【盲導犬】人間をたすける”犬のしごと”一覧【麻薬探知犬】

YouTubeチャンネル、厚生労働省:投稿動画より

人間に使われる犬はかわいそう ← この”勘違い”をなくしましょう

 犬と人間との出会いは数万年前まで遡ります。人間は犬との交流を深め、数多くの仕事で共同作業するようになりました。家畜を守ったり誘導したりする牧羊犬、ハンティングに同行する猟犬など、犬ができる仕事は多種多様です。

 近年は犬がもつ能力を活かし、人間社会のなかでの需要も増えてきましたね。今回はそんな犬のしごとを紹介します。

内部リンク:人間と犬の”出会い”は こちら

連盟が定めた”犬種グループ”

 全世界の犬種を認定、管理する『国際畜犬連盟(FCI)』によれば、犬はそれぞれの特徴ごとに10グループに分けられています。

牧羊犬・牧畜犬
  家畜の誘導、保護が主な役割
  コリー、シープドッグなど
使役犬
  番犬、警護、作業が主な役割
  マウンテンドッグ、ピンシャーなど
テリア
  小動物狩りが主な役割
  テリアなど
ダックスフンド
  ダックスフンドだけの特殊なグループ
原始的な犬種・スピッツ
  オオカミに近い形質を持つとされる犬種
  日本犬の多くが該当
嗅覚ハウンド
  嗅覚にすぐれ、吠えて獲物を追い詰める猟犬
  ビーグル、バセットなど
ポインター・セター
  獲物を探し、人間に位置を教える役割
  上記名が入る犬種が多い
⑦グループ以外の鳥猟犬が所属
  スパニエル、レトリーバーなど
愛玩犬
  家庭で人間と共に暮らすことが主な役割
  チワワ、プードル、パピヨンなど
視覚ハウンド
  視覚にすぐれ、走力で獲物を追跡捕獲する犬種
  ハウンドの多く、ボルゾイ、サルーキなど

 古くから人間と過ごしてきた犬は、その過程で人間から様々な仕事を任されてきました。意図的な交配でより先鋭化され、上記グループごとに人間が意図した動きが染みこんでいますね。

 変化が激しい人間社会のなかで、犬に求められるしごとも大きく変化してきました。現在は愛玩犬コンパニオン・ドッグの人気が著しく、ストレスを多く抱えた人のため、犬が彼らの心を癒やす役割も担っています。人間社会のなかで生かされていく犬のしごととはいったいどのようなものなのでしょう?

国際畜犬連盟(FCI)
 トップページは こちら(英語)
ジャパン・ケネルクラブ(JKC)
 トップページは こちら

人間社会における”犬のしごと”

 日本では、動物愛護に関する情報は『環境省』が提供しています。ただし、犬のしごとや人間との関わりに関する情報は『厚生労働省』から提供されています。法的な制度を知りたい場合は環境省へ、犬がどう社会に役立っているか知りたい場合は厚生労働省のサイトへアクセスしましょう。

 これらのしごとは厳密な適性検査と厳しい訓練を乗り越えなければなれません。つまり、現在現役バリバリで働く犬たちは、その厳しい訓練を終えたエリート犬なんですね。また、これらの仕事を選別する方はそれぞれの犬の個性や適正をしっかり見極めた上で、犬にストレスがかからないよう配慮しながら訓練します。こうした犬たちはしごとを喜んでやってくれていますし、イヤイヤしごとをする犬は、その時点でこれらのおしごと犬候補からは外されるでしょう。

 現役で活躍する犬たちは、もともと人といっしょに遊んだり、おしごとをするのが大好きな犬ばかりなのです。

環境省
 公式ページは こちら
厚生労働省
 公式ページは こちら

身体障害者補助犬

YouTubeチャンネル、シルコトカラー奈良県障害理解チャンネルー:投稿動画より

 単純に『補助犬』とも呼ばれます。身体障害者補助犬は以下の3種類に派生します。

① 盲導犬
② 介助犬
③ 聴導犬

 障害の種類に応じ、それぞれのしごとに特化した犬が人間の補助をしてくれます。なお、障がい者が不当な扱いをされてはいけないという考え方のもと、国は補助犬の同伴拒否をしないよう呼びかけています。

