YouTubeチャンネル、アジアリーグアイスホッケー JAPAN 公式：投稿動画より

“弱小 & 経営難”はもはや過去の話 強豪アイスバックスの熱戦を体験してきました

　アイスホッケーを知っていますか？

　H.C.栃木日光アイスバックスを知っていますか？

　日本のプロアイスホッケー史は1966年にまで遡ります。ウィンタースポーツの本場北海道、日本人口が集中する東京都に加え、日本アイスホッケーリーグに所属する5チームの中に栃木県日光市の企業チームが参戦していました。

　古河電工アイスホッケー部。アイスバックスの元となったチームです。日光市にある日光精銅所の部活動から歴史がはじまり、1999年に廃部の危機に追い詰められながらも長い時を経て形成された地元住民との絆で、史上初のプロアイスホッケークラブチームとして現在まで存続しています。そんな愛されたチームも企業に頼らないクラブチームということで長い間資金難や経営側の問題に悩まされ続けてきました。その結果、2003年に始まった『アジアリーグアイスホッケー』では毎年のように下位争いを続け、業界では弱小・万年資金難のチームとしてとても知られていました。

　それでも選手自らが営業に趣き、根強い地元ファンと協力し着実に力をつけ、2011 ~ 2012年シーズンには準優勝。今年開催中の2022 ~ 2023年シーズンでも現在2位と、弱小の面影をまったく感じさせないほどに成長しています。

　今回はそんな強豪チーム『H.C.栃木日光アイスバックス』の試合を観戦してきたのでブログでシェアしていきたいと思います。

アイスタイム 鈴木貴人と日光アイスバックスの1500日

2009年、長野五輪以降のアイスホッケー界を一人で支えてきた男が、日光にある弱小、経営難の「アイスバックス」に移籍してきた。親友である監督・村井忠寛から請われたからだった。やがて、フロントにスポーツビジネスに明るい日置貴之がやってきて改革に...

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アイスバックス試合観戦！ 紅葉時期を避け極寒の日光市へ

　昨年『プラオレ! 〜PRIDE OF ORANGE〜』によるアイスホッケー熱が燃え上がり、今年もぜひ試合観戦をしようと思っていました。じゃあいつ見に行くか？　って話ですよね。

　――なんてことを考えていたので、自身の都合を合わせて最終的にチョイスしたのは『12月3日(土)』に行われた試合です。相手は2019年結成の『横浜GRITS』。神奈川県横浜市を拠点とするフレッシュなチームです。

　試合はいつも通り午後2時開始。当日チケットは昼から販売ということで、午前中は愛犬といっしょに歩いたり、読書したりと有意義な時間を過ごしその瞬間を待ちました。

　“プラオレ！” は、過去日光市ふるさと納税の返礼品にもなった実績があります

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試合会場はすでに多くのファンが

　試合会場はバックスのホーム『栃木県立日光霧降アイスアリーナ』です。日光市はウィンタースポーツも盛んで、霧降アイスアリーナではアイスホッケー、フィギアスケート競技ができる屋内リンクのほか、スピードスケート競技可能な屋外スピードリンクも用意されています。

　まだお昼だと思ったら駐車場にはたくさんの車が。昨年アニメ化されたプラオレ効果がまだ続いているのかとハラハラし「もしかして当日券売り切れなのでは？」という予感が胸をよぎりましたが、この日は各ランク席もそこそこ空いていたので、わたしはここぞとばかりに最高級『S指定席』をゲッチュ。特等席で試合をガン見してやるぜと意気込んでおりました。一番安い立ち見席もゴールの瞬間が間近で見られるので悪くない選択なのですが、S指定席はリンクや選手たちと言葉を交わせるほどの距離なのでめちゃくちゃ臨場感がありましたね！

試合前のドキドキ感は異常

　試合開始前、選手たちの公式練習やオープニングセレモニーがあります。アイスバックスオフィシャルサポーターの『アイスガールズ』たちが寒いなか生足披露という攻めたスタイルで宣伝活動。プロ根性に脱帽です。

