乳製品 = 牛乳、無脂無糖ヨーグルトなど

 食事はバランスが重要です。アミノ酸スコア100だからそれだけ食べれば良いというわけではありませんし、アミノ酸スコアが満点でない食材が悪いわけでもありません。この評価点は食材に含まれる最も少ない必須アミノ酸から計算されているので、場合によってはたった1種類のアミノ酸が少ないだけで過小評価されてるモノだってありそうですよね。

 上記の問題などを改善するため、FAOは新たな指標を策定していきます。いったいどういうものなのでしょう?

日本スポーツ振興センター、JAPAN SPORT
 アミノ酸スコアに関しては こちら

食材そのものから”消化しやすさ”まで考える

 1993年、FAOはアミノ酸スコアからさらに改善し『タンパク質消化性補正アミノ酸スコア(PDCAAS)』という指標を新たにつくりました。これは食材そのものだけでなく“消化”に着目した新たな基準です。食材がもつアミノ酸とは別に、小腸でどの程度吸収され活用されるかまで考慮したことにより、アミノ酸スコアと比較して数値の変動があった食材もいくつかあります。

 しかし日本では「この食材はアミノ酸スコア100だから~」など多くの場合アミノ酸スコアだけがフォーカスされていますね。日本ではまだ1973年に作られた古い基準に頼っているのです。しかもPDCAASはさらに改良され、今では2013年に策定された『消化必須アミノ酸スコア(DIAAS)』が推奨されています。これはどういう指標なのでしょうか?

 DIAASは『小腸(回腸)によるアミノ酸消化率を考慮した新しいアミノ酸スコア』です。あるアミノ酸を100グラム摂取したとしても、その100グラム分すべてが吸収されるわけではなく一部はそのまま排泄されてしまいます。DIAASは上記PDCAASと同じようにその消化性まで考慮し、さらに上限値を撤廃することにより従来のアミノ酸スコアよりどの食材がよりよい食材かを知ることができます。実験する動物も多様性が生まれるなど、食材の消化性を研究するため細かい変化がありました。

 食材は調理法によって成分や消化吸収率が変化していくので、DIAASではそれらの要素も考慮されるよう研究が進み、今では多くの食品に関するDIAASが明らかになっています。2017年の研究ではミルクプロテインのDIAASは1.20という衝撃的な数値を叩き出しています。比較対象の小麦たんぱくのスコアが0.45ということを考えると破格の数字ですね。

ケンブリッジ大学(CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS)
 → 当該研究は こちら

おすすめの食材は?

 アミノ酸スコアに代わる新しい指標が誕生しましたが、だからといって従来と比べ食材の評価が大きく変動したわけではありません。アミノ酸スコア、PDCAASで成績が良かった食材はDIAASでも良い食材になる傾向が強いです。

 とくに素晴らしいのは牛乳です。ある研究ではゆで卵が1.13全乳(しぼったままの牛乳)1.14と軒並み高スコアをマークしています。また筋トレのお共として定番の鶏むね肉は1.08、大豆製品の豆腐0.97と健闘してる印象です。

ゆで卵
  → 1.13
全乳
  → 1.14
鶏むね肉
  → 1.08
豆腐
  → 0.97
米たんぱく質濃縮物
  → 0.371

 上記のような結果なので、どんな指標でもスコアが高い三種の神器『鶏むね肉牛乳』を毎日食卓に用意すれば、食事中のアミノ酸はおおよそ安心しても大丈夫なのではないかと思います

frontiers
 当該研究は こちら

 食事はわたしたちの身体になるものを摂取する行為です。上記のようなアミノ酸スコアはとても大切ですが、そればかりに限らずバランスの良い食習慣をおくることが重要だと思います。

 日本人が摂取するべき一日分の栄養素は、厚生労働省が公開する『日本人の食事摂取基準』にまとめられています。また文部科学省などでも食材のデータが閲覧できるので、アナタに合った食生活を送れるよう活用しましょう。

厚生労働省
 日本人の食事摂取基準(2020年版)は こちら
文部科学省
 日本食品標準成分表 2023年版は こちら
 食品成分データベース、トップページは こちら

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