少年犯罪は”家族”が原因!? 子どもをまもる”絆”とは?
民法818、820条の規定により、子ども(未成年)は両親の親権に服し、親権を行う者は子どもの利益のための監護、教育を行う権利と義務を負います。つまりは『親は子どものためになる教育を施し、養う義務』が生じるわけですね。
子どもは成長するに従い、家族だけでなく周囲の人々、幼稚園や保育園、小学校、中学校とより大きな集団に触れ合っていくことになります。こういった“社会“と接触していくと、子どもは大小なりともその“集団“に影響を受けることになり、場合によっては良くない影響を受けてしまうこともあります。
悪い友だちと付き合ってるか心配だ
イジメに遭っていたらどうしよう?
こういった悩みは少なからずあると思います。今回は子どもの健全な成長をジャマさせないためにはどうすれば良いのでしょうか?
文部科学省
家庭における教育・子育てに関する法律(抜粋)は こちら
非行少年が生まれる理由 生まない工夫
アメリカの心理学者夫婦『グリュック夫妻』は30年にわたり非行少年と向き合い、研究を続けてきました。その結果生まれた『多元的因子論』によれば、非行少年には以下のような特性があるとしています。
・性格特性因子
社会的主張が強い
敵対的で猜疑心が強い
破壊的かつ感情が変化しやすい
・人格特性因子
反権威主義的
外向的な行動特性
直接的行動や具体的表現を好む
・社会的因子
父の厳格で気まぐれなしつけ
母の不適切な監督
両親が子どもに無関心、もしくは敵意をもつ
家族関係の希薄さ
これらの中でも『両親』の存在はとくに大きく、子どもにとって両親は最も早く出会う『社会』になります。人格や性格を形成するにも親の影響は大きく、昨今の少年犯罪事件報道のたび「親の責任だ」などという言葉が飛び交っているように思えます。すべて親の責任と決めつけるのもどうかと思いますが、子どもにとって両親が大きな影響をもつのは事実と言えるでしょう。
上記の分類でも、子どもは両親からの愛情やコミュニケーションが重要であることが伺えます。いくら厳格に育てようとしても、自立を促そうと放任主義に走ろうともそれが子どもに伝わらなければ意味がありません。内閣府のサイトに記されている通り、子どもが家庭生活に満足するためには『自分のことをわかってもらえる』と感じられる環境が大切なのですね。
内閣府
親子関係と親の影響力に関しては こちら
子どもを護る”絆”
子どもが犯罪に走らないために必要なのは『社会に対する絆』が形成されていることです。そして子どもにとっていちばん最初に関わる社会こそが『家族』です。社会が形成するべき絆とは、具体的にいったいどのようなものなのでしょう?
社会学者の『トラビス・ハーシー』が提唱した絆は以下の4種類です。
・愛着(アタッチメント)
家族、友人など他人に対する”愛情“
親子間の愛着が特に重要視される
4種の絆のなかで最も重要とされる
・傾倒(コミットメント)
犯罪を行うに関する”損得勘定“
犯罪が割りに合わない行為だと認識する意識
・関与(巻き込み)
遵法的な生活に関わる”時間の長さ“
上記の時間が長いほど非合法的な付き合いの時間は減る
・信念(規範関与)
社会的な規則、法律、規範の正しさを”信じる心“
愛情に関してもっとも重要なのは「愛されている・気にかけてくれる人がいる」と子どもが感じることです。ご両親としては一生懸命やっているけどなかなか子どもに伝わらない。難しい問題ではありますが、それを解決するためのカギとして以下のような要因を考えると良いでしょう。
・”家庭“としての課題
両親の仲を良くする
経済的余裕、適度な子どもの数を考える
子どもが安心できる、楽しめる環境を整える
いずれかが常に子どもといられる
・父、母“個人“としての課題
家族、周囲に相談して適切なしつけの方法を学ぶ
子どもと向き合う態度をとる
愛情をもって育てる
自分の心をオープンにする
心理学的には1日の濃い時間よりも毎日のコミュニケーションのほうが大事です。1日30分程度でも、家族団欒の時間をつくり会話をする時間をつくると良いでしょう。
ひとりで悩まずまずは相談を
子どもの非行防止は家庭のみならず社会の協力が必要不可欠です。もし子どもの教育について悩んでいる、両親との関係に悩んでいるのでしたらいちど『児童相談所』に相談してみてはいかがでしょう? 虐待問題でなにかと話題になる児童相談所ですが、実際は『子どもが心身ともに健やかに育ち、力を最大限発揮できるよう家庭を援助する』目的で活動しているので、ご両親からの相談は大歓迎だったりします。また小中学校によっては『子どもと親の相談員』も配置されています。
ひとりで悩まず、まずは周囲に相談しましょう。
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