　公式練習をじっくり見られる。実際に試合会場へ足を運んだからこそ堪能できる景色ですね。基本的にどちらのチームもこんな感じの内容でした。

　どちらのチームもゴールの隅に決める絶妙なコントロール、これだからこそプロの練習風景は興奮するんですよ！　まさに『プロ』っていうね。3人1組になってやっていたのはお手玉的な練習でした。スティックを操ってパックをリフティング。相手にパスしてそれを繋いでいって――これ、プロ選手でも難易度が高いようで、数回で落としてしまい笑い合うなどほがらかなシーンが目立っていましたね。ちなみに最も注目を惹いたのはアイスバックスで背番号『4』をもつ『坂田 駿(さかた しゅん)』選手。なにがスゴいってあの“髭”ですよヒゲ。

S席ならではの景色 裏方の努力が垣間見えた

　ふとベンチ裏に目を向けてみると、なにやらスタッフの方が選手の予備スティックを点検している風景がありました。バックヤードにはそのほかにもスケート靴をメンテナンスする機械があり、試合中火を吹き出して刃に当てているシーンが見られました。形を整えているのでしょうか？　――ちなみに、スタッフさん(公式Twitterから察するに、おそらく『作新大学』の観戦者調査だと思います)からアンケートをお願いされ大切なことを記入しました。

　アジアリーグと銘打った戦いですが、現在参加している国は日本(5チーム)と韓国(1チーム)のみ。中国は2017年シーズン以降撤退し、ロシアは『PSKサハリン』を抱えるものの、今年はロシア-ウクライナ問題の影響により参戦できない状態でいます。わたしは政治とスポーツは別モノだと信じたいのですが……PSKサハリンは今後、アジアリーグに復帰できるのでしょうか？

いざ横浜GRITS戦試合開始！ 勝敗の行方は？

　新規参入チームといえど油断は禁物です。そんな中、試合開始早々ゴーリーの『福藤 豊(ふくふじ ゆたか)』選手が負傷退場。後日福藤選手のTwitterをチェックすると病院で検査を受けているものの本人は元気なようすでした。シーズン後半戦に向けてゆっくり回復してほしいですね。

　波乱がありましたが、試合序盤は両者拮抗した激しい攻防が繰り広げられました。動揺が大きかったのか、アイスバックスの動きが乱れがちで試合を支配される展開が続きます。そんなイヤな雰囲気をぶち破るかのように『鈴木 健斗(すずき けんと)』選手がゴール！　ゴールの裏を回り込み、相手守護神の体制を整える時間を与えず素早いシュート。まさに芸術のようなゴールでした。ちなみにその瞬間のわたしは――

　アイスホッケーはほんの数秒で激しく攻防が入れ替わるスポーツです。たとえ落としたボールペンを拾うだけの時間でも、あっという間に相手からパックを奪いゴールするなんて芸当ができちゃうんですね。

　くそぅ(悔し涙

　その後、相手選手の度重なる反則で『5対3』という絶好のシチュエーションに。当然ながらバックスはこのチャンスをゲットしてさらに1点を追加。決めたのは『鈴木 雄大(すずき ゆうた)』選手。弟の健斗選手がアシストして兄弟アベックゴールを決めます。第1ピリオドはこのまま点差変わらず終了しました。

バックスの猛攻！

　第2ピリオドは終始アイスバックスが猛攻でペースを握る内容。まず開始2分で『鈴木雄大』選手が今試合2点目。続けて7分で『寺尾勇利(てらお ゆうり)』選手が、さらに10分で『大椋 舞人(おおむく まいと)』選手が立て続けにゴールを決めます。グリッツはたまらずゴーリーを変えたりタイムアウトを使うなど立て直しを図りましたが、バックスの勢いが止まらずさらに6点目も追加します。

　とても印象に残ったのはその6点目、寺尾 勇利選手が決めたゴールです。選手が入り乱れ、空中に浮いたパックを叩いてのゴールはアイスホッケーとは別の競技を思い出しました。

　その後『5対3』のキルプレーから1点を返されたもののバックスの流れであることは変わらず、終始バックスがリンクを支配する雰囲気のままでした。とくに戦力差があるわけじゃなさそうなんですがポジショニングが良いのですかねぇ……試合を観てると、グリッツの選手にパックが渡るとすぐバックスの選手が猛チャージしてるような印象がありました。グリッツの選手らは対応に追われ中途半端なパスやお手玉をしてしまい、バックスはそのスキを見逃さず奪い攻めに転じると――守備から攻撃のリズムを作っていくのですね。

