【入門用】パラリンピックの出場者はどんな人? パラリンピック競技種目”陸上競技”についてもわかりやすく解説

パラリンピック陸上競技数は167種!? 障害者もパラリンピックに出場できるとは限らない

 東京パラリンピックは『2021年8月24日()』に開幕を迎えました。賛否両論ある中での開催となりましたが、障害を抱える選手たちが己の力を出し切る姿は今後多くのテレビで放送され多くの人の感動を生み出したのもまた事実です。

 そこで、今回はいくつかの著書、Webサイトを参考にパラリンピックにおける出場資格を審査する『クラス分け』。そしてパラリンピックの中でも最多の種目数を誇る『陸上競技』についてわかりやすく解説していこうと思います。

 以下、主な参考サイト

・公益財団法人:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
 https://olympics.com/tokyo-2020/ja/paralympics/
・一般社団法人:日本パラ陸上競技連盟
 https://jaafd.org/
・公益財団法人:日本障害者スポーツ協会
 https://www.jsad.or.jp/
・日本財団:日本パラリンピックサポートセンター
 https://www.parasapo.tokyo/

世界最高峰の障害者スポーツ大会”パラリンピック” 最多の競技種目をもつ”陸上競技”

 パラリンピックは身体障害者肢体不自由脳性麻痺視覚障害知的障害等を対象とした総合競技大会です。オリンピックと同じ年、同じ場所にて行われ、オリンピックと共同の開催組織委員会が運営することになります。

 ちなみに聴覚障害者が出場する『デフリンピック』や、知的障害者が出場する『スペシャルオリンピックス』という大会もあります。

出場者へのクラス分け

 身体障害者用に設けられた大会ですから、それぞれの障害レベルに合わせた競技を行わなければ公平性に欠けます。たとえば片足に義足を用いる選手と車椅子の選手では、普通に考えると義足選手のほうが有利に思えます。しかし、たとえば車椅子がジェットエンジンを積み込めるようなルールの場合は全く話が変わってきますね? もちろんジェットエンジン搭載の車椅子なんてわたしが知る限り存在しませんが、競技用の車椅子は専用にカスタマイズされ非常に素早い動きを可能としています。

 これら様々な問題を鑑みて、各競技種目には同一レベルの選手が競い合えるよう『クラス分け』によって選手が分けられています。なので、障害をもつから必ずパラリンピック参加資格があるとも限りません。選手が視覚障害Bクラスなのか身体障害LWクラスなのか、障害によっても『色盲全盲』などの度合いがあり、それらを参考にクラス分けされていきます。

 パラリンピックにおいては上記の障害の度合いを参考に、どの競技に出場するかさらにクラス分けされ、以下の要素を加味され選別する人『クラシファイヤー[Classifier]』による選別を受けます。

身体機能評価
  問診や筋力、関節可動域、バランスなどの調査
技術評価
  競技試技を行い選手のスキルを評価。適切なグループを割り当てる
競技観察
  クラス分けを実施した大会の1番最初の出場種目を観察
  上記で判断した参加クラスが適切かを確認

 上記の選別を受け、以下のようなクラスを与えられます。

・競技種類
  T[Track]:走行競技および跳躍競技
  F[Field]:投てき競技
・障害種類
  10~:視覚障害の立位(車椅子を必要としない選手のこと)
  20~:知的障害の立位
  30~:脳性麻痺(痙攣麻痺、筋硬直、協調運動障害など)の立位

      または車椅子投てき台を使用する選手
  40~:下肢に障害をもつ

      低身長脚長差切断(義足なし)、関節可動域制限筋力低下等の立位
  50~:下肢に障害をもつ

      脚長差切断関節可動域制限筋力低下等の選手で
      それらに加え車椅子や投てき台を使用する選手
  60~:義足を装着
・障害の程度
  0~9。小さいほど障害の程度は重くなる
・クラス、ステータス
  N[New]   :新規にクラス分けをする選手
  R[Review]  :クラス確定せず、再度クラス分けを受ける
  C[Confirmed]:クラスが確定した選手

 例として『F』のゼッケンを与えられた選手を考えてみましょう。まとめると以下のようになります。

・投てき競技(砲丸投げ、やり投げなど)に出場
軽度視覚障害をもつ立位競技選手
クラス分けが完了している

 それぞれさらに細かい制約などはありますが、詳しくは冒頭で紹介した各サイトにてお確かめください。

障害度合いにより使用する道具

 障害者は己のハンデを乗り越えるべく、様々な道具を利用して競技に挑んでいます。

 『義手』や『義足』は選手のバランス感覚を補助するのに役立っています。たとえば陸上競技時、義手をつけることでクラウチングスタートを容易にすることができますね。義手でなくても、なんらかの用具を活用することが認められていますので、つっかえ棒を用いクラウチングの姿勢をとる選手もいます。

 『義足』は主にカーボファイバー製で競技用に進化したものを利用します。みなさんもテレビかなにかで目にしたことがあるのではないでしょうか? なめらかな曲線を描き、地面をける際の反発力が強いため強い推進力を得ることができます。

 『車椅子』には、日常生活で利用するそれとは別の、競技用車椅子レーサーが用いられます。大きな車輪が斜めに装着され、前方にも小さな車輪がついているので言ってしまえば『三輪車』ですね。ちなみに42.195キロを走るフルマラソンですが、車椅子競技の場合その最高スピードは50キロにも達するので、当然ながら通常のマラソンよりも速く到着します(世界記録は1時間20分14秒!)。

 それを乗りこなく選手の『姿勢』にも注目しましょう。腹筋が機能せず自力で下半身を起こせない選手は、脚を前に突き出し重心を後方に下げたスタイルで走行しますが、腹筋のふんばりが効く選手は正座をし重心を前方に持っていくスタイルがほとんどです。

 競技によっては激しい衝突が想定されますので、たとえば『車椅子ラグビー』などでは攻撃用、防御用に特化した2種類の車椅子まで用意されています。車椅子とひと言でまとめられないバリエーションが存在するのですね。

 他にも投てきする際、脚やお尻が浮かばないよう固定する『投てき台』。聴覚に障害をもちピストルの音が聞こえない選手に用意された『シグナル』。視覚障害者のため並走したり声で指示を出す『ガイドランナーコーラー』など、まさに多種多様な工夫がなされているのです。

 パラリンピックをご覧になる際は、ぜひ選手がどのクラスに所属しているか、どのような道具を利用して競技に臨んでいるかなどを思い浮かべながら見てください!

