【野球】野球は”4アウト”からが本番【ルール】

野球には”第4のアウト”が存在する!? ルールブックにの”盲点”をわかりやすく解説

 みなさんご存知の通り、野球は『3アウト』で攻守交代です。わたしはずっと野球をやってきましたが『4アウト』でチェンジになった記憶はありませんし、今後の野球のルールがいくら変わろうと3アウトルールが変更になることはないと思います。

 が、実は野球において『4つめのアウトを得ることが可能』なパターンがあるということをご存知でしょうか? ――経験者ならわかると思いますが2アウトから内野ゴロのゲッツーは『フォースアウト』が成り立つので4アウトにはなりません。ゲッツーとは『1つのプレーで2つのアウトを得る行為』ですね。ルールブックに表記されてるわけじゃないですが、経験者であれば誰でも知っている言葉でしょう。

 今回は野球において4つめのアウトが存在すること、守備側には『アウトを選択する権利がある』というお話をしていきましょう。今回はある程度野球についてのルールを知っている前提で解説していきます。野球についてよくわからないのでしたら、ぜひご近所の草野球チームに加入して野球を肌で感じてほしいですね。どうでしょう? 昨今のコロナ巣ごもり需要で運動不足になっている方もいると思いますし、これを機にはじめてみては?

守備側が”3つめのアウトを選択する” 第4のアウトとは?

 まず『1アウト1、3塁』という状況を考えましょう。経験者ならわかると思いますが、この状況は攻撃側も守備側もありとあらゆる作戦が想定されるメンドクサイ場面ですね。点差や打者能力など様々な要因は置いておくとして、攻撃側に立った時アナタはどんな作戦を考えますか?

<strong>Aさん</strong>
Aさん

スクイズで確実に1点をもぎとる!

<strong>Bさん</strong>
Bさん

ヒットエンドランで攻撃的に攻めたい!

<strong>Cさん</strong>
Cさん

作戦なし! 適当なサインを出して相手にはあれこれ迷ってもらおう!

 守備側としても上記の作戦を想定しますし、さらに犠牲フライなどありえる状況に対しての準備も必要です。

 ここでひとつ、攻撃側がエンドランを仕掛けたとしましょう。運悪く打球はライナー性になりショート正面へ。ノーバウンドでキャッチされたので2アウトになりました。この時、ふたりのランナーには元いた塁に戻らなくてはならない『リタッチの義務』が生じます。ところがエンドランで走り出してしまったランナーは戻ることができず、サードランナーに至ってはホームベースに到達、ホームインしてしまうことに

 その後、ショートはそのままファーストランナーにタッチし3アウト、チェンジとなります。ゆうゆうとベンチへ戻っていく守備陣ですが、実は大きな過ちを犯していることに気づいていません。

 実はさきほど生還してしまったサードランナー、野球のルールに則ればしっかりと得点が認められるのです。これはいったいどういうことなのでしょうか?

アピールする権利

 守備につく選手は審判にアピールする権利をもっています。アピール可能なパターンは以下のようなものがありますね。

・1塁を駆け抜けたランナーが帰塁しなかった
  あるいは2塁に行く姿勢を見せた
リタッチの義務を怠った
ベースを踏まず次の塁へ向かった

 アピールプレイは『守備側が攻撃側の違反を審判にアピールし、アウトにしてもらう行為』です。先程の例ではタッチアウトを得ましたが、たとえばファーストにボールを送球し、審判に対して――

<strong>ファースト</strong>
ファースト

ファーストランナーはリタッチの義務を怠っています!

 と主張してもアウトが宣告されます。いずれにしてもファーストランナーは3アウトになりました。しかしサードランナーに対して守備側は何もアピールしていないですね?

 アピールが無いので、審判はサードランナーに対しアウトを宣告しません。そして3アウトが宣言される前にホームインしていたので、その1点は認められることになります。ちなみに、審判は公平さを遵守する都合上、守備側に対し攻撃側の違反を教えることはありません。そんなことしたらあまりにも攻撃側に不利ですからね。

得点を防ぐための”アピール”

 守備側はサードランナーの違反に対しアピールすればよかったのですが、残念ながらそれができなかったわけですね。実際にこういった例で失点してしまった試合もあり、あまりにも特異性があるため『ルールブックの盲点』などといったワードでその業界では有名な逸話です。

YouTubeチャンネル、Dawd afww3:投稿動画より

 大事なことなので繰り返し書きますが、守備側がアピールする必要があるからと言って審判は「アピールしたほうがいいよ」なんてことは口にしません。これは攻撃側に対し大きく不利になり平等性を失うからです。審判は両者に対して中立である必要があります。

アピールプレイの注意点

 守備側はアピールするべき攻撃側の違反を見つけた場合、以下の条件内であればアピールすることができます。

次のプレーがはじまる前(ピッチャーの投球含む)
・投手及び内野手全員がフェア地域を離れる前

 アピールは『次のプレー』に当てはまらないので、必要であれば何回でもアピールプレイが可能です。ですから、たとえばランナー全員がベースを踏み忘れたとして一挙に3アウトを獲得できる場合もあります。まあ、そんなこと球史に1度としてないのですが……。

 さて、ここでひとつ疑問なのは「じゃあ野球では4アウトも5アウトも可能なの?」ということ。実際はどうなのでしょうか?

第4のアウト

 結論としては、たしかに同時に5つのアウトを得ることもできますね。さらに2アウト満塁で打者含め全員が何らかの違反をしていたとすれば6アウト得られる計算になります。まあ、そんな例は日本野球界に1例として存在せず、わたしが調べた限りでは、世界の野球界でもこのような珍事は起こっていません。

 こういった想定以上のアウトを得られる時、守備側は『3アウト目を守備側が選択できる』権利があります。アピールで4以上のアウトになる場合、守備側がもっとも都合のよい3アウト目を選択することができます。

――また、第3アウトがアピールによって成立した後でも、守備側チームは、このアウトよりもほかに有利なアピールプレイがあれば、その有利となるアピールアウトを選んで、先の第3アウトを置きかえることができる。

公認野球規則2020年版 より

 上記の例を考えてみましょう。1、3塁ランナーどちらもアピールによってアウトにできますね。仮にファーストランナーに対するアピールをしてしまったとしても、そのあとサードランナーに対してもアピールすれば、上記のルール通りに『第3アウトの置きかえ』によって失点を防ぐことができました。この成功例が以下の動画です。

YouTubeチャンネル、呉昭和クラブ 少年野球:投稿動画より

 この子どもたちはよくルールを理解しているようですね。コーチらに言われたとしてもここまでスムーズにアピールして『第3アウトの置きかえ』ができるのは、野球をやっていたわたし個人としてとても尊敬できるところです。

 ちなみにという話ですが、選手側はこのようにアピールする権利をもってはいるものの審判に講義する権利は誰一人として持っていません。唯一監督のみが審判に『ルール通りに処理を修正することを促す権利』を持っています。プロ野球の試合でたまーに見かける監督が審判と話し合っているアレは『ルールの確認』です。通常5分ほどを目安に審判は『故意に時間を引き伸ばしている』と解釈し監督を退場させる流れのようです。

 経験者でも意外と知らない野球のルール。今後も紹介していきたいですね。

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