YouTubeチャンネル、WBSC:投稿動画より
必要なのは”テニスボール”だけ ベースボール5のルールや魅力
アナタは『ベースボール5』というスポーツをご存知ですか?
日本では『野球』や『ソフトボール』がとても人気ですね。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が発表する世界ランキングでは、野球は男女共に1位、ソフトボールも男女共に2位と、まさに野球・ソフトボール大国の名をほしいままにしています。
しかし、これらのスポーツ競技は世界的にはメジャーではありません。ボールを投げてバットで打つスポーツは『クリケット』が最も人気で、欧州圏やアフリカでは野球自体があまり知られていません。専用競技場や道具購入の必要経費などの問題があり、世界的に広まるには壁が高いのです。
そういった状況を打開しようと、WBSCでは『野球・ソフトボールを普及するためのスポーツ』としてベースボール5を開発、野球が盛んでない地域に普及させる活動をしています。リエントリーやダブルベース制が採用されるなど野球とソフトボールのいいとこ取りなベースボール5。いったいどのようなスポーツなのでしょうか?
必要なのは”ボール”だけ だれでも手軽に楽しめる”野球”の魅力
YouTubeちゃんねる、Olympics:投稿動画より
ベースボール5のメリットは以下の通りです。
・専用の競技場が必要ない
・だれでもカンタンに楽しめる
・どこでもプレイでき、ルールに柔軟性がある
・野球、ソフトボールの技術が活かせる
・必要なのはボールだけ
特に練習が必要なスキルがないため、老若男女人を選ばない楽しさが魅力的ですね。
元はキューバの首都『ハバナ』の子どもたちが開発した遊び(クワトロ・エスキーナス)で、野球をするだけの経済力がない子どもの代替野球として親しまれていました。それが『都市部でもできるスポーツ』として改良され、現在では世界各地で大会が行われるまでに成長しています。
国際大会も行われ、2020年には世界大会も予定されていました。新型コロナウイルス感染症により開催が延期され続けていますが、新鋭スポーツとして今後も成長していくことは確実でしょう。2026年に開催される『ダカール:ユースオリンピック』ではベースボール5が正式競技として追加されており、世界中で広まりを見せています。
野球・ソフトボールの普及に留まらない魅力
ベースボール5は、野球が広まっていない地域に『それほどスペースを必要とせず、手軽に楽しむことで“野球“を普及していこう』という目的で開発されました。このような経緯がありますが、ベースボール5自体が非常におもしろいので、わたしは野球の亜種というよりベースボール5そのものとしての魅力を感じています。
日本でも順調に普及活動が行われており、『ベースボール5 JAPAN』公式サイト内では2022年8月にマレーシアのクアラルンプールで行われる『第1回WBSC-ASIA Baseball5 アジアカップ』の代表選考会が開催されていました。
すでに選考会は終了しており、日本代表として選出された『5 STARs』がアジアカップ準優勝という偉大な結果を残しました! これで2022年11月7~13日に行われる『第1回WBSC-ASIA Baseball5 ワールドカップ』への出場資格を得ました。
ワールドカップの舞台はメキシコの都市メキシコシティのエル・ゾカロ。詳しい情報は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のサイトにて確認可能で、さらにライブ配信なども用意されています。興味ある方はぜひ御覧ください。日本代表の活躍に期待ですね!
