【野球】スリーバント失敗で”アウトじゃない”パターンあります【わかりやすい解説】

YouTubeチャンネル、こちら野球放送席:投稿動画より

スリーバントってなに? 失敗時のルールをわかりやすく解説

 高校野球などではバントがよく活用されます。1アウトを献上してでもランナーを次の塁に進めようとする作戦ですが、最新研究では「バントは意味ない」なんて言われたりしますよね。

 ですがバントは必要です。メジャーや日本プロ野球界でもほとんど見られなくなったバントですが、熟練者のバントはランナーだけでなく自らの生存確率も上げますし、バントは意味ないとしてバント対策やバント練習をしなければ、相手にバント戦術を多用され大量失点に繋がります

 バントはランナーの状況によりシフトが異なるため、しっかり練習してないチーム相手には正直バントだけで勝てます。よく言われる「バントは意味ない」は互いにしっかりバント練習し、バントシフトで守備練習しているレベルの中でバントが行われた結果なのです。

 バントは2ストライク時に失敗するとアウトという特殊なルールがあります。これを野球用語で『スリーバント』と呼びますが、実はスリーバントを失敗してもアウトにならないパターンがあることをご存知ですか? ――今回はスリーバントについてわかりやすく解説していきます。

スリーバントに関するわかりやすい解説

 スリーバント失敗でアウトになるのはそういうルールになってるからです。野球の公式ルールブック『公認野球規則』を確認してみましょう。

公認野球規則 5.09 アウト
  (a) 打者アウト:打者は、次の場合、アウトとなる
   ~中略~
  (4) 2ストライク後の投球をバントしてファウルボールになった場合

 また、記録に関する規則でもこう記されています。

公認野球規則 9.15 三振
  (a) 次の場合には三振を記録する。
   ~中略~
  (4) 2ストライク後、打者がバントを企ててファウルボールとなった場合。
    ただし、そのバントがファウル飛球として野手に捕らえられた場合には、三振と記録せず、そのファウル飛球を捕らえた野手に刺殺を記録する。

 公式ルールにスリーバントというワードはありません。ただ上記のようなルールがあり、それを指導するときにべんりな言葉としてスリーバントがよく使われています。いわゆる業界用語ですね

 2ストライクの後、バントを仕掛けてファウルになった場合アウトとなり、三振が記録されます。記録上は同じ三振ですが、見逃し三振、空振り三振と区別するため『バ三振』と記録される場合が多いようです。

 スリーバント失敗はアウトです。ただし以下のような場合バント失敗ではなくファウルが記録されます。いったいどのようなパターンなのでしょう?

スリーバント失敗にならないパターン

YouTubeチャンネル、審判のさかい:投稿動画より

 バントを仕掛けたとき、投球がボールだったのでバットを引くパターンはよく見かけますよね? ――このとき避けきれずバットにボールが当たってしまった場合はどうなるでしょう?

 実はこの時スリーバント失敗ではなくファウルになります。これは公式ルールの定義集バントの項目にしっかり記されています。

公認野球規則 本規則における用語の定義
  13:BUNTバント」――バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。

 このルールのとおり、バントは打者が意識的に仕掛けたものだけを指します。ボールと判断してバットを引くということは意識的にミートしようとしてないことなので、たとえバットにボールが当たってしまってもバントとはみなされません。

 大切なことなのでもういちど。バントは打者が意識的に行うプレイであり、スリーバント失敗はバントを試みてファウルになった場合のルールなのですね。

バントと見なされる場合も

YouTubeチャンネル、shiodra:投稿動画より

 以前、高校野球でカット打法なるものが話題になりました。自分が狙うボールが来るまでひたすらファウルにしていく、もしくはピッチャーにひたすら球を投げさせるというスタイルですね。

 これは当時賛否両論あり、当時の球審は続けるようであればバントとみなすと警告する問題にまで発展しましたが、実は高校野球では公式ルールに加えて『高校野球特別規則』というものがあり、そこに独自のルールが記載されています。

 特別規則はたとえば金属バットの使用可、道具の色指定など2024年版では27項目が記載されています。その中にあるバントの定義を確認してみましょう。

高校野球特別規則 8. バントの定義
  ――バントとは、バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルにするような、いわゆる”カット打法”は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある。(規則 5.09(a)(4))

 2024年版ではカット打法がガッツリ規制されていますね。なお、バントは定義にあるように「スイングではない」のですが、実際のゲーム中は球審に「スイングした!」とアピールすることができます。

 野球は長い歴史をもつスポーツであり、複雑な競技性なので特殊ルールもたくさん用意されています。プロ野球選手ですら把握しきれてないルールがたくさんあるので、わたしたちが草野球を楽しんでる時は「あれ? これってどういうルールだったっけ?」なんてことをたくさん経験しますよね。

 高校野球の審判はボランティアで参加してくれています。細かいルールを把握して一所懸命ジャッジしてくれる彼らを尊敬しつつ、スポーツマンシップに則りたのしく野球をプレイしましょう。

日本高等学校野球連盟
 高校野球特別規則(2024年版)は こちら

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