
自分に自信をつけたい! 子どもの力を伸ばしたいならコレを知らないとヤバい
日本は謙虚で真面目、親や先生、上司の言うことをよく聞く国民性ですよね。実際、欧米や世界の人々と比べても控えめなタイプが多い日本人ですが、同時に自己肯定感が低い課題に直面しています。
国が公開する『子供・若者白書 令和4年版』では、自己肯定感がある子どもは46.5%。年々改善傾向にあるようですが、まだ2人にひとりは自分を好きだと言うことができない状況です。
こういった状況のため、学校などでは自己肯定感を高めるため多くの取り組みが行われています。ですが、ただ「自己肯定感を高めよう!」と言っただけで高められるものではありませんよね? ――自己肯定感を高めるには『自己効力感』を高めることが重要です。
自己効力感とはなんでしょう? どうやったら自己効力感を高められるのでしょうか?
国立国会図書館、WARP
子共・若者白書については こちら
自分に自信をもつための自己効力感についてわかりやすく解説
自己効力感とは『自分に“能力“があると思える力』のことです。
学校生活、学業、部活動、趣味など多くの場面で求められる能力がありますよね。その時々に「赤点とっちゃうかも……」とか「うまくいかないかも……」なんてことばかり考えていたら自然と自己肯定感もダウンしてしまいそうです。
ここで自分を過小評価することなく「自分ならこのテストを乗り越えられる」と自信をもち立ち向かっていく意志。この自信が自己効力感です。
大切なのは、実際に能力があるかどうかではなく能力があると思う意志です。自分自身のスキルについては客観的に捉えることが重要です。
これだけ聞くと「ただ自信をもてってだけの話なの? あまり意味なくない?」と思われガチですが、自信をもつことはとても大切なことですし、自信をもつといろいろなメリットがありますよね?
・行動力が上がる
・モチベーションを維持しやすくなる
・物事を前向きに捉えられるようになる
・自分の意思をもつことができる
・人としての魅力が増す
自信はプレッシャーがかかる場面でより力を発揮しやすくしてくれます。では、そういった自信をもつ、自己効力感をアップさせるにはどうすれば良いのでしょう?
自己効力感はどうやったらアップするの?
YouTubeチャンネル、松岡修造公式Youtubeチャンネル:投稿動画より
自分はできる! 自分はこの課題を乗り越える力がある! という思いはどうやって養えば良いでしょうか?
わたしが個人的に尊敬している『樺沢紫苑』氏は、精神科医として活動した経験を多数の著書にアウトプットしています。そのなかでよく登場するワードのなかに『ちょい難にチャレンジする』というのがあります。
野球少年が「プロ野球選手になる!」という目標をたてても、いきなりプロ選手や全国クラスを相手にするとメッタ打ちにされ、自信を失ってしまいます。そうならないよう、まずは『しっかりバットを振る』ことからはじめ、徐々にステップアップし最終的に『ホームランを打てるようになる』レベルまで成長していけば良いのです。
自分に見合ったレベルから練習を重ねると、人は自分が以前よりどれほどレベルアップしてるか把握でき、その認識が自信に繋がります。つまり「自分は成長している」という実感が大切なのですね。
樺沢紫苑 精神科医が教える ストレスフリー超大全自分が成長できる環境に飛び込もう
自信をもつため練習を重ねてスキルアップを図るのは良いことですが、自己効力感は環境による影響を多大に受けます。そのためアナタ自身が自分を成長させ、気持ちをアップさせてくれる環境に身を置くことが重要です。アナタはどちらの友人のほうがほしいですか?

野球をがんばる? そんなコトして何になるの? どうせ高校生までやって終わりなんだからあまり意味なくね?

野球やるんだ! おれもバレーのレギュラー目指してがんばってるんだ。いっしょにがんばろうぜ!
だれと友情を結びたいかは人それぞれですが――少なくとも、わたしは自分がやってることを否定したり、ひねくれた目で見ようとする人とは近づきたくないですね。
もし身近に自分のやる気を削いでくる人がいるのであれば、それは潜在的にアナタの自信を奪う存在です。別の用事をつくりその人と距離をとるか、縁を切るという思い切った決断もまた選択肢になると思います。
小さな池の大きな魚効果

日本には『井の中の蛙大海を知らず』という言葉があります。視野を広げろ、という意味ですが、自己効力感を高めたいなら井の中の蛙でいることもひとつの手段かもしれません。
慶應義塾大学SFC研究所は、埼玉県から委託を受けて県内公立小中学校の学力調査データを分析しました。県内の生徒すべてのデータですから、たとえばAさんとBさんがまったく同じ成績でも、それぞれが通う学校で相対的な優秀さが変化します。つまりこういうことがありますね。
・Aさんの数学の点数が70点
→ その学校では100人中9位の成績だった
・Bさんの数学の点数が70点
→ その学校では100人中37位の成績だった
データを分析すると、学校のなかで好成績をおさめた子どものほうが、中学生になったときの学力が高く、自己効力感も高くなることが判明しました。
つまり絶対的な成績だけでなく『学校単位で他者と比較し、自分が良い成績だった場合その後の学力も高くなり、自信もつく』ということです。
逆に言えば『学校のなかで成績が悪いと、その子がどれほど絶対的な優秀さがあっても相対的に自信をなくしやすい』ということです。
子どもに自信をつけさせたいならムリに高レベルの学校を選ぶのではなく成績相応、もしくはちょい難でチャレンジしがいのあり、成長を実感できる場所が良いのですね。これは心理学用語で『小さな池の大きな魚効果』と呼ばれています。
競争は勝ち組と負け組を生む
日本には『勝ち組・負け組』という言葉があります。元々は別の意味で使われてましたが、流行語大賞にノミネートされた2006年あたりから格差の象徴として使われるようになりました。
当時の競争社会を象徴するような言葉ですね。実際、競争には大きな成長ができる可能性がありますが、その代わり競争から脱落した側は自己効力感や自己肯定感を著しく下げてしまいます。
勝ち組になれるのはほんの一握り。ということは多くの割合で自信を失う人がいる、ということになりかねませんね。競争は成長にとって大事な要素ですが、勝ち負けにこだわりすぎるとこのような弊害もあり、それは子どもたちにとっても同じことなのです。
自己肯定感との違いは?
自己肯定感とは『自分を“自分のままで良いんだ“と感じる気持ち』です。もとは英語の[ Self esteem = 自尊心 ]なのでそのまま『自尊心』を指すこともあります。
社会や人間関係のなかで自分自身の能力を客観的に判断し、肯定できる能力を指します。必要以上に「自分はダメだ」と評価するのであれば、それは自己肯定感が低いと言えます。逆に必要以上の自信家である必要はないので自己肯定感が高すぎというのも考えものですね。
・自己肯定感
社会のなかの自分の存在そのものを肯定する
・自己効力感
自分のある部分での能力を肯定する
まずは自分に自信をつけることからはじめましょう。そうすれば確実に自己肯定感を高めることができると思います。
小さな池でも大きな海でも、アナタが望む場所で活き活きと泳げたら最高ですよね。
加藤俊徳 脳の名医が教える”すごい自己肯定感”
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