 理由のない同伴拒否はできません。補助犬使用者は認定証の携帯が義務付けられており、補助犬は黄色の首輪や胴着を着用しているので、勘違いしないよう必ず『認定証の提示と補助犬であるかどうかの確認』をしましょう。

e-Gov法令検索
 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
  通称:障害者差別解消法、全文は こちら
 身体障害者補助犬法全文は こちら
厚生労働省
 身体障害者補助犬については こちら
 もっとしってほじょ犬リーフレットは こちら

盲導犬

YouTubeチャンネル、公益財団法人 日本盲導犬協会 公式チャンネル:投稿動画より

 視覚障害者の安全を確保するためのサポートを行います。いっしょに外を出歩き、使用者に『障害物・曲がり角・段差』などを教えたり、危険な場所へ入らないよう誘導するなど、歩行者の目の代わりとして活躍します。

 使用者は『ゴーバックストップ』などの指示を英語で行います。ほかの補助犬もそうですが、日本語では『お座り座れ座って――』など言い方が複数あるため犬が混乱してしまわないよう、命令は英語ひとつの言葉だけで行います。

介助犬

YouTubeチャンネル、社会福祉法人 日本介助犬協会:投稿動画より

 肢体不自由者の安全を確保するためのサポートを行います。落とした物を拾って渡す、手の届かない物を取ってくる、ドアや冷蔵庫の開閉までしてくれて、立ち上がる手伝いなど、日常のありとあらゆる動作を補助してくれます。

 肢体不自由の方は、誤って転倒した後動けなくなるという問題もあります。その時、携帯電話を持ってきたり、家族を呼んできてくれる補助犬の存在は、使用者としてはまさに命綱のような存在でしょう。

 人間を介助してくれる頼もしいわんちゃんたちですが、そんな犬だって介助がほしい場合もありますよね。お年寄りでもまだまた散歩に行きたい! そんなわんちゃんたちに付けてあげたい犬用の歩行補助ハーネスがあります。

 元気に歩くわんちゃんたちを応援したいアナタに。

聴導犬

YouTubeチャンネル、NPO法人MAMIE:投稿動画より

 聴覚障害者の安全を確保するためのサポートを行います。なんらかの音を探知し使用者へ知らせ、その側へ誘導してくれます。玄関のチャイム音、赤ちゃんの鳴き声、車のクラクション、非常ベルなど、生きる上で重要になる音はたくさんありますね。

 知らせるだけでなく、ちゃんと音の鳴った場所まで誘導してくれるの重大事故を防ぐことができます。緊急警報機などの音にも反応してくれるので、災害時ひとりだけ逃げ遅れてしまった、という悲劇を防ぐことにも繋がりますね。

補助犬を見かけたら

 補助犬はペットとは異なる役割を担っています。人間の補助として、つまり『人間の身体の一部』として働いてくれる頼もしい存在なので、彼らの仕事をジャマしないようにしましょう。

 また、補助犬は使用者が日頃からトリミングやトイレの世話などを担い、きちんとスケジュール管理されています。レストランなどでも使用者の足元でじっとするよう訓練されているので、犬の気を散らすような行動はしないようにしましょう。

禁則事項
 ・声をかける
 ・触る
 ・口笛を吹く
 ・食べ物を与える
 ・目を合わせる etc…

厚生労働省
 補助犬に関するおねがいは こちら

警察犬

YouTubeチャンネル、YouTube山梨県警察公式チャンネル:投稿動画より

 能力を活かし、警察の捜査に協力する犬たちです。犬は種類により人間の1億倍もの嗅覚を誇ります。それらの能力で行方不明者を捜索したり、犯人確保にも大きな力を発揮します。

 適性検査や厳しい訓練が課せられ、警察犬に就任できる犬はほんのひとにぎりです。紐で繋がれずとも人間のそばに付き添い、指示があれば迅速に従わなければなりません。その他、足跡を元に探索する足跡追跡能力、臭いサンプルをもとに目標物を探し出す臭気選別作業、犯罪者に対し勇猛果敢に立ち向かう勇気など、警察犬への道のりはかなり険しいものですね。

