H.C.栃木日光アイスバックスは弱小? 一方会場は”プラオレ”効果で満員御礼!?
日本では『アジアリーグアイスホッケー』に5つの日本国籍チームが存在します。2022年度シーズン現在のリーグ加盟チームは海外を合わせて以下の7チームです。
所属日本チーム
・H.C.栃木日光アイスバックス
・ひがし北海道クレインズ
・レッドイーグルス北海道
・東北フリーブレイズ
・横浜GRITS
所属韓国チーム
・HLアニャンアイスホッケークラブ
所属ロシアチーム
・PSKサハリン
※ PSKサハリンは2022年現在『政治的な事情』により
出場を断念せざるを得なくなっています
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で国をまたぐ移動が困難だったものの、今年は韓国チーム『HLアニャンアイスホッケークラブ』の参戦が決定しており、2022 ~ 2023年シーズンは6チームでの戦いが繰り広げられています。残念ながらロシアチーム『PSKサハリン』の参戦は叶いませんでしたが、国を問わずスポーツマンシップの精神ですべてのチームが参加できることを祈っています。
昨年、日光市が舞台のアイスホッケーアニメ『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』を視聴したことをきっかけに、個人的にアイスホッケー熱がジンジンしています。今年もアイスバックスのホームである『栃木県立日光霧降アイスアリーナ』で試合が行われるので、順位決定が白熱してくる12月頃に見に行ってみようかなと思っています。っていうかゼッタイ行きます。
以下にわたし(犬物語)が観戦した試合動画を紹介します。非常に親切な実況付きですので初心者の方でも安心して見ることができますね。結果だけをダイジェストで見たいという方は当記事の最後に貼り付けておきますのでそちらを参照ください。
YouTubeチャンネル、H.C.栃木日光アイスバックス:投稿動画より
紅葉末期の日光市 ウィンタースポーツが輝く季節へ
アニメ『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』にも描かれている栃木県立日光霧降アイスアリーナは静かな冷たさに包まれていました。ここは2つのスケートリンクがあるのですがどちらも一般滑走が始まっており、外のスケート場には子どもたちが楽しく滑っている風景がありました。
日光市といえば世界に名だたる観光地。現在は紅葉もあって連日渋滞が発生する盛況ぶりですが、さすがに11月半ばを過ぎると枯れ木が目立つようになり客足も遠のいていきます。これから日光市は冬眠モード、ちょっとしたスキー客が訪れるだけの街になるので、実は『日光観光するならこれからがベストタイミング』だったりします。日光市を訪れるタイミングを逃してしまったのでしたらこれからの季節ぜひお越しください。
“最弱”だけど”最高”のチーム
地元日光市での人気が高いH.C.栃木日光アイスバックスですが、設立当初から最近までアイスバックスと言えば連日負け続ける姿がニュースで取り上げられる状況でした。それはアイスバックスの黎明期を語る著書『アイスタイム』で詳細が語られているのですが、企業の資金難に給料未払い問題などいつチームがなくなってしまってもおかしくないような状況でもあったのです。
2003年に創立したアジアリーグにおいても2011 ~ 2012年シーズンに準優勝した以外は下位チームの常連です。それでも選手たちは地元ファンからの応援を受けながら、そして各所から資金提供を受けながらクラブチームとしての力を着実につけてきました。
H.C.栃木日光アイスバックスはアイスホッケー史上初のクラブチームだけあってかなり地元密着型のチームになっています。選手自らが営業に赴き、地元企業などからの支援を受けチームをやりくりしている事情もありアイスバックスは地元との絆がとくに深いチームだと言えるでしょう。彼らの勇姿が地元ファンの心を掴み、いつか“常勝軍団“と言われるようになれば最高ですね!
アイスホッケーの代表的な反則
ルールは以前紹介しましたが、アイスホッケーは氷上の格闘技と呼ばれるくらい激しいスポーツなので頻繁に反則がとられます。ここでは代表的な3つの反則について紹介しましょう。
内部リンク
基本的なルール解説は こちら
アイシング・ザ・パック(アイシング)
センターラインの手前から相手チーム側へ打ったパックに、誰も触れずに相手のゴールラインを超えるとホイッスルがなり、パックを打ったチーム側の陣地から試合が再開されます。場合によってはレフリーの判断でスルーされることもあるようです。またキルプレー状態のチームがこの反則を行った場合もスルーされます。
無茶なロングパスの応酬を防ぐためのルールなのかな?