パラリンピック最大競技数 陸上競技

 こういった様々な制約がある障害者競技ですが、だからこそパラリンピックでは、22競技に対しなんと539もの種目が用意されているのです。そのなかでも167種目と最多数を誇る『陸上競技』についてわかりやすく解説、さらにわたし(犬物語)が個人的に注目した競技も紹介していきます。

ちなみに、水泳も146種目とたいへん多いです

 パラリンピックで行われる競技は以下の通りです。

・100メートル走(男女)
・200メートル走(男女)
・400メートル走(男女)
・800メートル走(男女)
・1500メートル走(男女)
・5000メートル走(男女)
・マラソン(男女)
・走り幅跳び(男女)
・こん棒投(男女)
・円盤投げ(男女)
・やり投げ(男女)
・砲丸投げ(男女)
・4×100メートルユニバーサルリレー

 これらに加え、障害の度合いによるクラス分けにより総合『167種目』が用意されており、100メートル走だけで29人の金メダリストが誕生します。

 基本的に、オリンピックの陸上競技と同じルールが適用されますが、障害の度合いにより一部のルールが変更される場合もあります。例えば投てき競技は通常であれば1人ずつ順番に投てきを行いますが、パラリンピックでは『投てき台』の装着の関係もあり、1人の選手が1度に6回投てきするようなルールになっています。

 視覚障害者に対して、全盲など重度の障害をもつ選手には『』の代わりとなる『ガイドランナー』と並走することが認められています。ガイドランナーは選手に対し肘をつかむロープで繋がり競技を行います。さらに5000メートル走以上のレースでは2人まで認められ、レース中1回だけ交代できます。口頭でも指示を与えられますが、ガイドが選手より先行するとルール違反になってしまいます。

 走り幅跳びなどにおいても『コーラー』が声でジャンプのタイミングを指示したりなど、パラリンピックは人との絆も注目すべき点ですね。ほか、わたしが個人的に注目したい競技をピックアップしてみました。

パラリンピック独自の競技 こん棒投

 約40センチメートル重さ397グラムのこん棒を投げるという一風変わった競技、やり投げとほぼ同じルールの基で行われますが、ここでも投てき台などを駆使して選手が躍動します。

 この競技のおもしろいところは、片手で投げるのであれば投てき方法は自由というところ。なので、上から投げたり横から投げたり、はたまた背筋を利用して後ろ向きの状態から投てきするなど選手による違いが見られ、見ている側としてもなかなか楽しめると思います。

夢の共演 4×100メートルユニバーサルリレー

YouTubeチャンネル、TR MV:投稿動画より。

 各走順ごとに障害の異なる選手が担当し、男女混合で行われるリレーです。走順は以下の通りです。

・第1走者
  視覚障害
・第2走者
  切断機能障害
・第3走者
  脳性麻痺立位
・第4走者
  車椅子

 それぞれ男女2名ずつの選考となり、さらに各カテゴリーで最も障害の軽いクラスの選手は最大2名までしか出場できません。

 バトンは使用せず、次の走者には『手によるタッチ』でリレーします。ただし、30メートルのテイクオーバーゾーンがきちんと設けられ、車椅子走者へのバトンのみ40メートル以内でつなぐルールになっています。

 第1走者は弱視、色盲など全ての視覚障害者が担当できます。ガイドが並走し、バトンリレーもガイドの役目です。第3走者は車椅子を使わない障害度合いの軽いランナーが担当しますが、次の車椅子を使う第4走者へタッチするのは高低差もありなかなか難しいとされています。

 最後のトリを飾るのは車椅子ランナー。上半身で漕ぐとはいえ車輪走行ですから、スピーディーで迫力あるフィニッシュを見ることができます。障害の壁を超えて戦う姿に勇気づけられますね。もし障害者スポーツを観戦する機会があるのでしたら、ぜひそのあたりにも注目してみましょう!

高まる陸上競技のレベル

 パラリンピック競技のレベルは年々上昇していき、いくつかの競技ではもはやオリンピック選手と遜色ないパフォーマンスを発揮できる選手も多くなってきました。これは決して義足のバネが強力になったとかそういう話ではありません

 たしかに、車椅子などの用具も技術面で飛躍的に進化を遂げたことは事実です。しかし、それらの道具を使いこなすのは障害をもった方々で、いくら良い道具があるからと言ってそれらを使いこなせなければ意味がありません。義足も強靭なバネを持っているわけではありませんので、結局は使う人の技量に左右されます。

 2012年。パラリンピック陸上競技において、男子100メートル走では10秒46という記録が誕生しました。2009年の『ウサイン・ボルト』選手が叩き出した9秒58という記録にはまだまだ及びませんが、パラリンピック競技は毎回のように新記録が誕生するので、今後9秒台に到達することも充分に考えられます。

 またパラリンピックスポーツにはレクリエーションとしても楽しめる競技がたくさんあります。『ゴールボール』など身近でできそうなパラスポーツにチャレンジしてみましょう。今後の選手たちの活躍に期待ですね!

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