日本警察犬協会:公式ページは こちら

探知犬

YouTubeチャンネル、Inside Edition:投稿動画より

 能力を活かし、隠されたモノがないかチェックする犬たちです。警察犬と同じように、主に嗅覚を用いて様々な探知行動をとります。現在『〇〇探知犬』として活躍する種類は数多く存在し、下記の例で列挙できない様々な探知犬も存在します。

・動植物検疫探知犬
・麻薬探知犬
・爆発物探知犬
・船内探知犬
・がん探知犬
・コロナ探知犬

 日本では動植物検疫探知犬麻薬探知犬がとくに活躍しており、国際空港が主なしごと場となります。すこし複雑ですが、動植物検疫探知犬は『農林水産省動物検疫所』が、麻薬探知犬は『財務省税関』が情報提供しています。それぞれのしごとはどういったものでしょうか?

農林水産省
 動植物検疫探知犬の概要は こちら
農林水産省、動物検疫所
 動植物検疫探知犬の概要は こちら

動植物検疫探知犬

YouTubeチャンネル、maffchannel:投稿動画より

 手荷物国際郵便物をチェックし、中に動植物検疫を必要とする製品がないか嗅ぎ分ける仕事をしています。ただ臭いを嗅ぐだけでこれらの病原体が見つけられるのですから驚きですよね。

・鳥インフルエンザ
・口蹄疫
・アフリカ豚熱(ASF)
・ミバエ ect…

 動植物検疫探知犬は、肉類加工品含む果物の臭いを敏感に嗅ぎ取ります。そういった品物が原因で国内に病原菌が侵入したりするので、日本では『家畜伝染病予防法』によって厳重に管理されています。探知犬はそれらを運用するためひと役買ってくれているのですね。

e-Gov法令検索
 家畜伝染病予防法については こちら

麻薬探知犬

YouTubeチャンネル、成田空港 Narita Airport【公式】:投稿動画より

 数ある中でも、とくに麻薬を重点的に探知するため訓練された犬たちです。入国する方の携帯品や外国からの郵便物等を輸入する際にチェックします。

 麻薬だけ? と思いガチですが、麻薬だからこそ専門的に特化した『おしごと犬』が必要なのです。密輸される麻薬類は周到に隠されているため、どのような荷物からも確実に探知できる犬の力が必要になります。

 ダミーに騙されず探知したり、壁の隙間に隠された麻薬を探し出したり、貨物室を隅から隅ませしらみつぶしに調査したり――そういった訓練を突破した彼らのがんばりが、わたしたちの安全な生活を支えているのですね。

財務省、関税:麻薬探知犬の概要は こちら

ほかにも様々な”探知犬”が

YouTubeチャンネル、The Project:投稿動画より

 近年は新型コロナウイルス感染症の流行もあり、コロナウイルスを探知できる犬も世界で活躍しています。もはや犬の嗅覚で嗅ぎ分けられないモノは存在しないのではないでしょうか?

 ちなみに、空港では犬も検査対象になります。病気にかかっている場合入国を拒否されることもありますね、飼い主さんはしっかり愛犬の体調管理をしてあげてください。

SEMANTIC SCHOLAR(海外の論文要約サイト)
 犬の嗅覚によるCOVID-19検出に関する”精度”についての研究のひとつは こちら

セラピー・ドッグ

YouTubeチャンネル、kota:投稿動画より

 幼児や高齢者、さらに認知症や自閉症などの障害を抱えた方、心の不調をきたした方などの心身のリハビリテーションを目的として活躍する犬たちです。また、逆に虐待や遺棄された犬に対しても、人間社会とのつながりを形成する目的でセラピードッグとして活躍させる場合もあります。

 全国の高齢者施設病院心身障害者施設児童施設教育現場など活躍の場は多岐にわたります。被災地への訪問活動に、刑務所に服役する囚人の社会復帰を補助するなど、あらゆる角度から心のケアに関するおしごとをしています。