5点差を守りきれ！

　第3セットのバックスはガッチガチの亀戦法でしたね。まあ5点差もありますし最後の20分間は守備に徹すればいいですよという態度。気が抜けたかはじめの1分で失点したもののそれ以降は亀の姿勢を崩さず、味方同士でロングパスの応酬や素早いチェック行為、攻め入られたらシュートコースを塞ぐなどもう徹底した防御姿勢は金城鉄壁もいいところでしたね。GRITSの監督も攻めきれないイライラか「プレス！　プレス！」と何度も叫んでチームを鼓舞していましたがそれ以上の得点をあげられず、結局そのまま時間が流れていき最終スコア『6対2』でアイスバックスが勝利しました。

今日のヒーロー

　その試合でいちばん輝いた選手『MAN OF THE ATCH』に選ばれたのは2ゴールを決めた鈴木雄大選手です。ヒーローインタビューはリンク中央で行われるのですが、その際他の選手たちはベンチで談笑したり、鈴木選手に笑顔を向けたりしていました。チームの絆を感じられる光景ですね。

　退場していく選手たちを頭上から見送り、客足が少なくなったタイミングで開場を後にします。H.C.栃木日光アイスバックスのみなさん、この日は熱い戦いをありがとうございました！

試合以外でも楽しみがたくさん！

　試合中、横浜GRITSの『TIM SHOUP(ティム・シュープ)』選手がファンに向けてパックをポーン！　――わたしの隣の方がキャッチしてました。もっと強欲に手を伸ばせば良かったと軽く後悔してます。あとハーフタイム中はアイスガールズのみなさんがファンに向けてボールをプレゼントするイベントがあります。ゲットした方には特典がもらえるらしいのですが――それをわたしの後ろの方がキャッチしていました。

　いやまあ冗談ですけどね。

乱闘もアイスホッケーの醍醐味？

YouTubeチャンネル、Sports Fanatic：投稿動画より クロスチェッキングについて

　第3ピリオド、開始2分の出来事です。横浜GRITSベンチ手前で突如選手同士の殴り合いが発生、現場は大混乱になりました。ほぼ目の前で乱闘が繰り広げられたのですがキッカケが何なのかまったくわからず、取っ組み合いになる両選手を審判やチームメイトが止めつつ、なんとか引き剥がすことに成功します。

　両者退場にはならなかったようですが、アイスバックスは『渡邉 亮秀(わたなべ あきひで)』選手にダブルマイナーペナルティ、グリッツは『矢野 倫太郎(やの りんたろう)』選手にマイナーペナルティが課せられました。

　バックスはペナルティ代行として『福田 充男(ふくだ みつお)』選手がボックスに入りました。該当ペナルティは以下の通りです。

　アイスホッケーは『氷上の格闘技』と呼ばれるほど激しい衝突が頻発します。場合によっては選手らを鼓舞するためあえて乱闘行為をするなどの伝統もあるらしく、分厚い防具をしているからこそあのような激しさが実現できるのですね。まあ、以前はヘルメット無しでやってたから歯が無い人ばかりだったらしいですが……おー怖ッ。

すがすがしい歓喜と寒気

　本日の試合、中盤こそ圧倒的バックスペースでしたが、なにか知らぬうちに点数を重ねてた、というような印象でした。とくに1ピリオド開始数分と3ピリオド目は大量失点しそうな雰囲気があっただけにこの結果はホッとひと息。さらに次の日行われた今年最終試合も『5対1』で勝利し、2022年シーズン戦終了時、アイスバックスはリーグ2位と好位置につけています。このまま巻き返してリーグ1位でフィニッシュしてほしいですね！

　上記で紹介した『プラオレ！』のコラボ企画は現在日光市で広く行われています。主人公『水沢愛佳・彩佳』姉妹の実家のモデルにもなった『きぬの宿 志季大瀞』ではコラボ宿泊限定プランが用意されていますし、日光市にある『道の駅日光 日光街道ニコニコ本陣』でも関連商品が並んでいます。

　アイスホッケーが大好きな方、ぜひ日光市に起こしください。紅葉過ぎの日光は観光客の姿が少なくなり美しい景色を独り占めできますよ！

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