YouTubeチャンネル、David Bruce Composer:投稿動画より
クラシック音楽の歴史は? 代表曲は? そもそも”クラシック”ってなに?
クラシック音楽とは『“正式“な伝統音楽』です。古くから伝わる民族音楽とは一線を画し、宗教や国の文化に根付いた格式高いジャンルとして認知されています。日本で例えるなら『雅楽』に当てはまるでしょう。
“ヨーロッパのクラシック音楽時代”という意味では、実は『1730年 ~ 1820年』ごろの時代に作られた音楽だけを指します。学校で習った彼らは、すべて“クラシック音楽時代“に活躍した方です。
ヨハン・セバスティアン・バッハ
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
フランツ・ペーター・シューベルト
錚々たるメンバーですね。この時代に活躍した偉人たちは、主にオーストリアの首都ウィーンで活躍したため、別名『ウィーン古典主義時代』とも呼ばれています。音楽ジャンル的な“クラシック“を指す場合、15世紀に入ってフランスで広まった『ルネッサンス音楽』から入り、21世紀の現代でも様々なクラシック音楽が作られています。
クラシックの歴史
YouTubeチャンネル、Netherlands Bach Society:投稿動画より
バロック時代の頂点を築いたJ.S.バッハの曲
クラシック本来の意味はラテン語の[class]。日本語訳で『一流の』という意味があり、転じて『格式高い』という意味も内包します。中世のクラシックをより深く理解するために、ヨーロッパの音楽の歴史や楽器に関する問題なども紹介していきましょう。
クラシック”まで”の歴史
クラシック音楽と聞くと、どこか“中世ヨーロッパ”的な印象を覚えますね。ヨーロッパでは古くからキリスト教が広まっており、西洋音楽はキリスト教の影響を強く受けています。古い歴史がありそうですが、実際の“クラシック音楽”は18世紀ごろの――諸説ありますが、おおよそ『1730年 ~ 1820年』までのあいだ、西洋で作られた音楽を指しています。
キリスト教を公式の宗教としたローマ帝国では、教えを広めるため賛美歌を広く活用しました。当時は楽譜が開発されてなかったため、音楽は職人や親の口伝のみで伝えられていました。布教のためだれでも演奏でき、歌える方法が必要だった当時のローマはネウマ譜という楽譜を活用し、様々な賛美歌を作成します。グレゴリオ聖歌はその代表として有名ですね。
ネウマ譜で記されたグレゴリオ聖歌 この楽譜から音階(ドレミ)が生まれた
ネウマ譜が開発され、様々な改良が施された結果現代の楽譜の形をしてきたのが15世紀ごろです。この時代はいくつかの事情があり、多くの楽器を組み合わせた壮大な曲は多くありませんでしたが、音楽界に以下のような発展があったおかげで、少しずつクラシックの時代に足を踏み入れることになりました。
和音の発展
当時の音楽は複数のメロディを奏でるポリフォニー(多声音楽)が盛んで、同じタイミングで複数の音を奏でる和音という発想はあまり見られませんでした。17世紀の『バロック音楽』と呼ばれる時代、有名な音楽家『ヨハン・セバスティアン・バッハ(J.S.Bach)』はポリフォニーを極めたとされ、和音に近い対位法を使いこなす方でもありました。同じタイミングで異なる高さの音を出す技法です。
小学校の音楽の授業で必ず紹介されるバッハですが、クラシック音楽の時代は彼の息子『カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(C.P.E.Bach)』のほうが有名ですね。バッハ一族は著名な音楽家を多数輩出している家系でもあります。
和音が使われるようになると、たまに良い響きであることがあります。この“良い響き“になるルールはないか? というテーマで1722年書かれた『ジャン=フィリップ・ラモー(Jean-Philippe Rameau)』の著書『自然の諸原理に還元された“和声論“』がきっかけで、バッハが有名な『平均律クラヴィーア曲集』を作曲。大きな反響を生み出したのです。
楽器の発展
和音が流行しなかった理由は当時の調律技術にあります。当時の調律は職人のウデにかかっており、楽器ごとに調律の仕方も異なっていました。上記で紹介した『平均律』が定められるまで、複数の楽器を重ねるとどうしても”うなり”ができてしまうのです。
18世紀になると、楽器も大きな進化を遂げるようになりました。特に大きな影響を与えたのは、管楽器の技術改良と1700年代に『ピアノ』が開発されたことでしょう。それまで主流だった『チェンバロ(ハープシコード)』と比較し、ピアノは音の強弱など幅広い表現が可能となり、曲に新たな奥行きを持たせることができます。平均律の登場により各楽器の調律も合わせられるようになり、バロック時代に生まれたオーケストラも確立されていきました。
そしてクラシックへ
クラシック期へ発展した理由は以下のようになります。
・和音技術が飛躍した
・楽器の種類、技術、精度が飛躍した
これらの進化が、クラシック以前の通奏低音から、各楽器の調和を生かした壮大なホモフォニー(和声音楽)が主流に、時代に合わせそれまでの楽興様式もさらに進化させ、とくに『フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn)』は弦楽四重奏、シンフォニー(交響曲)、ソナタ(器楽曲・奏鳴曲)など、クラシック音楽界に多大な影響を残しています。
クラシック音楽とは?