YouTubeチャンネル、【CHIRORI CHANNEL チロリチャンネル】一般財団法人 国際セラピードッグ協会 公式CH:投稿動画より

 セラピードッグを育てる団体の多くは、人だけでなく犬も助ける活動をしています。日本では『令和2年4月1日 ~ 令和3年3月31日』時点の報告で4,059頭もの犬が殺処分されています。

 人間は犬と共に暮らし、犬から多くのエネルギーをもらっています。だからこそ、犬への感謝を忘れずに、できることをやっていきたいですね。

国際セラピードッグ協会
 セラピードッグの概要は こちら
ドッグセラピージャパン(DTJ)
 公式ページは こちら
環境省
 犬・猫の殺処分数に関しては こちら

付添犬

YouTubeチャンネル、社会福祉法人 日本介助犬協会:投稿動画より

 虐待、性的被害など、心身へダメージを負った子どもたちにただ付き添ってあげる犬たちです。ただ付き添うだけのしごとですが、それが子どもたちにとっては大きな救いになるのです。

 だれだって苦しい時はそばに誰かがいてほしいものじゃありませんか? ――虐待や性被害にあった子どもたちならなおさらですよね。でも大人の人、とくに加害者と同じ性の方が近くにいる場合、それが逆効果になってしまう可能性もあります。そこで、犬たちが近くに居てあげることで、さらなるトラウマを生み出さないよう精神的にサポートするのです。

 子どもたちは被害者なわけですから、第三者の事情聴取が必ずあります。その時も付添犬が近くに寄り添い、子どもたちの心を落ち着かせてくれます。そうすることで、子どもたちは安心して『自分のこと』を話すことができるのです。

子ども支援センターつなっぐ:付添犬の概要は こちら

裁判に出廷した付添犬

YouTubeチャンネル、Assistance Dogs Northwest:投稿動画より

 アメリカでは『コートハウス・ファシリティ・ドッグ(直訳で”裁判所施設犬“)』という名前で付添犬が活躍しています。2012年に開始したこの活動が広まり、2020年8月日本でも法定の場で付添犬が出廷し話題となりました。

 裁判に動向したのはゴールデン・レトリーバーの『ハッシュ』くん(6さい)です。多くの人に囲まれるなか、落ち着いたまま子どもの側に付き添ってくれた“しごと犬”ですね。インタビューに答えるだけでなく、ハッシュくんが裁判でどのような活躍をしたかは書籍でも語られています。日本ではじめて裁判に出廷した『付添犬』と、被害を受けた子どもに関わってきた弁護士医師獣医師などの大人たちが手を取り合い、悪戦苦闘しながら歩んだ熱い想いがつまった1冊。勇気と感動にあふれていますね。

2022年7月21日新刊、子どもの心を救った犬のお話

いっしょにいるよ―子どもと裁判に出た犬 フランとハッシュの物語
傷ついた子どもたちに寄り添う付添犬の物語 2020年8月、性虐待被害を受けた幼い子どもが、 裁判で証言をする際の精神的負担を和らげるために「付添犬」を伴って出廷するという 画期的な取り組みがなされました。 その出来事は、盲導犬をのぞき、 犬が法廷に立った日本初のケースとして、 さまざまな新聞・テレビでも取り上げられまし...

アニマル・ドネーション
 当該情報、当事者インタビューは こちら
日本動物病院協会(JAHA)
 公式ページは こちら

 猟犬として使役された犬の多くは、現在愛玩犬コンパニオン・ドッグとして家庭の人気者になってますね。ブリーダーたちもその需要に応えるため、現在さまざまな犬種が誕生しています。できることなら、ムリな交配で遺伝的疾患を抱えた犬種ではなく、全身健康であいくるしいわんこたちを生み出してくれることを期待したいですね。

 これらのしごとをしてくれる犬も、将来は身体弱ってさんぽもしづらくなっていきます。それでも「お外に出たい!」としっぽをブンブンさせるのがわんちゃんというもの(勝手な偏見ですけどね)。そんな犬たちといっしょに楽しく歩くため、ぜひともドッグ用歩行補助ハーネスを付けてあげましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました