高校球児がよく”笑う”ようになった理由、知ってますか?

打たれたのにヘラヘラしやがって! ←実は”理由”があります

 突然ですが、アナタは『高校球児の笑顔』についてどう思いますか?

<strong>Aさん</strong>
Aさん

互いに楽しくプレーできて良いじゃない

<strong>Bさん</strong>
Bさん

昔の高校球児はもっと”真剣”にやってたのに

<strong>Cさん</strong>
Cさん

三振してもヘラヘラしてる……悔しくないのか?

 それぞれ賛否両論だと思います。甲子園だけを見ても笑う高校球児は多く、地方大会などへ視線を向ければさらに多くの高校球児が笑顔でプレーしています。この流れは2000年代にはすでに見られ、今では数多くの高校球児がグラウンド上で笑顔でプレーしています。

 いくつかの可能性が考えられますが、これは指導者がそういった指導をしている可能性が最も高いでしょう。三振したり、ヒットを打たれて悔しくない球児なんていません。もし悔しくないのだとしたら、なぜ試合終了後に泣いたりできるでしょうか?

 最新のスポーツ心理学では『笑顔』と心理的側面、パフォーマンスの関連性が多く研究されています。スポーツは“心・技・体”の3要素が重要、だからこそ精神面も鍛える必要があります。

<strong>Aさん</strong>
Aさん

え? 毎日キツイ練習してるし、精神力も鍛えられるんじゃないの?

 練習量と精神力はあまり関係ありません。もちろんムダとは言いませんが、身体の強さと心の強さはまったく別問題なのです。今回は、高校球児の精神面を支える笑顔のパワーについて書いていきましょう。

楽しいから笑うんじゃない。笑うから楽しいんだ

 ちょっと『楽しい時』のことを思い出してください。自然と笑顔になってきませんか? ――そんなの当たり前だろうと思うでしょう。しかし感情に関わる理論『ジェームズ=ランゲ説』ではこの順番が逆になるのです。

一般的な”常識”
 → 楽しいから笑う
ジェームズ
=ランゲ説
 → 笑うからたのしい

 先程は『楽しい時』のことを思い出しましたが、こんどはただ『笑顔』になってみましょう。なんか楽しい気持ちになってきませんか?

ジェームズ=ランゲ説

 アメリカの心理学者『ウィリアム・ジェームズ(William James』が提唱し、また『カール・ランゲ(Carl Lange』も同時期に同じ主張をしていたことから名付けられました。

 山を散策中クマに出会ったとしましょう。常識的に考えれば以下のような順番ですね。

・怖いという感情を覚える → 身体が震える

 ジェームズ=ランゲ説では以下のような順番になります。

・身体が震える → 怖いという感情を覚える

 とても信じられないような説ですが、これは実際に試してみると実感できます。鏡に向かって笑ったり怒ったり、悲しい表情をしてみてください。そうすると、数秒後にはなんとなーくそんな感じになってくるのです。この詳細はジェームズが1890年に出版した『心理学の原則(The Principles of Psychology)』に詳細が記されています。Amazonにて販売されていますが、以下のサイトでは全文を無料で読むことができますね。

Classics in the History of Psychology
 心理学の原則、全文は こちら(英語)

The Principles of Psychology: Volumes 1 and 2. Complete works.
The Principles of Psychology: Volumes 1 and 2. Complete works.

笑顔がもたらす効果

 厚生労働省が助成する『健康長寿ネット』では、笑いには以下の効果があると明記されています。

・生理的効果
・心理的効果
・社会的効果

 筋肉の弛緩がストレス緩和を生み、心をリラックスさせます。さらに、周囲の人と楽しい空間を共有することで会話のタネを生むことにもつながるでしょう。多くの実験で効果が示され、唾液のコルチゾール量を測定した結果、笑った後のコルチゾールは有意に低下していましたリンク先参照

健康長寿ネット
 笑いがもたらすリラクゼーションの効果は こちら
J-STAGE、心臓財団虚血性心疾患セミナーより
 笑いと心臓病に関するエビデンスは こちら

笑顔で成長力向上

 笑いは心だけでなく運動パフォーマンスや成長面でもメリットがあります。『山梨学院大学学術雑誌スポーツ科学研究』に掲載された、運動部に所属する大学生を対象に調査が行われました。アンケート調査では以下のような関連性が示唆されています。

様々な笑いを表現する人ほど
 「失敗から学ぶことが多い」と答えた

 失敗をどう捉えるかでその後の成長が変わる。これはスポーツ経験者ならだれもが知っていることではないでしょうか? 笑顔がすべて解決するわけではありませんが、少なくとも笑顔には思考の方向性をプラスに導く効果があると言えそうですね。

 高校球児たちがする笑いは決して愛想笑いではありません。自分の能力を信じ、チームの絆を力に変える前向きなパワーを秘めているのです。

CORE(イギリスの総合オープンアクセス論文検索サイト)
 当該研究は こちら
厚生労働省、こころもメンテしよう
 失敗した時の笑顔の大切さについては こちら

笑顔のつくり方

 笑うことは大切ですが、カラ元気やウソ笑いはおすすめできません。ムリに笑うと人は『ホントの自分』をより意識し逆効果になってしまうからです。むりやり作ったウソの笑いは以下のようになります。

 口だけがニヤリとして、いわゆる目が笑ってない状態ですね。本人はそのつもりでないにしても、これでは笑った感じがなく不気味にも見えます。本当の笑顔は『目と口が同時に動く』のです。

 ムリに笑うのはおすすめできませんが、自発的笑いは大きなメリットをもたらします。自然な笑顔ができれば、心も自然と楽しくなってきますね。

 アナタは甲子園で笑顔を見せる球児たちに対し「高校球児らしくない」なんて口走ったりしていませんか? そもそもアナタの云う『高校球児らしさ』とはなんでしょうか?

 高校球児たちが笑顔でいる理由。それを真の意味で知るには高校球児本人に聞くしかないでしょう。しかし、彼らの笑顔をただ「真剣勝負中にふざけるな!」と批判するのは間違っていると思います。甲子園や高校野球のみならず、今後多くのスポーツで『笑顔』の大切さが広がっていくでしょう。笑顔でハツラツとプレーする姿、みんなで応援していきたいですね。

J-STAGE、笑い学研究
 2010年以降の”笑い”に関する研究動向は こちら

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