【入門用】薬が効く仕組み、薬剤の種類をわかりやすく解説

薬が作用するメカニズムは? 用法用量を守って正しく使いましょう

 薬が作用するためには、まず体内に吸収される必要があります。最もポピュラーなのは口から摂取する『内服薬』ですが、消化器官は強力な酸性であるため薬の性質が変化する可能性があります。

 また、薬が効果を発揮するために程よい時間をかけて吸収する必要があります。それらを考慮した結果、内服薬でも『カプセル』などの加工や『注射』で直接血管に注入したり、湿布や軟膏など『外用薬』として処方される場合もあります。

 今回はこれらの『』の種類や、どのように効果を発揮するのかなどをわかりやすく解説していきたいと思います。

薬とはなにか?

 本来必ずであるものや必ずであるものは存在しません。生き物の身体に何らかの作用を及ぼす物質を『生物活性物質』と呼ぶのですが、その時都合よく働いてくれる物質が薬と言い換えても良いでしょう。つまり、とは『人間にとって望ましい作用をする物質』と言い換えることができますね。

 逆に言えば『都合の悪い働きをする物質』は全てと言えます。

 また、ある量まではとして作用しても、一定量を超えるどの物質もたちまち『中毒量』となり、さらに摂取し続けると『致死量』にまで到達します。すべての生物にとって必須である『』でさえ、短時間に大量に摂取すれば『水中毒』となり、最悪の場合死に至ることもあります。

内部リンク
 致死量と最強の有毒生物に関しては こちら

薬の歴史

 病気やケガの苦しみをやわらげ身体の調子を整えてくれる薬ですが、それらは医者によって計算され処方されます。人類は歴史上、植物や動物、鉱物などから経験や口伝によって効果のある物質を探し出し、それを薬として用いてきました。

 塩やコショウなどは、古くからとして捉えられてきており高値で取引されていたほどです。複数の植物や動物、鉱物から得た材料を調合する『漢方薬』などはわかりやすい例ですね。

 現在は科学技術の進歩により、ある物質から有効成分だけを抽出したり、化学的な合成によって薬を開発することも可能になっています。

薬の役割

 薬を利用する上で勘違いしてはいけないのは『薬は病気やケガを治す手助けをしているだけ』ということ。風邪薬(総合感冒薬)は喉の痛みや発熱などをやわらげ体力を温存させることが目的ですし、抗生物質などは菌やウイルスの防護壁を脆くしたり免疫を助けたりするだけで、それらを撃退するのは白血球を始めとした『身体の免疫機能』によるものです。

 たとえば『下痢』などは、腸の粘膜がそこに『危険な異物』があると察知して内容物もろとも排出しようとする試みですが、それが続くと脱水症状などが表れ激しく体力を奪われます。悪いヤツをやっつけようとする働きと、身体の健康状態を総合的に判断して、お医者さんは薬を処方してくれるのですね。

薬の分類と効果

 日本における薬は法律によって『医薬品』と定められたものを指します。以下サイトの『一章、第二条』に記されています。

デジタル庁、e-Gov法令検索
 医薬品、医療機器等に関する法律は こちら

 処方箋を必要とする薬や薬局で購入可能な薬があります。薬局で購入できる薬は『要指導医薬品』や『第○類医薬品』といったカテゴリに分かれていますね。市販薬でも、店舗に薬剤師が不在の場合購入できないものもあるので、必ず薬剤師さんが在住しているか確認しましょう。

薬の形態

 薬の形状のことを剤型と呼びます。冒頭で紹介した薬に期待する効き方をコントロールするため、それぞれふさわしい形が用意されているわけですね。

 『内服薬』は消化器官から血液中に送られ、体内へ吸収されます。さらに内服薬と『注射剤』に分けられます。

 胃液の問題や内服薬に適さない薬剤などは『外用薬』として利用されます。外用薬は投与する部位に直接作用させる『局所用』と、血液によって全身へと作用させる『全身用』があります。

内服薬
 ・錠剤
   有効成分は少量のため、飲みやすいよう添加物で大きくしてある
 ・カプセル剤
   胃液による分解から薬を守り、腸まで届ける
 ・散財(粉末・顆粒)
   分量を細かく加減しやすい反面、むせる可能性がある
 ・液剤
   飲みやすく、子どもや高齢者に処方されることが多い
 ・注射剤
   作用が速く、また胃液に弱い薬物の投与に適する

外用薬
 ・貼付剤
   皮膚から吸収でき、皮膚から有効成分を供給できる
 ・軟膏
   同じく皮膚から吸収でき、体温で溶け柔らかくなる
 ・点眼薬
   眼球に直接投与する薬。液状のものが多い
 ・点鼻薬・点耳薬
   鼻腔や耳の中に直接使用できる薬

 ・座薬
   肛門や膣に挿入し、粘膜から直接吸収されるため作用が早い

薬が効くしくみ

 一部の外用薬は患部に直接作用するタイプですが、多くは粘膜を通して体内に侵入し、血液循環に乗り全身を旅します。とくに内服薬は腸で吸収され全身に行き渡りますね。順を追って解説しましょう。

吸収

 体内に入った薬は、胃腸の門脈という血管に入り、いちど肝臓を経てから全身をめぐる血流に乗ります。

心臓より各作用部位へ

 消化器官からの栄養は、血管に吸収された後肝臓から心臓へ渡ります。最短、1周わずか2 ~ 30秒で周回させる心臓のポンプによって全身へと運搬され、薬が作用する部位へと届けられます。

 近年の薬は、患部により効率的に届けてくれるよう有効成分にコーティングを施したり、狙い撃ちするための部品を付与する場合もあります。

肝臓による分解

 血流に乗って肝臓にさしかかると、体内の代謝酵素により分解、解毒を受けます。薬は身体にとっては『異物』なのです。

 肝臓は異物を水に溶けやすい物質に変換させ排出させます。役目を終えた薬はここで代謝され、次第に分解されていきます。処方される薬は用法用量などを守れば計算通りに効いてくれるので、ぜひとも用法用量を守って使いましょう

腎臓から体外へ排出

 水溶性を増した物質は、腎臓を経て体外に排出されます。腎臓では『糸球体』というろ過装置によって尿の素がつくられます。

 水分と栄養の一部は再吸収されますが、残りは輪尿管という通路を通り膀胱へ送られ、最終的に尿として排出されます。

 薬を飲むと尿の色が変わるのは、尿に薬の成分や代謝物が溶け込むためです。

用法用量を守って薬を使用しましょう

 薬はお医者さんが綿密な計算を行った上で処方されています。副作用の可能性を少なくするためにも、必ず用法用量を守って正しく使いましょう。胃腸に食べ物があるかどうかで消化のペースも変化していきます。食前食後など、薬を服用するタイミングもしっかり守るようにしてください。

 これらの事柄は『鈴木勉』氏監修『大人のための図鑑 毒と薬』にて広く取り扱われています。薬がどのようにして効力を発揮するのか、植物や動物はどのような毒をもっているか、はたまた暗殺やテロ、各種事件など人類がいかにして毒を利用してきたかという記録まで記載されており、まさに毒と薬を知るためのバイブルにもなります。薬学博士である氏の知識がふんだんに盛り込まれた1冊ですね。

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“ToDo”チャレンジ

①薬の用法用量をしっかり守ろう
  食事のタイミングなども重要なのです
②薬局などで、薬剤師さんにイロイロ訪ねてみよう
  専門家が薬について親切丁寧に教えてくれます
健康的な生活を心がけよう
  薬を飲む必要がない生活こそが理想ですよね

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