YouTubeチャンネル、Joe Corte:投稿動画より
ギャラント様式、多感様式の代表とされるC.P.E.バッハの曲
理論、楽器共に大きな進化を遂げたクラシック時代は、共に社会の変革を向かえる時代でもありました。バロック音楽にあった教会・宮廷音楽的響きから脱却し、単純率直かつ雄大な音楽性が求められるようになりました。代表的な様式、学派は数多く存在します。
・フランス
ロココ様式
ギャラント様式
・ドイツ
多感様式
マンハイム学派
・オーストリア
ウィーン学派
いずれも優雅さや壮大さが特徴的で、大胆な転調極端な強弱と聴く人を飽きさせない自由な表現が豊富に組み込まれています。
交響曲(シンフォニア)はもともと『オペラ』もしくは『オラトリオ』の導入曲でしたが、様々な楽器を組み合わせたオーケストラの台頭により独自のジャンルを確立。様々なコラボレーションが可能ということで、当時ヨーロッパ中の作曲家たちがこぞって交響曲を作曲していました。その中でもとくに秀でたとされるのが、オーストリア出身の『フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn)』です。彼は生涯を通し84の弦楽四重奏曲、107の交響曲を作り上げ『弦楽四重奏曲の父・交響曲の父』とも呼ばれています。
ウィーン古典主義時代
YouTubeチャンネル、Mandetriens:投稿動画より
交響曲の父、弦楽四重奏曲の父とも呼ばれるF.J.ハイドンの曲
ヨーロッパで広まったクラシックの波は、オーストリアのウィーンで活躍した作曲家たちの手により確立していきます。ウィーンで活躍したハイドンは、日本でも有名なあの音楽家の指導者でもあります。
・ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)
友人であり、彼を指導した
・ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)
家庭教師として教えた
ハイドンが基本構造をつくった交響曲のソナタ形式はモーツァルトに引き継がれ、さらに充実したものになりました。ベートーヴェンは伝統を受け継ぎつつも、楽曲構成をさらに拡大させたり、歌唱(交響曲第9番)をつけるなど独自の進化を遂げていきました。ピアノを最大限活用していたのもベートーヴェンです。
ハイドンの影響 モーツァルトとベートーヴェン
YouTubeチャンネル、sigma1024:投稿動画より
“モーツァルト効果”の実験曲
モーツァルトは5歳のころから作曲した才能を父親に買われ、小さな頃からヨーロッパの各地を旅行し各国の音楽を吸収していました。その結果、生涯で800を超える作品を発表しましたが、残念ながら35年の生涯で幕を下ろすことになります。死因は現在でもわかっていません。
彼の作品はクラシック音楽を代表する音楽として扱われています。クラシックではピアノやバイオリンなどの独奏楽器がメインとなり、管楽器がそれと並びそれぞれの特色を発揮しながら演奏されるようになりました。オーケストラのイメージがそのまま当てはまりますね。
これまで演奏者の感性で奏でられたカデンツァ(無伴奏の独奏)は、ベートーヴェンの時代から作曲者が意図的に楽譜に記述するようになり、最終的に32曲のピアノソナタを作曲しました。
クラシックの終わり
YouTubeチャンネル、Dávid Rehák:投稿動画より
ロマン期への移行を感じさせるW.R.ワーグナーの代表曲
ベートーヴェンが打ち立てた自由かつ雄大な音楽は数多くの人に愛されましたが、それもやがて形式化するとそれを壊そうとする作曲家が増えていきました。それまで使われていた和声法の常識を打ち破り、不協和音も取り入れた自由で飽きない響きを求め始めたのです。さらに、世の演奏家を悩ませる多種多様な音楽記号が乱立しはじめた時代でもありました。
フランツ・ペーター・シューベルト(Franz Peter Schubert)は、クラシック後期に誕生し、ロマン派の先駆けとなった人物です。当時はドイツ文学と楽曲の融合を図る『ドイツ・リート(芸術歌曲)』が流行し、彼が芸術の領域にまで高めました。子どもの状況や心情がダイレクトに伝わる名曲『魔王(Erlkönig)』は誰もが知っていますね。著名なドイツ人作家『ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)』の詩を元にしています。
現在も新たな音楽が次々と生み出され、パソコンを使えばだれでも手軽に作曲できる時代になりました。作曲に興味ある方は、これを機に触れてみてはいかがでしょうか?
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