オフサイド
攻撃側の選手がパックより先に相手側のアタッキングゾーン(赤茶色の斜線の領域)に入った場合、相手側のブルーラインにパックよりも先に“体全体“が入ってしまうとオフサイドとなります。ブルーラインを踏んでいるか跨いでいればセーフです。つまり『攻撃側がパックよりも先にアタッキングゾーンに入ってしまう』とオフサイドになる、サッカーのそれと似たようなルールですね。
ブルーラインを超えるならパックを保持しながら相手陣地に侵入しろよ?
――というルール設定者の意図を感じた
オフサイドをしてしまった箇所近くからフェイスオフになりますが、故意と判断されると不利なゾーンからのフェイスオフを強いられます。またブルーラインより手前にパックが移動した時、攻撃側選手たちはすぐ下がらなければなりません。これに違反すると『ディレイ・オフサイド』という違反になります。
バット・エンディング
スティックの上端(柄の部分)で相手を突き妨害する違反です。ほかスティックを用いたチェック(妨害)行為のほとんどは違反になります。つづりは『butt-ending』であり最悪の結末ではないのでそれだけはご注意ください。
重要な反則ルールの解説をしたところで、いよいよ実際に観戦した試合の状況を書いていきましょうか。
アイスバックスは強い! 若いチームを圧倒し6得点完封勝ち!!
わたしが観戦した11月20日の試合はまさに完勝と言っても良いような内容でした。ひとたびパックを取れば素早いパス回しから相手を翻弄し、相手にパックが渡っても常に誰かがチェックにつきパスコースを封じる。その甲斐あってか、相手はムリなパスを強いられそのほとんどをバックスがカットしていました。
とくに活躍したのは第1セットの主力を務める背番号18番『古橋 真来(ふるはし まくる)』選手です。素早い身のこなしで、スケート靴を操りスイスイ~っと相手の懐へ潜り込んでいく姿はまさに“エース”といった感じでした。
個人的に印象に残ったのは背番号88番の『寺尾 勇利(てらお ゆうり)』選手。古橋選手に負けず劣らずの素早さと行動力で、今回の試合では先制点を叩き出しました。また試合前の練習中、シュート練習ですべて正確にゴールの隅へ打ち込む姿が強く焼き付いています。
6得点に無失点の”完勝”
試合開始直後からアイスバックスは安定した戦いを展開します。相手のパスをことごとくカットし、こちらは逆に素早いパス回しから相手を翻弄。相手に的を絞らせない細かいプレーが印象的でした。
第1ピリオドはペナルティーが1つもない珍しい展開でしたね!
先取点は第1ピリオド残り13分。背番号18番、先ほど紹介した『古橋真来』選手です。後方で完全フリー状態から中へ突っ込んでいき相手ディフェンス5人に囲まれた中パックを押し込みました。
さらに残り時間7分45秒に背番号54番『伊藤 剛史(いとう たけし)』選手がゴールを横切りタイミングを見計らっての技ありシュート。第1ピリオドは終始アイスバックスがリンクを支配していましたね。
シュートミスが功を奏する
個人的にいちばん面白かったのは3点目です。第2ピリオド残り18分35秒、後方フリー状態だった背番号9番『佐藤 大翔(さとう ひろと)』選手のロングシュートがまさかのダフリ。ゴーリーは宙を舞うまさかの軌道にパックを見失い、気づいた時にはゴールネットを“ぽすっ”と揺らしていました。
アイスホッケーにもループシュートが存在した!?
そこからはもう完全にアイスバックスのペースです。8割方アイスバックスがパックを保持しどんどん追加点を積み上げ、気がつけば3ピリオド終了時に合計6点を記録していました。
途中、バックスはリンクに選手3人という絶望的な状況に追い込まれましたが、ここは古橋選手がリーダーシップを発揮しイヤらしい時間稼ぎタイム。ゴーリーの背番号44番『福藤 豊(ふくふじ ゆたか)』選手は実況解説者が絶賛する鉄壁ぷりを発揮し見事このゲームのマン・オブ・ザ・マッチ賞に輝きました。
日光アイスバックス公式サイト
選手プロフィール一覧は こちら
YouTubeチャンネル、H.C.栃木日光アイスバックス:投稿動画より
アイスホッケーは攻防の切り替えが頻繁に起こり見ていて飽きない楽しいスポーツです。『プラオレ!』からアイスホッケーに興味を持ちはじめた人も、寒い冬はアイスホッケーを観戦して心も身体も熱くなってみませんか?
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