歯磨きだけじゃダメ! 歯の構造や虫歯や歯周病を予防する方法
人間の歯は1度だけ乳歯から永久歯に生え変わり、抜けてしまえば2度と生え変わることはありません。こんな大事な歯だからこそ、一生涯使っていくために気をつけなければいけませんよね。
わたしは歯医者さんに通うようになって、いかにお口に関して無関心だったのかを実感しました。個人的な戒めとして、またブログを訪れた方にわたしのような失敗をしてほしくない為、この記事を書くことにしました。普段の食生活と食後の歯磨きについて改めて見直していきたいですね。
歯の構造
歯は複数の層によって構成される多重構造です。以下の画像よりかんたんに解説していきます。
画像:いらすとやよりサイズ等を一部加工
① エナメル質
② 象牙質
③ 歯髄
④ 歯肉
⑤ 歯槽骨
表面の『①エナメル質』はミネラルを主成分としています。とても硬い半面酸に弱く、酸性の強さを表す『pH値』が5.5(弱酸性)を下回ると溶け始めてしまいます。
エナメル質の下層に『②象牙質』があります。歯の中骨的存在で、歯の白さはこの象牙質によるものです。同じく酸に弱い性質があります。
その奥に『③歯髄』があります。これは『神経・血管・リンパ管』が通っている重要なパイプで、象牙質に栄養を送る役割をもっています。虫歯が進行して歯髄を抜く必要がでると歯の維持はもはや難しいでしょう。
歯を包むように『④歯肉』が存在します。その奥にある『⑤歯槽骨』と共に、食べ物を噛む時歯にかかる力を軽減するクッション的な役割をしています。歯周病はこの土台をガタガタにする恐ろしい病気なので予防は必至ですね。
虫歯と歯周病
歯の病気として有名なのは『虫歯(う蝕)』と『歯周病』ですね。歯科研究の進歩により、すでにこれらの原因は特定され、さらに予防や治療法も確立されています。
虫歯と歯周病に関して、それぞれの原因や対策などを書いていきましょう。
虫歯菌はミュータンス菌
虫歯は『糖をエサにして酸を作り出す菌』によって作り出されますが、唾液には口内の酸性やアルカリ性を中和する働きがあるので、これだけで虫歯になる可能性は低いです。虫歯直接の原因となるのは『ミュータンス菌』です。ミュータンス菌は糖を利用した代謝を通して、歯の表面に粘着性の高い『不溶性グルガン』という物質を作り出します。これが『プラーク / バイオフィルム』にまでなると歯磨きをしてもなかなか落ちなくなり、そこに付着した菌が多くの酸性物質を生み出すことで歯のエナメル質を溶かしてしまうのです。
原因と対策
虫歯に至る原因は『口内環境が酸性に傾く』ことです。先に書いたように歯は多重構造になっており、表面の『エナメル質』は酸性にとても弱く、溶け始めるpH値はおよそ『5.5』。この値、酸性の強い『お酢』は当たり前で、なんと『ブラックコーヒー』程度の酸性ですら溶け始めてしまうのだから驚きですね。もちろん『炭酸飲料』なんかを飲んだ時はすぐさま酸性に傾いてしまいますね。
スウェーデンデンタル仙台、スタッフブログ
コーヒーと虫歯の関係については こちら
通常、歯磨きや唾液の働きなどによって口の中は中性を保つのですが、上記の不溶性グルガンにより、付着した菌が常時酸性物質を生み出すことで口内環境が酸性へ変化。歯磨きで落とすことができず、閉鎖空間の中生み出され続ける酸によりエナメル質が溶け出してしまうのです。
プラーク生成を未然に防ぐためには『食後の歯磨き』が欠かせません。あとは『糖や酸の強い飲食を控える』ことも重要です。細かいブラッシングと歯医者さんによる定期的なメンテナンスを受け健康な歯を目指しましょう!
歯周病はジンジバリス菌
歯周病は『口腔内から歯肉へ侵入した菌が、歯肉の炎症を引き起こす症状』です。プラークが形成された際そこを基点として悪さをするもので、歯周病をもたらす主な原因は『ジンジバリス菌』という非常に危険な菌です。
ジンジバリス菌は口内にとどまらず『認知症』や『心筋梗塞』にも関わるという研究も存在します。細胞から細胞へ移動する能力が高く、あの『血液脳関門』さえ突破できるというのです。
九州大学
ジンジバリス菌とアミロイドβによる老人斑形成の関係性は こちら
放置すればそのまま歯槽まで溶かし『歯槽膿漏』へ、こうなると悪臭が口から放たれるようになり、アナタは友人との会話に後ろめたさを覚えるようになってしまいます。
もしかして「口臭い」って思われてる?
自覚症状がほとんど無く、気づいた時にはかなり症状が進んでいたなんてこともありうる恐ろしい病気です。以下に簡易的なチェック表を用意しました。1つでも当てはまれば歯周病の疑いがあるので、できれば歯医者さんに通うことをおすすめします。
・起床時、口の中がネバネバする
・歯磨きしたすると血が出る
・口がクサいと指摘されたことがある
・歯肉がむず痒い時がある
・歯肉の色が赤、もしくは赤黒い
・歯と歯の間に隙間ができている
・歯がグラグラする
・食べ物が詰まりやすくなった
・歯が長くなったような気がする
個人ブログでは信頼性が皆無と思われるので、このチェック表は歯科医として活躍していらっしゃる『堀滋』氏著作『歯のメンテナンス大全』のチェック表をそのまま引用させていただきました。歯科治療の本場『スウェーデン』にて本格的に歯学を学んだ歯科治療のプロが『歯のメンテナンスの”すべて”』を詰め込んだ1冊です。
原因と対策
歯周病の原因であるジンジバリス菌は『人体の深いところまで侵入できる攻撃性の高い菌』です。ジンジバリス菌は弱った歯肉の中へ安々と侵入し、エサであるタンパク質を食べるため『ジンジパイン』という酵素を放出します。
このジンジパインが歯肉や細胞を壊し、あの腐ったような悪臭を放つ原因を作り出すのですね。さらに、ジンジバリス菌の放つ酵素は好中球を攻撃し免疫力に影響を与え、さらにジンジバリス菌が活動しやすくなるという負のループを形成。こうなるともはや歯医者さんに通う以外の手段が無くなってしまいます。
対策はやはり虫歯と同じく『食後の歯磨き』と『糖や酸の強い飲食を控える』ですね。ただし、重要なのはこれらが予防策であるということ。すでに虫歯や歯周病になっている方はもうどうしようもないので、早く歯医者さんのお世話になることを強くおすすめします。
乳酸菌 口のなかでは 悪玉菌
ミュータンス菌は乳酸を作る菌、つまり『乳酸菌』です。乳酸菌と言えば誰もが認める人類の友ですね。ですが、こと口内においては歯を溶かしてくる悪者に大変身します。
厚生労働省、e-ヘルスネット
乳酸菌については こちら
逆に、口のなかでは悪玉菌とされる乳酸菌『ラクトバチルス』は女性にとって重要な存在であることが報告されています。子宮内のラクトバチルス菌が少ないと、体外受精による妊娠率が低く、流産率が高いというのです。
腸に『腸内フローラ』があるようにお口にも『口内フローラ』、そして子宮にも『子宮内フローラ』があるのですね。以下のサイトではラクトバチルスを『善玉菌』として表記しています。
日本医科大学病院
不妊症に関しては こちら
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