全日本野球協会(BFJ) 及び 日本ソフトボール協会(JSA)
ベースボール5 JAPAN、公式サイトは こちら
デジタルチャレンジについては こちら
ベースボール5、公式サイトは こちら
世界野球・ソフトボール連盟(WBSC)
baseball5ワールドカップ公式サイトは こちら
ベースボール5全体の最新情報は こちら
ベースボール5 の基本ルール
YouTubeちゃんねる、Baseball5 JAPAN:投稿動画より
ベースボール5は以下のようなフィールドでプレイします。野球やソフトボールよりコンパクトになり、都市部などでやりやすいスポーツになりました。黄色い『※』印がバッターボックスになります。バッターが直接手に持ったボールを打つのでピッチャーはいません。

野球はフィートで計算するため、ホーム-マウンド間が『18.44m』など中途半端な数字が目立ちますが、ベースボール5はメートル法で設計されているので見やすい印象がありますね。フィールドを囲うフェンスは『100cm』が理想とされていますが、既存の壁などを利用しても良いなど汎用性があるようです。
ベースボール5のルールに関して、主な特長は以下の通りです。
試合ルール
・1チーム8名まで登録可能
出場選手は5名
・男女混合可能
必ず『男・女共に最低2名』登録する
・1試合5イニング
・延長戦は、ランナーをつけるタイブレーク形式
回を重ねるほどランナーが増える
・本審1名、フィールド審判2名
・バットやグローブを使わない
バッティングは素手で叩く(拳で打つことも可能)
進行ルール
・3アウト制
・ダブルベース制
・先発出場者は、交代後再度出場できるリエントリー制
・スライディング禁止
・駆け抜け禁止
※セーフエリア(上画像、1塁ベースの先)がある
やわらかいボールで行う競技のため、ベースボール5ではバットやグローブを使用しません。これがベースボール5を手軽にプレイしやすくさせています。野球やソフトボールと違い駆け抜けやスライディングができないため、スピードの切り替えが重要になります。
駆け抜けができないかわりに、ベースボール5ではセーフゾーンが設けられています。セーフゾーンに触れていれば、守備側から触球されてもアウトにはなりません。
ちなみに、野球における駆け抜けはどう駆け抜けても問題ありません。詳しくは下記リンクで解説しています。
内部リンク
駆け抜けのルールに関しては こちら
バッターに関する”厳格”なルール
ベースボール5にはピッチャーが存在せず、バッターがバッターボックス内で自ら手打ちする必要があります。また、ユースチームは規則が緩和されていますが、バッターは以下の行為をした場合、問答無用でアウトが宣告されるので注意が必要です。
・打ち損じ
・バッターボックスから少しでも出る
片足でも出てはいけない
・ファールを打つ
・最初のバウンドがノーヒットゾーンだった
必ず上画像の茶色いフィールド内でワンバウンドさせる
本塁から3m以内(上画像の『△ゾーン』)でのバウンドもアウト
・ホームランを打つ
上記ルールに違反するため
ポジション

出場選手のポジションは以下の通りです。フェアゾーンならどこを守備しても良いので、場合によってはバッターの直前まで迫る場合もあります。すぐボールをキャッチできる反面、バッターから強烈な打球をもらう確率が上がるので注意が必要です。
① ファースト
② セカンド
③ ミッドフィルダー
ミッドフィルダーは『中間野手』と呼ばれます。
④ ショート
⑤ サード
ボールの規定
ベースボール5はバットやグローブを用いない競技なのでボール1つあればどこでもプレイ可能です。公式で設けられた『ボール』は以下の通りですが、レクリエーションとして楽しむなら『硬式テニスボール』が最適でしょう。
上記フィールドの広さを考えると、体育館で行うには最適のスポーツですね。
・重量
84.80g
・サイズ
直径: 66.4mm
円周:208.4mm
・バウンド高さ
76cm
・反発力
7.99kgf
・素材:天然ゴム100%(リサイクル素材可)
バウンドの高さは『150cmの高さから大理石の床に落下』でテスト。反発力は『ボールの中心に向かって30パーセントの圧力をかけた場合』でテストを行います。上から思い切り叩いても高くバウンドせず、軟式野球でよくあった高くバウンドさせ内野安打を狙うなどの戦術は使いにくくなっています。
その他のルール
YouTubeチャンネル、たけちゃんねる:投稿動画より
これらの基本ルールのほか、わたしが野球経験者として「おもしろい!」と感じたベースボール5ならではのルールをまとめてみました。
① 打者が長打を放った場合、守備エラーとして『E』を記入
② スピーディに試合が運ばれるため、本塁審判は各プレーが終わったら「タイム」とコールし
守備チームが本塁審判にボールをトスする
③ 選手交代は審判補佐がアナウンスし、攻守交代のタイミングでのみ交代が行われる
『①』に関して、ベースボール5は狭いフィールド内で行われます。なので、長打があった場合、必ずディフェンス側に不備があったという解釈なのでしょう。実際に行われる試合では、強い打球を場外へ弾いてしまう場面が目立つように感じました。
タイムはかかりませんが、『②』の要素は野球でも似たような“間“がありますね。ベースボール5はルール的に盗塁が無いので、実質バッターが打球を放ってからがプレイと言えるでしょう。
『③』はとくに驚いたルールですね。このルールが存在することで、ベースボール5は早い試合展開の中、細かい交代ができないということになります。試合を率いる監督は選手交代のタイミングを考える必要がありますね。
ベースボール5は多くの可能性と魅力に溢れています。ゴムボールひとつあれば誰でもプレイでき、体育館などで手軽に楽しむことができます。以下に紹介する公式ルールを参考に、ぜひ友だちと遊んでみてください。
コメント