線状降水帯の原因は? 気象庁の取り組み 情報機関へのリンクも紹介
線状降水帯は『積乱雲が長い列を作り、局地的に激しい雨を長時間降らせる現象』です。同じ場所で次々と積乱雲が生み出され、それが長い列を作ることで発生する気象現象です。
線状降水帯は、災害発生の危険度を高める要因にもなるとして、気象庁では警戒レベル4相当以上となる『顕著な大雨に関する情報』を提供しています。2021年から多く話題に上がった線状降水帯、いったいどのような気象現象なのでしょうか?
気象庁
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線状降水帯 とは?
線状降水帯は『気象庁』によって定義化されており、以下のように記されています。正確さを喫すため気象庁に書かれた情報をそのまま引用しましょう。
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域。
気象庁:天気予報等で用いる用語 > 降水ページ内より引用
要約すると以下のようになります。
・積乱雲が同じ場所から次々と発生
・気流などの要因で、ほぼ同じ場所を通過、もしくは停滞する
・結果として長い期間、同じ場所に激しい雨をもたらす
線状降水帯は『顕著な大雨に関する情報』の一部として報道されます。激しい大雨に関する情報のなかで以下の条件を満たした時、はじめて線状降水帯という言葉が適用されるのです。
・解析雨量(5Kmメッシュ)において
前3時間積算降水量が”100mm“以上の分布域の面積が”500平方Km“以上
→ 局地的な降雨が続いている
・前3時間積算降水量最大値が”150mm“以上
→ ゲリラ豪雨のような激しい雨
・線状の形をしている(長袖・短袖比2.5以上)
・キキクル(大雨警報土砂災害の危険度分布)において、
土砂災害警報情報の基準を条件で超過する(下記リンク先参照)
これらに関する詳しい情報は、気象庁ホームページより見ることができます。
積乱雲が”同じ場所で生まれ続ける“ことで線状降水帯が生まれる
専門家の間で定義が異なる”顕著な大雨に関する情報”
天気予報での使用例として「〇〇地方では、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています」などという報道がされます。『線状降水帯』という言葉に関して、専門家の間でも様々な定義が挙げられており、上記の『顕著な大雨に関する情報』の範囲内で揺れ動いています。
線状降水帯は警戒レベル相当情報を補足する情報として扱われます。警戒レベル4相当以上の状況で発表されるので、線状降水帯はあくまでも『大雨を引き起こす気象現象の一種』です。大雨に対する危険信号のひとつとして『線状降水帯』の情報が提供されるとイメージしてください。
警戒されていく線状降水帯
YouTubeちゃんねる、gonbiski:投稿動画より
日本は海で囲まれる地形であり、積乱雲は海上にて発生しどんどん勢力を伸ばしていきます。結果として、日本は線状降水帯ができやすい国とも言えます。1990年代からすでに、線状降水帯の存在をしてくする専門家がいたほどです。
わたしは日光市に住んでいます。日光市では2015年、鬼怒川が決壊したニュースで有名な『平成27年9月 関東・東北豪雨』が発生しました。2つの台風が互いの空気をぶつけ合い、関東から東北にかけ縦に続く線状降水帯を生成。大きな被害を受けた鬼怒川が決壊し、いくつもの宿泊施設等が営業停止に追い込まれる事態に発展しました。
わたし自身の記憶にも強く焼き付いており、夜通し降りしきった雨により『国道121号線』が川のようになってしまったことを今でも覚えています。気象庁の情報によると、今市地域では期間降水量“647.5ミリ“を観測しました。
これらの状況を踏まえて、気象庁では令和3年度予算のなかに線状降水帯の予測精度向上のため、新たに『16億9700万円』の補正予算が組まれています。
これによると、洋上観測の強化、アメダスへの温度計導入、気象レーダーの更新強化などに予算がかけられているようです。
YouTubeチャンネル、Y H:投稿動画より
また、線状降水帯に関する情報をいかに伝えるか? という問題にも取り組んでいるようです。資料に記されている計画が順調に進めば、2020年度から、線状降水帯が発生する可能性がある地域には赤い円『○』でその地域が示されるようになるようです。今後の気象報道に注目したいですね。
さらに、気象庁では『降水ナウキャスト』というサービスも公開しています。これは『1時間先までの降水分布、雷の活動度、竜巻発生の確度の予報』を確認できるツールで、その他時系列ごとの降水量など、様々な情報を把握できる便利なサイトです。ぜひ活用してみてください。
気象庁
降水ナウキャストは こちら
ハザードマップ
『ハザードマップ』は、自然災害による被害の軽減、防災対策に利用する情報として、各地区ごとに『被災想定区域・避難場所・避難経路』などを提示するものです。
現在国の取り組みとして、各市町村においては『ハザードマップ』に関するページが作成されるようになりました。みなさんがお住いになっている各市町村のサイトにも存在するはずですので、ぜひチェックしてみてください。
国土交通省においても、災害の種類や地域を選ばず様々なハザードマップを確認できる『ハザードマップポータルサイト』が運営されています。
また、知識を蓄えておくといざ災害と直面した時役に立つはずです。非常時に備えるだけでなく、趣味・娯楽として知識を深める目的や学習課題としても気象・天気のしくみを理解することは大変役に立つと思います。上記のような役立つ情報源はたくさんありますので、ぜひみなさんでもイロイロと探してみてください。
本日の”ToDo”
①お住まいの地域のハザードマップを確認しよう
避難指示が出たら早めに行動しましょう
②携帯食料などを用意しておこう
自身のほか、他者の非常時にも役に立ちます
③気象情報に関する知識を深めよう
線状降水帯はどのように生まれるのでしょうか?
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