アナタはA型? B型? そもそも血液型って何を根拠に決めてるの?
わたしたちは同じ人間でも身長体重、顔の形、肌の色など様々な違いがありますね。その違いと同じように、わたしたちにはいろいろな血液型があります。日本赤十字社の情報によると、日本人の血液型は以下の割合だそうです。
A型 = 約40%
O型 = 約30%
B型 = 約20%
AB型 = 約10%
このような割合ですが、この血液型はいったい何を根拠に判断しているのでしょうか? 血液型の基本についてわかりやすく書いていきましょう。
日本赤十字社
当該データに関する情報は こちら
血液型ってなに? 何を根拠に決めてるの?
わたしたちにとって普段おなじみの血液型はABO式血液型と呼ばれています。1900年、オーストリアの病理学者『カール・ラントシュタイナー(Karl Landsteiner)』が発見しました。
ABO式血液型は『赤血球に付いている“抗原”』によって決まります。抗原というと、ヒトの中で働く免疫を思い出しますが血液型の場合ちょっと違います。いったいどういうことでしょうか?
赤血球に付いてる”抗原と抗体”
抗原は『抗体にイロイロな反応をさせるスイッチ』です。抗原と抗体といえば免疫が思い浮かびますよね。免疫の場合、抗原と抗体がくっつく(反応する)と白血球やマクロファージなどの免疫が働きはじめ、くっついた抗原と抗体を排除しようとします。しかし赤血球の場合はちょっと異なる反応を見せるのです。
抗体が赤血球がもつ抗原に反応すると『赤血球が凝集 → 破壊(溶血)』されます。マクロな視点から見ると血液が固まったように見えるでしょう。赤血球にはふたつの抗原があり、血漿中にもふたつの抗体があります。
・抗原A
→ 血漿中の抗体A(α)が反応
・抗原B
→ 血漿中の抗体B(β)が反応
ラントシュタイナーは、ある人の血清に他人の赤血球を混ぜると固まる場合があることを発見し、その功績で1930年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
どの抗原が付いてるかで血液型が決まる
日本赤十字社をはじめ複数のサイトを参照し作成
血液型は『A,Bどちらの抗原を持っているか?』によって分けられます。リスト化してみましょう。
・A型
赤血球が抗原Aをもつ
血漿中に抗体Bをもつ
抗体Aが体内に入ると溶血される
・B型
赤血球が抗原Bをもつ
血漿中に抗体Aをもつ
抗体Bが体内に入ると溶血される
・AB型
赤血球がどちらの抗原ももつ
血漿中に抗体がない
抗体A・抗体Bが体内に入っても溶血されない
・O型
赤血球に抗原がない
血漿中にどちらの抗体ももつ
抗体A・抗体Bが体内に入ると溶血される
AB型はどちらも持ち、逆にO型はどちらも持っていない――上記の経緯を見ると、O型は本来「ぜろがた」と呼ぶのか? と思われそうですが、これにはもしくはオーストリアで使われるドイツ語の『無し(Ohne)』説などもありハッキリした語源はわかっていません。
輸血の際は以上の点に注意し『同型の血液型を輸血する』のが基本です。O型はすべての血液型に血液を提供できる万能供血者ですが、逆にO型はO型でしか輸血することはできません。一方で、AB型の血液は他の血液型に輸血することはできませんが、赤血球を取り除いた血漿なら輸血することができます。
これらの相性は専門家サイトにてより詳しく知ることができます。実際の医療現場では、たとえO型の輸血用血液があっても万全を喫して同型の血液を輸血します。それはABO式血液型の他にも気をつけなければいけない要素があるからです。いったいどういうことでしょうか?
Rh式血液型とは?
赤血球には上記A,B抗原のほかにも『Rh因子』と呼ばれる抗原があります。この血液型もABO式血液型と同じラントシュタイナーが発見しました。当時研究対象としていたアカゲザル(Rhesus monkey)の頭文字から『Rh』としたわけです。
Rhプラスとマイナス
アナタは「Rhマイナスはレアな血液型だ」と聞いたことがありませんか? 実はコレこそ輸血の際重要な情報となるのです。
Rh因子は複数種類があり、医療の世界では『D,C,c,E,e』の5種類が一般的に知られています。それらのなかでプラスとマイナスを決めるのは、赤血球の凝集に関わる『D抗原の有無』で、日本人の中でD抗原を持たない人は200人に1人程度とされています。
・D抗原を持っている
陽性(Rh+)
D抗体をもたない
Rh+・Rh-どちらの血液も輸血できる
・D抗原を持っていない
陰性(Rh-)
D抗体をもたない
Rhマイナスの血液のみ輸血できる
D抗体はどちらも持っていません。ただし、もし陽性(Rhプラス)の血液を陰性者(Rhマイナス)に輸血した場合、本来持っていないD抗体を身体が作り始めてしまい多くの症状に悩まされる可能性があります。
Rhマイナスの方にはRhマイナスの血液しか輸血できないのです。また、妊娠中の子どもとRhが合わない場合、何らかの原因で胎児の血液が母体に侵入しD抗体を作られてしまう場合もあります。
こういった知識をもつと、お医者さんたちが輸血の際どのくらい気を使っているのかがわかりますよね。たまに献血を呼びかける車を見かけたりします。協力したいけど自分の血はそんなキレイじゃないし……なんて思っていませんか?
現在の医療はとても進んでいます。採血されたアナタの血液はしっかり必要な成分を抽出して活用してくれるので安心して協力していきましょう。それでも不安だという場合、アナタ自身が健康的な食生活を送っていれば自分の血液に自信がもてるでしょう。
食事からアナタの血液をサラサラにしてみませんか?
性格占いはウソ?
血液型による性格診断テストが流行っていますが、これに科学的な根拠はありません。それでもなお血液型占いが流行しているのはいくつかの理由があります。そのなかの大きなひとつに誰にでも言えることなのに「自分自身のことを言い当てられた!」と感じる『バーナム効果』があるでしょう。
ほか、他者の性格を「まあA型だから仕方ないよね」など、血液型占いのイメージに当てはめて相手を判断する『ステレオタイプ』や、他人から「キミはO型だからテキトーな人間だ」と言われ続けた結果本当にそうなってしまう『アナウンス効果』など考えられる心理的効果は数多くあります。
科学的根拠はありませんが、何気ない話の題材や絆を深めるツールとしてなどレクリエーション感覚で楽しむのも良いでしょう。アナタは血液型占いを信じますか?
今回は血液型にもたくさんの種類があることをご紹介しました。Rh式の例と同じように、両親のRhが異なる妊娠や輸血などによって新たな抗原が生まれる(不規則抗体)こともあるので細心の注意が必要になります。だからこそ医療従事者は『同じ血液型での輸血』を選択するのです。
以前は血液すべてを輸血する『全血輸血』が一般的でしたが、今は必要な成分を選択し輸血する『成分輸血』が主流です。この他、血液や輸血に関する多くの情報は日本赤十字社をはじめ多くの医療関連サイトに掲載されています。
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