【入門用】心理学用語”異常心理学”の基本をわかりやすく解説【わかりやすい解説】

何をもって”異常”とするのか? 人の異常を心理学的に研究

 異常心理学とは『人間の精神の仕組みを解明し、その仕組み外の働きをする異常に関する研究を行う』学問です。なぜそのような異常が見られるのか、その異常はどうすれば改善できるか? なども研究されます。

 心理学とひとことで言っても、その種類はたくさんあることを以前お話しました。たとえば『スポーツ』というジャンルがあって、そのなかに『野球』や『サッカー』、『バレーボール』などがあるイメージです。心理学にもたくさんの枝分かれが存在しますが、そのなかでも学術的研究に位置する『基礎心理学』のひとつ、異常心理学について紹介します。

人間のなにをもって”異常”とみなすのか?

 ”異常“という言葉はいささか物騒な感じがしますが、この異常こそ追求しなければならないのが臨床の世界です。訪れる患者(心理学の世界ではクライエントと呼びます)がどのような心の異常に苛まれているかを判断し、それを少しずつ正常な状態へ導くことこそカウンセラーの役割。クライエントに対し面接や観察、検査などの『アセスメント』を行った後、それらを参照しつつこの異常心理学の見地からクライエントの問題を探していきます。

 異常心理学では、人間の心や行動に関する異常を見つけます。『下山晴彦』氏監修『面白いほどよくわかる! 臨床心理学』によりば、なにをもって異常とするのかを判断する基準は次のようになります。1つづつ解説していきましょう。

面白いほどよくわかる!臨床心理学
面白いほどよくわかる!臨床心理学

適応的基準

 社会に適応しているのが正常で、社会生活が円滑に行えなくなった場合を異常とする考え方です。本人が社会に適応できてないという自覚があり訴える場合もありますし、本人は否定しているものの、カウンセラーによってこう判断される場合もあります。ひきこもりなどによって社会的行動が取れなくなった場合、それは異常と考えることができます。

価値的基準

 その人の価値観が社会的、倫理的価値観と一致していない場合を異常とする考え方です。法律から逸脱する行為を行ってしまったり、社会通念や常識とされるものから逸脱した場合判断されます。リストカットなどの行動は、本来自らの身体を傷つけるということはありえないので異常と考えることができます。

統計的基準

 各種診断結果によって得られたその人のデータが、統計上のデータと照らし合わせた時大きく逸脱する場合は異常とする考え方です。心理学で扱う診断は『ビックファイブ』をはじめ多数の種類があります。それらからカウンセラーが適切に選択しデータを収集。統計上の平均と照らし合わせて逸脱するデータのやまから外れている場合異常と考えることができます。臨床の現場で扱う診断テストは、インターネットの適当なサイトにあるようなテストとは別にちゃんと考えられているものですので、確かなデータを得ることができます。

病理的基準

 精神病理学に基づく医学的な見地から疾病と診断された場合を異常とする考え方です。精神病理学は精神医学の世界に関わっており多数のデータが集約されています。それらのノウハウを生かしてクライエントの状態を判断し、問題があるとみなした場合は以上と考えることができます。精神疾患については、多くの精神科医が世界保健機関が発表する『疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)』か、アメリカ精神医学会が刊行する精神疾患専門のマニュアル表『精神疾患の診断・統計マニュアル (DSM)』を参照しています。

異常と判断するための症状

 上記で基準についてはご説明しましたので、こんどは具体的な症状について。100年以上続く心理学研究において、心の異常の多くは身体的異常が見当たらない傾向にあります。ですので、カウンセラーや精神科医が直にクライエントと会って話し合う必要があるのです。ですから「身体にこういう疾患がある場合〇〇症!」という判断ができず、心理学において病気は『どのような症状が見えるか?』によって判別されます。

 たとえば、風邪の場合それを引き起こすウイルスなどをターゲットにできますが、心理学の世界だとただ『風邪をひいている』という症状しか見えず『どこにどのようなウイルスや菌が存在するのか?』はわかりません。ですから「〇〇ウイルスによる〇〇という病気だね」というダイレクトな診断をするのではなく「〇〇の症状がでている、ということは〇〇の可能性が~」という基準で判断するわけです。異常心理学ではこれらを主に7つにまとめています。精神疾患の判断に時間がかかるのはこのあたりも理由のひとつなのかもしれません。

知覚
  錯視、幻覚など、5感をはじめとした知覚に異常なはたらきが見られる
思考
  考えをまとめられない、強迫観念や被害妄想などを覚える
記憶
  意識障害や知能低下、記憶の欠損や完全に失ってしまう
知能
  精神遅滞や認知症など
自我
  だれかに操られている感覚、思考が周囲にしられているような感覚

  多重人格や離人症など
感情
  抑うつ気分や高揚気分など気分の上下差が激しい、漠然とした不安を抱いている

  もしくは喜怒哀楽がなくなり周囲に無関心になるなど
行動
  活動意欲の低下、精神的興奮の低下、性欲などの低下

  過食、拒食、集中力がなくなるなど

回復には時間がかかる

 これらの基準や症状からクライエントを診断し、そのデータを基に様々なカウンセリングを行います。精神科医であれば薬を処方するなどもするでしょう。これらの基準をみて不安を感じた方は、最寄りの心理カウンセラーや精神科医に通ってみることをおすすめします。ストレスを抱えた状態をひとりですべて解決しようとするのはまったくの逆効果です。できるだけたくさんの人に頼り、それでも辛い場合はこういった相談ができる機関に足を運ぶべきでしょう。

 異常という言葉はなかなかにインパクトがあるものです。もしストレスを抱えた状態で“異常”なんて単語使われたらビックリしますよね? ですが、この考え方は非常に重要で、みなさんの生活にも密着しています。正常や異常という言葉に縛られず、自分を観察する気持ちで自身の健康状態をチェックしてみるのも良いかもしれませんね。

本日の”ToDo”

ストレス解消をしよう
  ストレスは万病の元です
相談相手を見つけよう
  周囲にそういった人がいるだけでも安心できます
趣味をつくろう
  気晴らしになり心身をリフレッシュできます

 アナタの心に知識というオアシスを

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