
日本の伝統音階を紹介 5つの音で構成されるペンタトニック・スケールについても解説
現代音楽では、ほとんどが西洋音楽で用いられる音階を基準とした『ドレミファソラシド』の音で表現されています。楽譜も西洋のものが用いられ、それに合わせて多くの楽器が同じ高さの音を出せるようチューニングされています。
今回は日本の民族音楽で使われる4種類の5音音階について紹介していきましょう。
5つの音階で演奏される日本の伝統音楽
現代音楽は、1オクターブ間の音程を均等な周波数比で分割した『十二平均律』という音階を採用しています。つまり『ド~ド』までの周波数を均等に12分割してそれぞれ音名をつけている、ということですね。
こうすることで音の調律が楽になるだけでなく、楽器間の『うなり』などを防ぐことができる事情がありますが、それらは別の機会に記事を書ければと思います。実はこういった工夫は、各国の楽器をうまく組み合わせることも可能にしており、楽譜があればどんな楽器でも演奏するための“地図“を作れることができるようになりました。
日本の歴史でも『十二律』など独自の音階文化が発展してきましたが、現在はほとんどこの十二平均律に基づいた調律が行われています。続いて日本でよく用いられる音階について書いていきましょう。
日本でよく使われるヨナ抜き音階
日本の伝統音楽でよく見られる音階は、総じて『5つ』の音で表現される『ペンタトニック・スケール』が利用されています。以下の音階が代表的なペンタトニック・スケールとなりますが、日本ではこれを『ヨナ抜き音階』と呼んでいます。4番めと7番目の音を抜いているからですね。

今回主に参考としている著書『齋藤純一郎』氏監修『早引き音楽記号・用語事典』では、東洋的で優しい響きをもつとされています。みなさんにはどう聴こえるでしょうか?
世界で修行を積み、日本を代表する指揮者として名を残す齋藤純一郎氏が手掛けた1冊

西洋音楽ではこれを『ペンタトニック・スケール』と呼び、日本のみならず世界でも広く採用されている音階になります。有名な曲も多く、たとえばVOCALOIDシステムを使用した音声合成ソフト『初音ミク』で作曲された、音楽同人サークルWhiteFlameのメンバー『syana』氏作曲『千本桜』などはこのヨナ抜き音階が採用されています。日本らしい美しさが感じられますね。

日本で用いられる4つの音階
日本の伝統音楽で見られる5音音階には以下のようなものがあります。
・律音階
・都節音階
・民謡音階
・沖縄音階
これらを順番に紹介していきましょう。また、これらの音階を詳しく解説している、文部科学省管轄の独立行政法人『日本芸術文化振興会』が運営するサイト『文化デジタルライブラリー』では、各種音階に調律されたサンプル曲を試聴することができます。
文化デジタルライブラリー
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律音階
律音階は『雅楽』で多く見られ、いわゆる雅な響きをもつとされる音階です。『律』の言葉自体は中国から輸入されたものですが、日本の音楽理論にあった音の高さを決める用語をそのまま流用し名付けられたものです。

都節音階
都節音階は『箏曲・三味線音楽』でよく用いられる音階で、有名な音楽としては『阿波おどり』が挙げられます。『都節』と呼ばれる節回しに近いことから名付けられたようです。

民謡音階
民謡音階はその名の通り『民謡』でよく用いられる音階です。『ソーラン節』や『八木節』など、思い出せる民謡のほとんどがこの音階を利用していると思います。また、このような音の組み合わせを音楽用語では『短3度 + 長2度』とも呼ばれています。

沖縄音階
沖縄音階もその名の通り『沖縄』地方でよく用いられている音階です。ポピュラー音楽でも沖縄出身の方がよく用いており、曲調が明るく陽気になるイメージをもたせるようです。ほか『琉球音階』とも呼ばれていますが、日本のみならず台湾、インドネシア、インド、ブータン、チベットなどアジアで広く用いられている音階でもあります。

音楽の歴史は深く、世界各地には様々な音階が存在します。また、これらは西洋音楽のルールに沿った音階であり、各国オリジナルの音階や、ドレミの12音階で収まりきらない音数をもつ音楽も存在します。もし興味がある方は、そういった未知の音楽について探索してみてはいかがでしょうか?
“ToDo”チャレンジ
①音楽に触れよう
音楽に興味ない方、この機会にぜひたくさんの音楽を試聴してみましょう
②音楽を聴こう
J-POP、ジャズ、オーケストラ、ジャンルはたくさんあります
③音楽を作ってみよう
自分の思い思いの気持ちを音符で表現してみよう
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