オリンピックの正式種目”近代五種”とは? 歴史からルール、さらにオリンピックの日程まで紹介

日本では馴染みのない”近代5種”をわかりやすく解説 五輪のスケジュールも紹介

 オリンピックの正式種目『近代五種』とは『以下の5つの競技を全て行い、最後のランニングで1番速くフィニッシュする選手を競う競技』です。

・フェンシング
・水泳
・馬術
・射撃
・ランニング

 これらの競技を2日間にわたって行われます。さらに、最後の射撃とランニングはコンバインド(複合)競技となり、射撃とランニングを交互に繰り返し最終的な順位を決定します。

 それぞれの選手の得意種目があり、順番が激しく入れ替わるためプレイヤー、観戦者ともにハラハラする戦いが繰り広げられるのが特徴です。今回は『キング・オブ・スポーツ』とも称される近代五種についてわかりやすく解説していきたいと思います。

公益社団法人日本近代五種協会
 公式サイトは こちら

近代五種の歴史

 日本ではあまり馴染みのない競技ですが、オリンピックにおいては1912年の第5回競技ストックホルム・オリンピック』において種目として採用されている、100年以上の歴史をもつスポーツです。

 近代五種は、オリンピックの生みの親でもある『ピエール・ド・クーベルタン』氏によって考案されました。紀元前から続けられていたとする古代五種『レスリング・円盤投げ・やり投げ・走り幅跳び・短距離走』になぞらえる形で競技化を提案しました。

 日本においては1960年の17回大会ローマオリンピック』より毎回出場を果たしているようですね。

近代五種のルール

 国際大会などでは団体戦が行われるようですが、現在のオリンピックにおいては男女ともに個人戦のみとなります。

 全体ルールとして、冒頭で挙げた5競技のうち『フェンシング水泳馬術』の成績に応じたポイントを獲得し、最後の『レーザーラン』のスタート順番を決めます。

 レーザーランにおいて一番早くゴール地点に到達した選手が優勝となりメダルを獲得します。ですので、いかに前半の3種目で高得点を叩き出すかが鍵となるでしょう。各種目のルールについてより詳しい解説をしていきます。

フェンシング(ランキングラウンド)

 相手の全身に対して『突き』による攻撃のみが有効な『エペ』のルールで行われます。1分間1本勝負で総当り戦を行い、得点方式は以下の通りです。

・勝率70%250点 を基準とする
1勝 = 6点 プラス 1敗 = 6点 マイナス

 参加者数により勝敗によるポイント増減は変化します。フェンシングは複数のルールがありますが、より『実践的』な意識からどこを攻撃しても有効なエペが採用されているようです。

フェンシング(ボーナスラウンド)

 上記『ランキングラウンド』の下位選手が、より上位の選手と対戦する『勝ち抜き戦』が行われます。同じく『エペ』のルールで、30秒間1本勝負です。得点方式は以下の通りです。

1勝ごとに 1点 獲得

 最下位であってもこのラウンドで全勝すれば凄まじい得点が狙えるという、体力の問題がつきまとうものの、下位選手にとって有利なルールではありますね。ここで獲得したポイントと合わせて、全体的なフェンシングの獲得ポイントとなります。

 このラウンドは水泳の後に行われるなど『ランキングラウンド』と時間をおいて行われるようです。

水泳

 水泳は『200メートル自由形』で競技が行われます。得点方式は以下のルールに従います。

・2分30秒を 250点 とし、基準値とする
1秒につき 2点 が増減される

 つまり2分40秒なら『230点』。2分20秒なら『270点』になりますね。ちなみに近代五種におけるオリンピックレコードは『1分55秒60』。水泳の世界記録が『1分42秒00』です。さすがに専門家にタイムは敵いませんが、それでも凄まじい記録を打ち立てていますね。

馬術

 貸し与えられた馬を操り、制限時間内に競技場に設置された障害物を飛び越えていく競技です。競技直前に馬が抽選されるため、馬に対する幅広い知識と乗りこなすスキル、信頼関係を結び障害に立ち向かう精神力が求められる競技と言えるでしょう。

 12の障害15の飛越、障害は高さ120センチにも及びます。得点方式は以下の通りです。

300点 満点からの減点方式
・障害を避ける止まる行為は 10点 減点
・障害物(バーなど)の落下7点 減点

 この競技の鍵となるのはもちろん『馬との絆』でしょう。初対面の馬と心を通わせ障害物を乗り越えていく様は、見る人に大きな感動を与えてくれます。ポイントとしても10ポイントの減点はイタいので、プレイヤーの精神力が試されると言えるでしょう。

レーザー・ラン

 『800メートル走 射撃5回』を4ループ行う競技です。これまでの種目で得たポイントを『1点1秒』に換算し、高ポイントを獲得した選手からスタートします。

 この競技で最後の800メートルを走りきった選手が優勝となりメダルを獲得します。途中に射撃場があり、制限時間『50秒』以内に、10メートル離れた約6センチメートルの的5回命中させる必要があります。

 計3200メートルのランニングをインターバルしつつ、静止し集中しなければならない射撃を強いられるなどなかなかにハードな競技ですね。この競技中大逆転劇が行われることもあり、プレイヤーとしても観客としても非常に熱が上がる場面となります。

近代五種の東京オリンピックスケジュール

 東京オリンピックにおける近代五種は8月5日から開催されておりますが、上記の通り非常に濃い内容のため2日間にわたって行われています。メダルが決定する『レーザーラン』は女子が『6日19時30分』。男子が『7日19時30分』を予定していました。

 以前は複数の日程でスケジュールが組まれていたのですが、視聴者の要望に答える形で『1日』で行われるよう調整され、その結果非常に過酷な競技として難易度が跳ね上がることになった歴史があります。2009年の『北京オリンピック』以降は、さらなる時間短縮のためランニングと射撃がひとつにまとめられたコンバインド競技『レーザーラン』として争われることになりました。

キング・オブ・スポーツ

 近代五種は『キング・オブ・スポーツ』とも称される非常に幅広い能力を試される競技です。もし興味がある方は近代五種の公式サイトや動画などをご覧になってはいかがでしょうか?

YouTubeチャンネル、公益社団法人日本近代五種協会:投稿動画より

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