非公認でもかわいい! かっこいい! 魅力溢れる非公認犬種の魅力を解説
ジャパン・ケネル・クラブ(JKC)によると、世界には公認されていない犬種も含め約700~800種の犬がいるとされています。そのなかで2024年4月現在、国際畜犬連盟(FCI)では355犬種、JKCでは208犬種が登録されています。
犬は『犬』ですが、人間は犬を用途によって意図的に身体や性格などを選別させ『犬種』として固定しています。介助犬として有名な『ラブラドール・レトリーバー』、賢さナンバーワンと言われる『ボーダー・コリー』などたくさんいますよね
日本の場合JKCなどが犬種認定を行っていますが、世の中には公認されていなくても個性豊か、魅力たっぷりな犬たちがたくさんいるのです。今回はそんな非公認犬種について紹介していきたいと思います
人気犬種のハイブリッド! 非公認犬種の魅力をやさしく解説
JKCをはじめ、日本にはいくつか犬種認定を行う団体がありますが、FCIで認定されていたとしても日本にいなかったり、ミックス犬として扱われていたりなど、場合によっては犬種として認定されてない場合があります。
ここではジャパン・ケネル・クラブ(JKC)が非公認としている犬種を5種類紹介しましょう。
ニュージーランド・ハンタウェイ ~New zealand Huntaway~
YouTubeチャンネル、那須どうぶつ王国:投稿動画より
ニュージーランド原産の大型犬。牧羊犬として有名なボーダー・コリー、従順で賢いラブラドール・レトリーバーなどが交配され最強の牧羊犬としてハンタウェイが誕生しました。
ニュージーランドは畜産が盛んな国で、とくに牧羊犬の需要が高いです。正確な起源は不明ですが、ハンタウェイは19世紀後半に生まれ、ニュージーランドの気候に耐えられるよう牧羊犬としてより強靭で頑丈、スタミナのある犬種を追求して作られた経緯があります。以下がハンタウェイの一般的なサイズです。
・毛色
黒地に黄褐色のタンであることが多い
・体高
オス:61 ~ 66cm
メス:56 ~ 61cm
・体重
オス:30 ~ 40kg
メス:25 ~ 35kg
作業犬としての”質”を求める
上記のような経緯があるので、ハンタウェイは外見や血統ではなく作業犬として優秀か? が重要視されます。ハンタウェイ誕生当初はニュージーランドで開催された大会に優勝した犬のみ登録されていましたが、後にニュージーランドのケネルクラブ『ドッグス・ニュージーランド(Dogs NZ)』によって犬種認定されましたがJKC、FCIいずれにも登録されていません。
ニュージーランドでは一般的な牧羊犬で、羊に吠えかかり誘導するタイプの仕事犬です。温厚で飼い主に従順。運動量は牧羊犬だけにとても多く、毎日充分な走り込みが必要になり、羊を誘導するため大きな吠え声をもつので家庭犬として飼育するのは難しいでしょう。
なお、2024年5月現在、ニュージーランド・ハンタウェイは『那須どうぶつ王国』で見ることができます。現在ニュージーランド・ハンタウェイが活躍するショーも開催中なので興味ある方はアクセスしてみてください。
アメリカン・ピット・ブル・テリア
YouTubeチャンネル、サンアメ不動産:投稿動画より
アメリカ原産の中型犬。アメリカ原産ですがその起源はイギリスにあり、ブルドッグとテリアを交配させた『ブル・テリア』が生まれ19世紀後半にアメリカへ到来。さらに交配が進められ現在の形になりました。
ブル・テリアは流血を伴うスポーツ用の犬としてデザインされ、後に闘犬用の犬として交配されるようになりました。アメリカでも同じ用途として使われていましたが、闘犬が取り締まられるようになると今度は逃げ出した家畜などを連れ戻すための捕獲犬として活用されるようになりますが、現在は闘犬としての性質をおさえコンパニオン・ドッグとしても活用されています。以下がアメリカン・ピット・ブル・テリアの一般的なサイズです。
・毛色
あらゆる色、パターンがある
・体高
オス:約46 ~ 54cm
メス:約43 ~ 50cm
・体重
オス:約16 ~ 27kg
メス:約13 ~ 22kg
品種改良してるけど……
アメリカン・ピット・ブル・テリアもまたFCI、JKC非公認犬種です。しかしアメリカのユナイテッド・ケネル・クラブ(UKC)やアメリカ犬飼育者協会(ADBA)では犬種認定されており、アメリカでは『ピット・ブル』といえばこの犬種になります。
闘犬としての歴史をもつため、残念ながら攻撃的性格が出てしまうことがあります。そのためアメリカン・ピット・ブル・テリアは複数の国で飼育や輸入の禁止、資格条件など厳しい管理があります。日本でも茨城県で特定犬に指定されていますね。
品種改良によってアグレッシブな気質は薄れいているようですが、言うまでもなく初心者には向かない犬種でしょう。素朴な表情に凛とした佇まい。本来は大人しく従順で、さらに強靭な肉体と闘争心からスポーツ万能という側面があるので、わたしたちがもっとアメリカン・ピット・ブル・テリアのこころを理解してあげることが重要なのかもしれませんね。
ユナイテッド・ケネル・クラブ
アメリカン・ピット・ブル・テリアの犬種紹介は こちら(英語)
オーストラリアン・ラブラドゥードル
YouTubeチャンネル、Lakewoods Labradoodles:投稿動画より
オーストラリア原産の大型犬。基本は大型ですが、個体によっては中型、さらに小型の犬もいるようです。ラブラドゥードルはラブラドール・レトリーバーとプードル(スタンダード/ミニチュア)を交配したミックス犬で動物アレルギーをもつ方向けの介助犬としてデザインされました。
ラブラドゥードルは1970年代、オーストラリア盲導犬協会がアレルギーに優しく、抜け毛が少ない犬種として交配した犬種です。プードルとラブラドールはいずれもおおらかで有効的な性格、さらにかしこく従順なためオーストラリアのみならず世界で人気を広めています。現在はコッカー・スパニエル(イングリッシュ/アメリカン)も交配される場合があり、以下がおおまかなサイズになります。
・毛色
白、黒、茶
・体高
約35 ~ 63cm
・体重
約7 ~ 30kg
将来期待のミックス犬
見た目はそのままラブラドールとプードルを合わせたような姿ですね。被毛がカールするようになり抜け毛が少なく、動物アレルギーの方でも安心して近づくことができます。
盲導犬として大活躍し、穏やかな性格で人を喜ばせることが大好きな子が多くいる、まさに理想の伴侶犬と言えそうですが、残念ながらラブラドゥードルはミックス犬として扱われており、わたしが調べた限りJKCはじめ各国のケネルクラブで犬種認定されていません。ただし各国にオーストラリアン・ラブラドゥードル協会が設立されており、日本でも活動しているのでそこで多くの活動が行われています。
介助犬として最適、さらに伴侶犬としても魅力たっぷりなラブラドゥードル。近い将来日本で多く見られるようになるかも知れませんね。
ウルフ・ドッグ
YouTubeチャンネル、WILD_BULLET KENNEL:投稿動画より
野生のオオカミと犬の交配種なので原産国はありませんが、自然界では多くのウルフ・ドッグが存在しています。なお、FCIでは以下の犬が犬種登録されています。
・ザールロース・ウルフドッグ
・チェコスロバキアン・ウルフドッグ
いずれも大型犬であり以下のようなサイズですが、かけ合わせた元々のオオカミと犬の組み合わせでこれ以上の大きさになる個体も存在します。
・毛色
白、灰、黒の混色
・体高
約60 ~ 75cm
・体重
約20 ~ 26kg
オオカミと”イヌ”はいつ出会ったのか?
日本でもウルフ・ドッグを飼育する家庭は見られますが、基本的に海外から輸入されるので正式な犬種としては認められることはないでしょう。オオカミとしての血が濃く、また運動量も並外れているので飼育が難しく、やはり初心者お断りの犬種になりますね。ドッグフードも食べますが基本肉食です。
1982年、アメリカ、ワイオミング州で約1万年前のものとされるウルフ・ドッグらしき犬の頭蓋骨が発見されましたが確実な証拠が足らず、いつどのタイミングでウルフ・ドッグが誕生したかは謎に包まれています。ウルフ・ドッグはピット・ブルと同じように多くの国で飼育が禁止されていますが、日本では少数ながら愛犬家によって飼育されています。
オオカミは優れた社交性をもつので、飼い主がしっかりリーダーシップをとれば良い子に育ってくれるでしょう。もし興味があるなら、日本のウルフ・ドッグといっしょに暮らす方の情報をチェックしてみるのも良いですね。
プロット・ハウンド
YouTubeチャンネル、元猟犬りゅうちゃんねる:投稿動画より
アメリカ原産の大型犬。1970年、ドイツに住んでいた『ジョナサン・プロット』がアメリカ、ノースカロライナ州に移住した際に連れてきた猟犬ハノーヴァリアン・ハウンドが起源で、その後地元の犬と交配させ現在の形になりました。
シカやイノシシなど大型の動物のための狩猟犬として活躍し、プロット家はその後の発展に寄与したとされます。一般的なサイズは以下のとおりです。
・毛色
黒、茶系統の縞模様
・体高
オス:約50 ~ 69cm
メス:約50 ~ 64cm
・体重
オス:約22 ~ 34kg
メス:約18 ~ 30kg
ノースカロライナ州の州犬
上記のような歴史があるのでアメリカでは人気が高く、アメリカにあるふたつのケネルクラブ(UKC、AKC)では犬種認定されています。また1989年にはノースカロライナ州では州の犬として指定されています。
強靭な肉体、豊富なスタミナを誇り、また大きな獲物と戦うタフさも備えています。普段は飼い主に従順で穏やかな性格ですが、いざ狩りとなると木登りも厭わないし水も恐れない。大きい声で威嚇し自ら戦うなど理想的な猟犬となります。
プロット・ハウンドはツリーイングという方法で狩りをします。基本はビーグルなどと同じく大きな声で獲物を追い込む形ですが、その後木に登って逃げた獲物をそのまま縫い止めておき、後からやってきた人間がその獲物を狩るか狩らないか選択できるようにするのです。
研究のために獲物にタグをつけて逃したり、あるいは若いメスの場合種の保存のために逃したりする選択ができるのは良いことだと思います。
世の中多くの犬種がありますが、犬種認定はその犬の健康を維持できるか? などの課題をクリアすることが重要になります。なのでティーカップ・プードルや豆柴などは犬種として認定されることは難しいでしょう。
わたしたちは犬をいろいろな用途のために活用しています。人間と犬がうまく共存するために、わたしたちは犬にどのような環境を提供してあげればいいのか考えていかなければなりませんね。
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