オートファジーとは? 効果やダイエット利用法などをわかりやすく解説!
オートファジーとは『細胞中に存在する“ゴミ“をリサイクルするシステム』です。細胞は多くの器官が備わっており、それぞれがせっせと働いて身体の機能を維持しています。それらが活動する過程においてどうしても傷みがでてきて、不要なゴミが増えたりそれが悪さをするようになります。
どうやら生物の細胞にはオートファジーが標準搭載されているようです。マウスの実験では複数の変性タンパク質の蓄積させることで神経変性疾患をはじめとする重篤な病気を引き起こすことが明らかとなり、人においてもオートファジー関連遺伝子の変異が神経変性疾患や炎症性疾患を引き起こすことが発見されています。オートファジー機能が存在するおかげで、生物はこれらの驚異から身を守っているのですね。
順天堂大学の研究によれば、すでに『神経変性疾患治療薬の候補となる新規オートファジー誘導物質を同定』と以下のリンクにありますので、オートファジーの重要性は科学で証明されつつあるようですね。
以前はほとんど注目されていなかったオートファジーですが、近年は生存・老化において重要な要素をもっていることから注目され一気に研究が進み、オートファジーの研究が評価された結果オートファジー研究の第一人者である日本人の『大隈良典』氏が、2016年にノーベル生物学・医学賞を受賞しました。
今回はこのオートファジーについて解説していきたいと思います。
細胞は自ら生まれ変わる オートファジーの仕組みと活用法を紹介
細胞は『cell=小さな小屋』という意味で、イギリスの自然哲学者『ロバート・フック』氏が1665年に発刊した図鑑『Micrographia』にて紹介されたものです。コルク層の破片を顕微鏡で観察しているうちに発見した逸話は有名ですが、当時は詳細な観察ができないままでした。時代を追うごとにより詳細な研究がなされ、現在では細胞内に多くの細胞小器官が存在することが知られています。
画像はWikipedia:『細胞』ページより参照、サイズ等加工
1:核小体(仁)
2:細胞核
3:リボソーム
4:小胞
5:粗面小胞体
6:ゴルジ体
7:微小管
8:滑面小胞体
9:ミトコンドリア
10:液胞
11:細胞質基質
12:リソソーム
13:中心体
オートファジー(Autophagy)とは『auto=自ら』『phagy=食べる』という言葉を基に名付けられており、細胞が自らの一部を食べて分解する現象です。ノーベル生物学・医学賞を受賞した『大隈良典』氏は、1988年にオートファジーの現場をはじめておさえ、1993年にはオートファジーに必要な14個の遺伝子を発見しました。
オートファジーの過程
オートファジーにおいて重要なのは⑫の『リソソーム』になります。意外とシンプルな手続きによって行われるので簡潔に紹介しましょう。
① 傷んだ細胞小器官やたんぱく質が隔離膜で覆われる
② 分解酵素の入ったリソソームが合体して分解する
③ 分解されたアミノ酸などの材料が新たな合成材料として使われる
古い材料を覆ってくれる①の膜は『オートファゴソーム』と呼ばれています。リソソームと合体した状態は『オートリソソーム』と呼ばれ加水分解酵素(水に反応し分解が起こる化学反応)によってアミノ酸などの材料へと分解されていきます。
オートファジー機能を働かせるための遺伝子は、オートファジーの綴りにちなんで『Atg〇〇』などと名付けれれています。〇〇には数字が記され、大隈氏がつけた数字による番号がそのまま引き継がれている形ですね。
オートファジーはダイエットや美容に有効か?
オートファジーは細胞内のゴミを掃除してくれることから、なんとなく健康や美容、ダイエットにも有効的なんじゃないか? と思いますね。インターネットの検索予測ワードなどでもそういった人々の希望がちらほらと……実際はどうなのでしょうか?
結論としては『利用の仕方によっては効果アリ』です。
オートファジーを引き起こすには意図的な断食が必要となります。食事自体を少なくすることで大きな減量効果も狙えそうですが、『国立健康・栄養研究所』によれば『食事の回数が少ないと太りやすくなる』とあります。さらに、こういった食事の場合摂取する栄養素をバランスよく考えなければ健康にもよろしくありませんよね? 過度な『断食』はダイエットどころかアナタ自身の健康を害する結果となるでしょう。
ではどのように活用すれば良いのでしょうか?
国立健康・栄養研究所ホームページ
当該記事は こちら
ほどよい飢餓がオートファジーを促す
健康的な食事法としてよく言われるのが『ファスティング(Fasting)』ですね。直訳で『断食』ですが、宗教などでよく行われる〇〇ヶ月の断食というレベルではなく、たとえば1日で1食にする程度のものです。オートファジーを引き起こすにはガチガチの断食をするのではなく、このちょっとした断食、いうなれば『プチ断食』をすることが重要なのです。
昔からよく『腹八分目』と言われていますが、この状態こそオートファジーにとって都合が良いのです。栄養不足状態にあるとき細胞が「栄養が足らない! 細胞内のゴミを再利用しなきゃ!」となってオートファジーが活発化するとされています。つまり、常に軽い飢餓状態にあることで遺伝子のスイッチが入り、オートファジーが活性化した状態に入るのです。よく聞くのは1日8時間は何を食べても良い『16時間断食』などですが、アナタが普段どのような生活習慣をしているかによってこのあたりも変化してくることでしょう。オートファジーに必要なのは『ほどよい飢餓状態』です。どのような方法が正しいのかは自分で試してみるか、もしくは専門家の指導のもとやってみることをおすすめします。
オートファジーで心もカラダも健康に
細胞を常に『ゴミがない健全な状態』に保つと解釈すればとても良いことだと思いますね。ちなみにオートファジー機能が活性化されることによって生まれるとされるメリットは以下のようなものです。
・細胞内の病原体を含む”ゴミ“が減り炎症化しにくくなる
・食べない時間をつくることで胃腸や肝臓を休ませることができる
・免疫機能が活性化する
また、オートファジーは『適度な運動』でも活性化されるので、スクワットや腹筋レベルの軽い筋トレを織り込むのも効果が高そうです。が、身体を動かした後勢いにまかせて暴飲暴食なんてことしないように気をつけましょうね。
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